azooKeyのライブ変換楽しい
少し前からオープンソースの日本語入力システムである azooKey on macOS
を 1 か月ほど試験的に導入してみています。
現在はアルファ版ということで自己責任ではありますが、安定して精度高く漢字変換できるライブ変換体験はかなり楽しいので、今後の期待も込めてのおすすめ記事です。
azooKey とは
azooKey はニューラルかな漢字変換エンジンを導入した、オープンソースの iOS と macOS 向け日本語入力システムです。「ニューラル言語モデルによる個人最適な日本語入力システムの開発」というプロジェクトとして、2024 年度の IPA 未踏 IT 事業に採択されています。
以下のような機能があります。
- ニューラルかな漢字変換システム「Zenzai」による高精度な変換
- 履歴学習機能
- ライブ変換
- LLM による「いい感じ変換」機能
ただし執筆時点(2025 年 7 月 8 日)で、 macOS 版 azooKey はアルファ版であり、動作を一切保証しないとされていますのでご注意ください。
ライブ変換について
ここでの「ライブ変換」は日本語かな入力した文字列が自動的に漢字などに変換される機能を指します。
2014 年頃から macOS の標準 IME にはライブ変換機能が提供されるようになっています。しかし試してみたところ、個人的には変換精度に不満があり、試してみただけに終わってしまっていました。また自身は実際に使ったことはないのですが、ATOK にも句読点のタイミングで自動変換を行う機能があるようです。
使用したことがないため想像ではありますが、実際問題として日常的に句読点が必要ない文章も書く機会があるようには思えます。またどうしても完全に正しい変換というのは文章だけの判断では難しく、再変換が必要なことはあるでしょう。そのとき長い文章ではなく細かく変換できる方が嬉しいケースが多々あるようには感じられます。
azooKey にはライブ変換機能がありつつ、ニューラル言語モデルを用いた高い変換精度も謳われているところから、期待して試してみました。
使い方
macOS であれば Homebrew からインストールするのが一番早いでしょう。
brew install azooKey
GitHub からインストーラを DL することもできます。macOS 上の設定方法も含め、GitHub README を参照してみてください。
感想
文章自体の文脈を把握し、更に執筆者の傾向も変換履歴から学習して行う「ライブ変換」は、日本語話者が頭の中で文字を変換したり意味を理解したりするプロセスに即した変換方式なのではないかと(もちろん想像ですが)思います。単に変換キーを押す回数が減るということだけでなく、これが変換精度の高さを更に向上させていくように思えますし、言葉を用いた思考と IME を用いた日本語入力の間にある頭の中のコンバート処理が少ないのではないか、と思えます。
加えて、Vibe Coding を試したときに、音声入力では日本語変換が少々問題になることも感じていました。こうした方式は音声をより正しく変換できそうな印象もあります。試してみたいです。
一方でライブ変換の仕組みから当然のことですが、一定の長さの文章ではなく部分的に入力したくなったときに想定通り変換できないことが起きます。特に既存の文字列を部分的に修正したいと思ったときによく引っかかるように思います。簡単な例としては以下のようなケースです。
`みえた` (とかな入力)
↓
見えた (とライブ変換)
↓
見 (`えた`を削除)
↓
見`える` (とかな入力)
↓
見`得る` (とライブ変換)
これは変換方式の差が現れている挙動なので、今のところライブ変換を受容する場合には「見
まで削除して書き直す」という考え方になるのかなと思っています。開発者の Miwa 氏の投稿を見ると確定済みの文も読んで変換しているようなので、これは文字数が少な過ぎる厄介なケースを取り上げているかもしれません…。ライブ変換に合わせて自分の日本語入力スタイルの方を鍛えるべき領域かもです。
また執筆時点(2025 年 7 月 8 日)ではブラウザ、Slack、エディタなどアプリを切り替えたりする時に、たびたびレインボーカーソルが現れる事象が見られます。現在はアルファ版ですので、そのあたりは自己責任で利用しましょう。改善に期待しています ✨
まとめ
ライブ変換による日本語入力はそれ自体が文字入力の体感が変わる面白体験です。azooKey は macOS 標準 IME よりも変換精度が高いことでライブ変換を普段使いできるようになりました。この先の改善にも大期待です。
未体験の方は、是非 1 回試してみると良いと思います。Vibe Coding における使用感などは継続して試して確認していきたいです。
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