Reactエンジニアがスマホアプリ開発者になるためのロードマップ
Reactエンジニアがスマホアプリ開発者になるためのロードマップ
はじめに
誰向けの記事か
この記事は、普段Webフロントエンド開発でReactを使っているエンジニアが、スマホアプリ(iOS / Android)開発にも対応できるようになりたい方向けの記事です。
特に以下のような人を想定しています。
- Reactは実務で使っている
- React Nativeに興味がある
- でもネイティブアプリ開発の知識はほとんどない
- 最短・効率的に学びたい
スマホアプリができると単価が上がる理由
Reactエンジニアがスマホアプリ開発まで対応できると、単価は確実に上がりやすいです。
スキル | 月単価(フリーランス) |
---|---|
Reactのみ | 60~80万円 |
React + React Native (Expoのみ) | 70~90万円 |
React + React Native (iOS/Androidネイティブ対応OK) | 80~120万円 |
ネイティブの設定・リリースまで対応できるエンジニアは少なく、その分、価値が高いです。
なぜReact Native開発者がアプリ開発の基礎を学ぶ必要があるか
React Nativeだけを学習していると、実務ではほぼ確実に次のような壁にぶつかります。
よくある詰まりポイント
- iOSビルドができない(Xcodeエラー)
- Androidビルドができない(Gradleエラー)
- ネイティブライブラリ導入時にエラー
- ストア申請時の設定がわからない
- 証明書や署名まわりでハマる
実務でよく言われる一言
「Xcodeで証明書設定しておいてください」
「Androidのkeystore作ってGradleに設定しておいてください」
この瞬間に詰まらないために、ネイティブの基礎知識は必須です。
React Native開発で追加で必要になる知識
Reactエンジニアが最低限知っておきたい知識を整理します。
iOSビルドの基本(Xcode周り)
- Xcodeの存在
- CocoaPodsによる依存管理
- Info.plistによる設定
- 証明書(Provisioning / Certificate)の存在
Androidビルドの基本(Gradle周り)
- Gradleの役割
- keystoreによる署名
- AndroidManifest.xmlによる設定
よく出るエラー・詰まりポイント
プラットフォーム | 詰まりやすいポイント |
---|---|
iOS | Xcodeエラー / Pod install / 証明書関連 |
Android | Gradleエラー / keystore / Java or Kotlinエラー |
iOS開発の最低限知識
Xcodeとは何か
Apple公式のiOSアプリ開発用IDEです。iOSビルド・実機インストール・ストア公開まで全てXcode経由です。
PodfileとCocoaPods
iOSの依存管理ツール。React NativeのネイティブライブラリはPodfileで管理されることが多いです。
基本コマンド:
cd ios
pod install
Provisioning / Certificateとは
iOSアプリを実機で動かしたり、App Storeに公開するために必要な「Appleの許可証」です。
必要になるもの
- Apple Developerアカウント(有料)
- Certificate(開発者の証明書)
- Provisioning Profile(どの端末で動かすかの設定)
ポイント
- Xcodeが自動で設定してくれることも多い
- ただしReact Nativeの開発では手動で扱う場面も多い
- エラーが出た時にこれらの存在を知らないと詰まる
Info.plistとは
iOSアプリの設定ファイルです。アプリ名やパーミッション(カメラ・位置情報など)の設定を行います。AndroidでいうところのAndroidManifest.xmlに近い役割です。
主な用途
- アプリ名
- バージョン
- パーミッションの説明文
- URLスキームの設定
例:カメラ利用の権限追加
<key>NSCameraUsageDescription</key>
<string>カメラを使います</string>
Android開発の最低限知識
Gradleとは何か
Androidアプリのビルドシステムです。iOSでいうところのCocoaPods + Xcodeの役割を持っています。
主な役割
- ライブラリの依存管理
- ビルドやリリースの設定
- 開発環境ごとの切り替え(dev / prodなど)
主な設定ファイル
android/app/build.gradle
android/build.gradle
keystoreと署名
AndroidアプリをGoogle Playに公開する際は、必ずアプリに署名を行う必要があります。署名に使うのがkeystoreファイルです。
必要な作業
- keystoreファイルを作成
- build.gradleに署名情報を追加
- リリースビルド時に自動で署名される
AndroidManifest.xmlの役割
Androidアプリの設定ファイルです。iOSでいうInfo.plistと同じような役割を持ちます。
主な用途
- アプリ名
- 権限(パーミッション)の設定
- アプリの起動時の画面設定 など
例:カメラのパーミッション追加
<uses-permission android:name="android.permission.CAMERA" />
学習のロードマップ
1. Expoでサクッと動かす
- Expo CLIを使って新規プロジェクト作成
- iOS / Android実機 or シミュレータで動かす
- React NativeのUI・APIに慣れる
2. React Native CLIに挑戦
- React Native CLIでプロジェクト作成
- iOSビルド(Xcode)
- Androidビルド(Gradle)
3. ネイティブ設定(Xcode / Gradle)の理解
- エラーやカスタマイズのタイミングで、ネイティブ側の設定や仕組みを理解する
4. アプリストア公開 or 自作ライブラリ開発
- App StoreやGoogle Playへの公開
- ネイティブモジュールを自作する経験もおすすめ
まとめ
Reactエンジニアがスマホアプリ開発(iOS / Android)を学ぶ最大のメリットは、案件の単価が上がり、担当できる領域が大きく広がることです。
特にReact Nativeは、Webエンジニアにとって非常に親和性の高いモバイル開発手段ですが、実務で困らないためには最低限のネイティブ知識が欠かせません。
最短で進むためのコツ
- 最初はExpoで体験
- React Native CLIで本格開発
- ネイティブ設定(Xcode / Gradle)に触れる
- アプリ公開 or ネイティブモジュール作成に挑戦
ぜひこのロードマップを参考に、次のステップに進んでみてください。
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