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MCP × LLM:Confluenceに記載の企画書から要件定義・JIRAのPBI作成

2025/03/02に公開
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はじめに

近年、大規模言語モデル(LLM)の進化により、さまざまな業務の自動化が可能になってきました。
特にソフトウェア開発のドキュメント作成や要件管理は、多くの時間とリソースを必要とする作業であり、効率化の余地が大きい領域です。
本記事では、Model Context Protocol(MCP)を活用して、企画書から要件定義書の作成、さらにはJiraのPBI(Product Backlog Item)作成までを自動化した内容を共有します。

本記事でわかること

  • LLMとConfluence/Jiraを連携させる方法
  • 企画書から要件定義書、PBIへの自動変換の実現方法

本記事の構成

本記事で実現した流れ

MCPとは

Model Context Protocol(MCP)についての詳細は、公式サイトのイントロダクションを参照してください:
MCP: Introduction - Model Context Protocol

実験環境の構築

今回の実験では、以下のツールと技術を使用しました。

  • LLM: Claude 3.7 Sonnet
  • MCPクライアント:Claude for Desktop
  • MCPサーバ:
  • 連携システム:
    • Confluence(要件定義書の作成・管理)
    • Jira(PBIの作成・管理)

MCPサーバーのセットアップ

今回は自前でMCPサーバーを構築するのではなく、mcp-atlassianパッケージを利用しました。このパッケージは、AtlassianのツールであるConfluenceとJiraと連携するためのMCPサーバ提供します。
セットアップは非常に簡単で、以下のコマンドでインストールできます:

# uvxコマンドを使ってmcp-atlassianをインストール・実行
uvx mcp-atlassian

設定は設定ファイル(claude_desktop_config.json)を用意し、必要な認証情報を記述します:

{
  "mcpServers": {
    "mcp-atlassian": {
      "command": "uvx",
      "args": ["mcp-atlassian"],
      "env": {
        "CONFLUENCE_URL": "https://your-domain.atlassian.net/wiki",
        "CONFLUENCE_USERNAME": "your.email@domain.com",
        "CONFLUENCE_API_TOKEN": "your_api_token",
        "JIRA_URL": "https://your-domain.atlassian.net",
        "JIRA_USERNAME": "your.email@domain.com",
        "JIRA_API_TOKEN": "your_api_token"
      }
    }
  }
}

Atlassian API Tokenは、Atlassianアカウントの管理ページから取得できます。環境変数に認証情報を設定することで、MCPサーバーはConfluenceとJiraにアクセスできるようになります。

自動化プロセスの実装

1. 企画書から要件定義書の自動生成

まず最初のステップとして、企画書から要件定義書を自動生成するプロセスを実装しました。

入力: Webアプリの企画書

今回の実験では、シンプルなタスク管理WebアプリケーションのLLMで生成した企画書を入力として使用しました。
企画書には以下のような情報が含まれています:

  • プロジェクトの概要と目的
  • ターゲットユーザー
  • 主要機能(必須機能とオプション機能)
  • 技術要件
  • 非機能要件
  • プロジェクトスケジュール

一部を抜粋した企画書が下記です。

プロンプト設計

LLMに企画書から要件定義書を作成させるためのプロンプトを以下のように設計しました:

コンフルエンスにあるタスク管理Webアプリケーションの企画書(ページID:98461)を読み取って要件定義書をローカルのC:\Users\xxxx\TaskMaster配下に作成ください。 markdown形式でお願いします。

結果

プロンプトに基づいて、LLMは企画書を分析し、要件定義書を生成しました。生成された要件定義書はローカルに保存されました。
要件定義書の主な内容:

  • 詳細な機能要件(ユーザー管理、タスク管理など)
  • 各機能の詳細な仕様と受け入れ基準
  • 非機能要件(パフォーマンス、セキュリティなど)
  • ユースケース図とユースケース記述
  • データモデル(ER図を含む)

一部を抜粋した要件定義書が下記です。
一部抜粋

2. 要件定義書からPBIの自動生成

次のステップとして、生成された要件定義書からJiraのPBI(Product Backlog Item)を自動生成するプロセスを実装しました。

プロンプト設計

要件定義書からPBIを作成するためのプロンプトを以下のように設計しました:

先ほど作成した要件定義書に基づいて、Jira上にPBI(Product Backlog Item)を作成してください。
各機能要件を適切な粒度のPBIに分割し、以下の情報を含めてください:
- サマリー(タイトル)
- 詳細な説明
- 受け入れ基準
- ストーリーポイント(見積もり)

結果

LLMは要件定義書を分析し、生成されたPBIは、MCPサーバーを通じてJiraに自動的に登録されました。
要件定義書の内容がかなり圧縮されたり抜け落ちている箇所もありますが、実現できることは確認できました。

ユーザー登録機能のPBI

まとめ

本記事では、MCPとLLMを組み合わせて企画書から要件定義書、さらにはJiraのPBI作成までを自動化した検証内容について紹介しました。
プロンプト改善の余地はかなり大きいですが、MCPにより業務に沿ったAIの適用ができそうです。

参考資料

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Discussion

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