男性CTOとして一年間の育休前にやったこと/育休中のこと/育休後のこと

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はじめに

前書き

  • この記事は 一般社団法人日本CTO協会 コミュニティによる Adventar - CTOA Advent Calendar 2020 15 日目の記事となります。
  • 大変申し訳ないことに 2020 年の年の瀬、色々重なってしまい、時間不足でラフな状態での公開となりました。足りていない項目がいくらかあるはずですので、思い付いたら都度更新していきたいと思っています。

Who ?

記事を書くに至った理由

  • 「 CTO で一年間の育児休業を取得した事例って珍しいよね?」「取得するにあたって大変だったことって色々あったんじゃない?」などの質問を受ける場面が多くあり、自身の整理としても、後に続こうとされる方への参考としても、記事としてまとめておこうかと思いました。
  • CTO としてに限らず、男性で一年間の育休取得している人自体がまだまだ少ないように見られますので、このご時世、取得して良いこともたくさんあるよ! ということを発信していきたいなと思うに至りました。
  • 自分は育休を一年間取得するぞと決めていたような人間なので、それなりに事前に調べ知識を備えた上で臨んだつもりでしたが、それでも思わぬところで「こんな苦労があるのか!」ということの連続でしたので、今振り返ってみると、これはこうした方が良かったな、という tips も反省とともに記載していきます。

記事を読んで分かること

  • この記事を読んで分かることは以下のようなことになります。これらのうちの何かしらに引っかかるようでしたら、ぜひ読み進めてみてください。
    • CTO が育休取得前にどのように業務を整理して他の人に引き継いだか
    • CTO になるような人間がどんなスタンスで育児に向き合っているか
    • CTO になるような人間がどんな育休を過ごしていたか
    • CTO としてまた復帰するにあたってのアレコレ

育休前にやったこと

準備期間

  • じゃあ明日から取ります! と言って取れるものではありませんので、通常業務をこなしつつ、引き継ぎをおこなう必要があります。
  • その準備にかけた期間はおおむね半年ほど。
  • 育休取得についての相談を周囲にするにあたり、大前提として安定期に入っていて子どもが生まれますと周知しなくてはならないため、その周知をするより先に、CTO のマンパワーに依存してしまっていることへの対策として準備開始しました。

業務のリストアップと引き継ぎ

全業務のリストアップ

  • 何はともあれ、大小問わず全ての業務のリストアップをおこないました。以下、具体的な手順について。
  • 書きだし先は何でも良いと思いますが、当時はスプレッドシートを用いてツリー構造になるようにします。
  • 最初に、作業頻度を以下のように分けます。
    • 一年に一回以上
    • 二ヶ月に一回以上
    • 一ヶ月に一回
    • 一ヶ月に二回以上
    • 一週間に一回
    • 一週間に二回以上
    • 毎日
    • 突発的
  • 次に、業務種別に分けます。例えば……
    • 経理
    • 研修
    • 管理
    • 開発
    • 保守
    • 人事
    • 作業
    • サポート
  • 上記を組み合わせると、以下のようになりますので、具体的な業務を書き加えていきます。
    • 一年に一回以上
      • 経理
        • 具体的な業務
      • 人事
        • 具体的な業務
    • 二ヶ月に一回以上
      • 研修
        • 具体的な業務
      • 管理
        • 具体的な業務
      • 人事
        • 具体的な業務
    • 以下略……
  • こうして出来上がったものを、時間を措いて自分自身で見直したり、周囲の人に見てもらってヌケモレがあったりしないかを確認しておきます。
  • 常日頃からこうしたものを用意できていればこんなことをわざわざする必要もないのですが……

業務の引き継ぎ

  • 全業務のリストアップを終えたら、チームメンバーそれぞれの得意分野や担当分野に近いところについて、個別相談して引き継いでいきます。
  • 引き継ぎ先のメンバーが確定したら、上記リストアップした業務の各行に、メンバーの名前を書き入れていきます。
  • 引き継ぎのドキュメント作成は、引き継ぎ先のメンバー自身におこなっていただくのが最適解ではありますが、間に合わない部分も多く出てくるので、相談しつつ用意しておきます。
  • 引き継ぎが完了したな、と、引き継ぎ先のメンバーとの合意が取れた時点で、合意が取れた年月日を、リストアップした業務の各行に、書き入れていきます。
  • 引き継ぎを受けてもらうメンバーとの、日頃からの信頼関係が大事だなと重々思い知らされます。感謝です。また、自分も引き継がれる側に回るときには、全力で支えようと思わされました。

全てを手放すつもりで開発しきる

  • 個人で抱えている開発途中のものがいくつかありました。これ、途中までにしてしまって引き継ぐのは大変だな……というものが多かったので、それらは開発しきりました。根性!!
  • 通常、何かあれば後でサポートすればよいかなという範囲についても、事前のヒアリングを入念にして、想定しうるケースを虱潰しにしておきました。
  • あわせてドキュメントの整備や、実際の使い方をハンズオンでレクチャーするなどもしておきました。

周囲への報告

  • 職場にお話しするのは安定期に入ってからというのが常と思います。ご多分に漏れず、そうしました。
  • 私の場合、上長が CEO = 代表専務理事と、事務局長の二人でしたので、そちらへお話ししたのが最初でした。職場においては男性初の育休でしたが、快く祝福してもらえて、今でも感謝していますし、逆の立場になったときにはやはり自分も全力で祝福することで恩を送っていきたいと思います。
  • 続いて周囲への報告と引き継ぎのお願いでしたが、こちらも同じように、快く祝福してもらえました。 DX Criteria としては改善の余地がたくさんありながらも、こうしたところは本当に良い職場とチームに恵まれたと思っています。
    • 特に CTO としてのコアな部分の業務領域を引き受けてくれたメンバーには、特段の感謝の気持ちがあります。自分も、前任が産休に入るタイミングで IT の仕事にキャリアチェンジして入ることになったので、不慣れなことを引き受ける大変さと苦労というのは、人並み以上に理解できているつもりです。多謝。

知っておきたいお金のこと

  • 私自身そうであったので、おそらく育児休業にまつわるお金のことは、当事者にならない限りはほとんど知られていないと思います。
  • 細かいことはここで私が解説するよりも他に適した記事がたくさんあるはずですので、ぜひ調べてみてください。特に、二年前に私が調べたときよりも、良質な記事が増えている印象です。

育児休業給付金の支給金額

  • ざっくり簡単に要点だけ書きますと、社会保険に入っている一般的なサラリーマンである場合、育休中でも以下の通りに給付金がいただけます。
    • 1 ~ 6 ヶ月目まで : 給与の 67 % 分
    • 7 ~ 12 ヶ月目まで : 給与の 50% 分
  • 上記ここでいう「給与」というのは、育休に入る直前三ヶ月の支払給与額の平均値となります。
    • つまり、残業時間などと連動して給与が決まるという形態であれば、直前三ヶ月の残業時間が少なければ給付金の支給額が減り、多ければ増えます。
    • ボーナスなしの固定月給制の方の方が、支給額が多くなり、逆にボーナス多めで月給少なめという形態だと、支給額が減ります。
      • 私は当時、後者だったので、泣けました。

育休中の労働可能限界

  • また、育休中も絶対に労働してはいけない、という決まりはありません。以下の通りの給与分までは労働が許されます。
    • 1 ~ 6 ヶ月目まで : 給与の 13 % 分
    • 7 ~ 12 ヶ月目まで : 給与の 30% 分
  • 支給金額のところの数字と連動しているのがお分かりでしょうか。つまり、支給金額 + 労働給与の合計値が給与の 80% 分に到達しなければよい、というルールです。
  • 実際やってみると、そこまで働けないので、「少ない!!」ということはないと思います。

社会保険や年金、住民税

  • 育休中は免除されます。
  • ただし、住民税は昨年分のものが持って行かれます。結構な額で痛いはず。自分で支払うか、会社から天引きしておいてもらって会社に対して支払うか、会社と相談して決めると良いと思います。
    • その分、育休明けの一年間は、育休中の収入なしが住民税に適用されるので、楽です。ありがたや。

社労士と要相談

  • いずれにせよ、会社で契約している社労士さんなど相談できる相手がいたら、絶対相談して個別に浮かんだ疑問をことごとく潰しておくことをオススメします。

東京都の「働くパパママ育休取得応援奨励金事業」

業務外のこと

  • 仕事以外のところでどんな準備をしていたのか? というと、主には妻へのサポートであったり、生まれてくる我が子を迎える準備であったりです。

妻へのサポート

  • 前提として妻は専業主婦 + 時折フリーでイラストを描いている + 書道の師範を目指して修練中……でしたので、共働き家庭よりは私がヘルプとして動く場面は少なかったと思います。
  • 悪阻のときなど、特にこちらが多めにヘルプしなくてはならない際には、症状が軽いうちに何をして欲しいかなど伝えておいてもらうようにしました。冷静に考えられないくらいツライ時に、何をして欲しいか訊くのでは遅いです。エンジニアとして喩えるなら障害対応として考えると、いかにあらかじめの対応が重要かということが想像できるかと思います。
  • 食事は妻が食べたいものベースに完全に委ねました。とはいえ、好みが一致していたので何も問題なかったですが……
  • なお、この産前においてヘルプして欲しいことが、すなわちそのまま産後におけるヘルプして欲しいことと、ほぼ一致するはずなので、この時点でスキルアセットに不足があると感じられた場合には、この時点で鍛えておくと良いと思います。

我が子を迎える準備

  • 育児書や育児雑誌を図書館で読み漁りました。一つの文献に依存することはせず、複数のドキュメントを参照して、自分なりの正解を導き出すというのがエンジニアの基礎教養かと思っていますので、何かしらの言語を学習するのと同じ感覚で学べると思います。
    • 往々にして、育児雑誌は一年~二年くらいでは大きく内容が変わることもないので、多少古くても一年分を通して読んでおけば十分足ります。主に egg な倶楽部のアレとかです。
    • 育児関連の記事で見られがちな過激派的な意見は話半分で眺めておくのが良いと思います。
  • アプリは パパninaru にお世話になりました。スマートフォンにインストールして毎日開いて眺めてました。わりと良質な記事が集められているような印象です。
    • 今でもアプリはインストールしたままでいます。生まれた後も ●● 日になりましたね! など成長にともなって情報発信してくれているので、ありがたいです。
  • ベビーカーや抱っこひもなど、「生まれた後に買えばいいや」なのですが、生まれた後には現物を見に行く余裕が時間的にも体力的にもありません。特に、夫婦揃ってとか、「この子どうするよ」になるので、出かけるのが困難になります。夫婦揃って現物に触れて確認しておきたいものについては、あらかじめ動けるうちに確認しておくのがオススメです。
    • 特に抱っこひもは、お腹が大きくなる前に見ておいた方が良いと思います。個々人の体格によりけりなので、実際に着けてみないことには、いくら口コミが良くても分かりません。産後はお腹が小さくなるので、お腹が大きい状態で着けた時の感覚とは絶対的に異なりますから、悪阻が軽くなったタイミングくらいで行っておくのが良いと思います。
    • 抱っこひもさえあれば、ベビーカーはなくても大丈夫かなー……というのが感触としてあります。
  • 自治体ごとにやっている「両親学級」のようなものには一度は行っておくとよいと思います。特にお風呂の入れ方練習が役立ちました。
  • 筋トレ重要と思います。妊娠が分かる前時点で懸垂機を買っていたので、それで鍛えていました。とにかく体力勝負。筋肉と体力があればだいたい何とかなる。逆に、ないと詰む。ほんとに。
  • 買うべきモノのリストアップは、済ませておきましたし、生まれてすぐに必要になるものは買い揃えておきました。このあたり、自分が当時書き残していた以下の記事がお役に立てるのではないかと思います。
  • 育児を IT の力で便利に簡易化して乗り越えてやる! なんて息巻いたりもして、以下のようなものを作ったりもしていましたが、結局はアナログが多かったです……

育休に入るタイミング

  • これがすごく難しい。
  • 育休は、出産当日から強制的に突入することとなります。そして、出産日は、予定日こそあらかじめ分かれど、予定日通りになるものではないです。(ということすら知らない男性陣もきっと多くいるはず)
  • なので、予定日よりも二週間以上早い! ということも想定しつつ、予定日より一ヶ月前の段階では、いつ離れることになっても良いように身構えておくと良いです。
  • また、予定日の数日前からは有給を取るなどしておくと良いと思います。予定日より遅れることももちろんあるので、そのときにはまた出社することになり若干気まずいかもですが……

育休中のこと

業務について

  • 労働可能な時間の内側で、所属組織と、その関連会社のお仕事を引き受けました。
  • ただ、 0 ~ 1 ヶ月の新生児期は、本当にロクに仕事ができませんでした。一番キツい時期なので、里帰り出産などで奥さんだけ実家に帰っていて旦那さんはその時期の育児にノータッチ……というケースの場合、「本当の地獄を知らない」状態だと思います。

アンラーニング

  • 自分はプロパー事務局員で、ずっと所属組織にいて十年というキャリアだったので、いったん、組織内における常識のようなものを忘れて、透明で公平な視座で組織のことを見られるように、アンラーニングしようというのが、育休取得の目的の一つでもありました。
  • なので、仕事を引き受けたとはいえ、どっぷりハマらないようには気をつけていました。具体的には、仕事を引き受けようと思えばもっと引き受けられるという時間的余裕があった場合、より外部とのコミュニケーションや学習の方に時間を使うことを優先する、といったかたちです。

業務時間

  • じゃあどれくらい業務に時間を割いていたのか、というのは記録してあるので転記してみます。赤裸々に。
month time
2019/03 09:15
2019/04 05:00
2019/05 13:15
2019/06 13:00
2019/07 25:30
2019/08 25:15
2019/09 33:15
2019/10 24:45
2019/11 33:45
2019/12 29:00
2020/01 14:00
2020/02 11:15
  • 最初の 5 ヶ月が本当にしんどくて時間が取れていなかったというのが見て分かりますね。
  • 最後の 2020/01, 02 については意図的に労働時間を減らして、復帰に向けての学習時間を増やしていた時期になります。

学習/自己研鑽について

  • 育児休業は学習や自己研鑽のために取るものではないというのは、それは本当その通りですが、かといって、わずかながらも空く隙間時間を、全部余暇として遊びや気晴らしだけに使うのは勿体ないので、可能な限りでおこないました。
    • とはいえ、元来、活字中毒で、自分がやるぞと決めたことは苦なく学べるタイプなので、苦労して学習した! とかそういうことではないです。これも気晴らしのうち。理性なき獣との戯れから一時的にでも離れられることの幸せ!
      • 子どもが可愛くないということは全くないのですが、とりわけ新生児期のあの反応なし笑顔なしの子どもに向き合い続けるのは、いやほんとツライですよ。いやほんと。

学習内容

  • 仕事関連については、主に以下の学習を進めた一年でした。
    • 経営
    • 組織マネジメント
    • プロジェクトマネジメント
    • UI/UX
    • メンタルヘルスケアマネジメント
  • プログラミング等 IT 関連については、以下のことをやってみました。
    • nuxt.js 2 でのアプリケーション作成
      • それ以前は vue CDN / CLI での開発経験のみあった
      • 途中で飽きてやめてしまった……
    • Angular 9 のアプリケーション作成
      • 二本の指で、交互にスマートフォンの決められた領域をタッチして、いかに速く連打できるか! というクソアプリです。ソースコード、どこへ行ってしまったか…… GCE に残っているはず……
    • FileMaker Go で知育アプリ
      • iPhone 5s をヤフオクで安価に買って( 2,000 円だった記憶)そこに FileMaker Go をインストール
      • touch sound baby という名前で、ユーザが任意の画像と音声を登録しておいて、子どもがその画面上に表示される画像をタップすると、登録されている音声がランダムで流れる……という、シンプルなものです
      • 0 歳児にはまだ早かったようで、タップがうまくできずに使われませんでした。 2 歳近くになってきた最近、ようやくタップができるようになってきました。
      • そのうちもうちょっと改善したら GitHub リポジトリにでもあげます……(と思って一年以上が経っている)
    • 基本的なアーキテクチャ/設計手法・理論の学び直し
    • 他にも色々……

勉強会/セミナー/カンファレンス等への参加

  • ほとんどできていなくて(家を留守にするなんてトンデモナイ!)以下あたりです。
    • Angular ユーザー会に一回
    • LINE DEVELOPER DAY 2019 に一日
    • Noodl ハンズオンに一回
  • 当時はコロナ禍のようにオンライン開催がほとんどなかったので、参加できる機会に乏しかったです。むしろオンライン開催が多い昨今は、その点についてだけは育休中の方にとってはありがたい状況なのかなと思います。

転職について

  • 上長から「そのまま転職しちゃったとしてもおかしくない」とストレートに言ってもらえるくらいの信頼関係にありましたので、自分の市場価値を再確認するためにも、以前にスカウトしてくれた人にもう一度話を聞いてみたり、エージェントの担当者さんと話をしてみたり……といったことは、やってみました。年収としてはおおむね 1.5 倍くらいは上がるという市場価値が自分にはあるのだなという確認ができたことは、収穫でした。
  • 2019/03 に育休開始して、半年後の 2019/09 に、上長と5 時間以上、お酒無しの夕食でざっくばらんにお話しした結果、やっぱりこの人と一緒に挑戦していきたいことがまだまだあるぞと思い至り、転職の線は消すことになりました。

育児関連のこと

育児に役立った揃えて良かったモノ

睡眠時間の確保のためのローテーション体制

  • 特に新生児期については、睡眠時間の確保が何より大事です。
  • 新生児はこちらの都合など一切関知せず、本能の赴くままに泣き叫びわめき糞尿を垂れ流して寝て泣き叫びわめきをそして笑わないを繰り返す恐ろしい生き物です(誇張表現なく) 常に人間が目視で監視しておかないと、いつダウンするか分からないサーバのような存在と言えるでしょう。
  • そのため、睡眠を取る時間を妻と二交代制にしました。二人で同時間帯に寝ようとするのは明らかに非効率で、24/365 でサーバ監視するなら当然、日勤と夜勤とで時間帯を分けるよね、ということになります。
  • 私が元来は夜型人間で、明け方まで起きているのが苦でないので、以下のようなローテーションにしていました。
    • 私の睡眠時間 05:00 - 11:00
    • 妻の睡眠時間 22:00 - 04:00
  • 睡眠時間がコンスタントに 6 時間取れていれば、理性は何とか保てるレベルです。赤児のシャウトが聞こえないように、寝室とはできるかぎり離れたところにいてもらうのが良いです。
  • 電気はついていても赤児の目に光が届かなければよいので、顔の上空あたりをタオルで遮蔽するようにしていました。傍にいて大人しいと大人しいで気になってしまうので、頻繁に、呼吸しているかどうかの確認などしていたことが鮮明に思い出されます……

お祝いのお返し

  • 地味に大変だったのがコレで、お祝いいただけるのは本当に本当にありがたくて、お祝いのことばとともにお品をいただくたびに喜びでいっぱいになっていたのですが、当然気持ちの上でも全力でお返ししたいと思う反面、いわゆるお返しした方が良い期限内というのが、新生児育児で一番大変な時期なので、頭も身体もついていかなくなっていました。
  • なので、あらかじめ、この人からもしお祝いをいただいたら、この金額感ならコレ、この金額感ならコレ……というのを、産前の余裕のあるうちにリストアップしておくと、とても楽になると思います。
  • 管理はスプレッドシートでおこなっていました。

家事の簡略化

  • あらためて毎日家にいて家事をし続けていると、最初は耐えられたような繰り返し作業でも、次第につらくなってくることが多々あります。そういうときには改善してしまいましょう。
  • 最近、色んなところで例に出しているのが、バスタオル畳むのが苦痛になった問題。
    • 妻と二人で暮らしていた時と比べて、バスタオルの使用枚数が 1 枚 / 1 日増えただけなのですが、二日に一度の洗濯だと 4 枚 → 6 枚になります。この 2 枚追加がボディブローのように効きました。
    • 一枚のバスタオルを一回折り、二回折り、三回折り……と繰り返していくことで、合わせていた端っこが徐々にズレていくあのやるせなさといったら! 端っこが合わないし、何回折ればいいんだというストレスが溜まっていき、やがて限界を迎えたのでした。
    • 解決策としては、バスタオルを畳むのは一回だけにする! というもの。よりラディカルな解決はバスタオルを使わずに、ちょっと大きめのハンドタオルを使うという案がありますが、既に存在する什器を入れ替えるコストを支払うより、収納方法を変える方が楽だと判断。
    • 一回二つ折りにした、それをパイプに引っかけて終わり、という収納方法へ変えました。タオルを引っかけられるようなパイプは買いました。
  • UberEats や出前館などもフル活用しました。 UberEats は育休中に 80 回ほど頼んでいました。およそ 4 日に 1 回は UberEats で注文といったペースでしたね。しかも 1 回の注文時にまとめて 2 ~ 3 食分の量を注文していたので、身体が UberEats に染まっていた気がします。配達員が色々言われがちな UberEats ですが、本当に感謝しています。なければどうなっていたことか……

曾祖父母/祖父母との顔合わせ

  • 自分で子どもを育て始めてみてあらためて感じたことは、自分もこんなに苦労して育ててもらえてきたのだなあ、という感慨と感謝で、両親の存在を夫婦ともどもありがたく感じました。
  • 幸いにして、居住地から 2 時間以内程度で、お互いの実家と行き来できる距離感なので、一ヶ月~二ヶ月に一度は顔合わせできていました。それでも、今から振り返ってみると、そんな程度の頻度だったか……と思ってしまうのですが、割と頻繁に会っていたような体感でした。
  • またありがたいことに、曾祖父母(私から見れば祖父母)も健勝でして、三ヶ月に一度くらいは会わせてあげられています。本当に喜んでくれているので、その様子を見てこちらが元気をいただいています。

気をつけたいこと

  • 今もそうなのですが、子どもが生まれた後は「余暇」という概念が消失します。自分のために時間を使えることがいかに尊いか。なので、もしありがたいことに両親に一時的にでも子どもを預けられるシチュエーションが作れれば、ぜひ子どもを預けて、夫婦二人でお出かけなどの時間を作ることが、メンタルヘルスケアとしてとても大事なことと思います。
  • 一ヶ月に一度でも上記のような機会が作れたら、とても精神的に落ちつけます。
  • できれば宿泊旅行などやれたら最高と思います。我々も半年で本当に限界が近づいてきたなと感じて 2019/10 には草津へ二泊三日の温泉旅行をしてきました。あのタイミングでの慰安旅行がなかったら、その前後で精神が崩壊していたかもしれません。
    • ※子育ての大変さは個々人に差があります。
  • 育児休業をいだたいている身なのだから全身全霊で子育てをし続けなくてはならないのだ……なんてストイックに考えすぎていてはいけません。
    • 自分のことなんですが。はい。この考えはツライだけ。気を抜けるなら抜いた方が良いです。使わない弓の弦を緩めるのと同じ。

育休中につけていた育児ノートより抜粋

  • 以下記事で紹介している通り、育児ノートは紙のノートを使っていました。
  • そこでは、一週間に一度、パパ/ママからのひとことコメントを残す欄がありまして、そこに毎週書いていたので、いくつか抜粋して紹介してみます。渦中は本当に大変なのですが、こういうの残しておくと後から振り返れて良いと思います。

0 ヶ月 2 週目

パパからのお願い

  • ひっかかないで下さい
  • ミルクを飲んでる時自分でほ乳瓶を押しのけるのに、ミルクくれよと泣くのはやめて下さい
  • ベビーバスに頭突きするのはやめて下さい

0 ヶ月 3 週目

夜 寝ろ!!!!

1 ヶ月 2 週目

最近ますますヨッパライのオッサンっぽくなってきたので、自重して下さい
だいぶプクプクしてきた

2 ヶ月 2 週目

予防接種よく頑張りました!!
ケラケラと声を上げて笑うようになったのが可愛らしくて嬉しい。

2 ヶ月 3 週目

口に手をつっこんで吐くというローマ人みたいなことをしないように!

3 ヶ月 1 週目

わけもわからず泣くのはおよしなさい
はしたないことですヨ

3 ヶ月 4 週目

その鋭利なツメで未来を切り拓いていってください

4 ヶ月 3 週目

足の指しゃぶりすぎなので足の指っぽいオモチャを買えばいいんじゃないかな

5 ヶ月 1 週目

泣きさけべば何でも解決すると思ったら、人生間違えるからな
気を付け給へ

……という具合で、徐々に壊れていっている様子がよく分かりますね。記録をつけておくのは大事です。

育休後のこと

  • 正直なところ、ここまで書いてきてだいぶ書き尽くした感がありますが……

復帰直後にコロナ禍

  • そろそろ復帰するか、というタイミングで騒ぎになり、復帰直後に外出自粛の緊急事態宣言が出ました。
  • ただ私は一年間の育休中に、ずっと在宅で仕事したり学習したりしていたので、家に一ヶ月も二ヶ月も居続けるということによるストレスとはすっかり無縁な心理的境地に至れており、作業環境も十分なものが確保できていたので、これによる直接の影響というのは、多く受けずにいられました。
  • 居住が一軒家(賃貸)で、子が一階に、私が二階に、というように距離を置ける環境であるという点にも助けられています。
    • そのぶん、妻が一手に引き受けてくれているわけですが……なので仕事が終わった後は、つとめて子の相手をしています。

キャリアの変化/仕事への向き合い方の成長

キャリアの変化

  • これまで、単一組織の CTO でしたが、育休中に多く関わっていた関連会社の CTO も兼務でやることになりました。
    • 実は CTO のポジションで戻ってくる気は無かったのですが、色々な諸事情が重なってまた CTO という役割を担うこととなりました。
  • 二つの組織を見ることで、必然、チェックしなくてはならない業務領域/スキルアセットが増えました。主には Go / Flutter あたりです。頭が混乱するくらい幅広いプルリクエストを読んでいる日々です。
  • 復帰前の面談では、ピープルマネジメントをおこなうよりも、新規事業の開拓など、攻める仕事にまわっていくという話ではあったものの、いざ戻ってみると、それどころではないくらい色々と基礎を固め直さないといけない箇所が多く見られたので、復帰一年目の現在は、もっぱら地ならしを続けています。

仕事への向き合い方の成長

  • 「色々と基礎を固め直さないといけない」と、今まで以上に思えるようになったのは、アンラーニングや学習の結果によるものなのかなと思っています。だいぶフラットに、「世の中の一般と比較して」という目を持てるようになったと感じています。
  • アンラーニングできたこの視点をなるべく長く保つべく、外部とのコミュニケーションは多めに取るよう意識しています。その一環として、日本CTO協会へも入会させていただきました。こちらの活動時間も今後増やしていけたらと考えています。
  • 全体的には、より俯瞰して広く物事を捉えられるようになったのですが、細かいところが今まで以上に気になるようにもなってしまい、そこでストレスを感じてしまうのが、現状の課題です。
    • (おそらく不当なキャプチャ画像を用いた tweet の引用で若干気は引けるのですが……)以下のような「離れた目」を持てるようになるはずです。
  • 仕事はおおむね「理性なき獣」ではないので、そのぶん気が楽というのは、間違いなくあります。育休前であれば、二つの組織の CTO なんてとてもじゃなくできなかったと思いますが、何とかかんとかこなせているのは、育休中にだいぶ成長できた証かなと感じます。

おわりに

育休を一年間取って良かったかどうか

  • 即座に断言できます。良かった。
  • というか、一年間取らないという選択肢が考えられない。
  • ので、第二子を考えることが難しくなるほど。
    • 二回目の一年間の育休は、今の状況だと難しいなあというのが正直なところ。
    • まあそもそも、二人目を受け入れられるほどの育児の余裕がないのが第一なのですが。
  • この記事を書いた経緯が経緯だけに仕事寄りの話が多いのですが、当然のことながら育休はキャリアのためだけに取るものではないです。が、自分を見つめ直す時間になることは間違いないので、しごとにも生きてくることは間違いないです。

この記事を書いてみての感想

  • ここまで読んでいただいた方、ありがとうございます。あらためて書き起こすことで、多方面にわたる感謝の気持ちが再燃しました。でも、やっぱり一番は、一年間の自分と妻とに「よくやったお疲れ様!」ということばを送りたい。また、これから育休を取られる方々には、全力で応援したい気持ちです。
  • 色々思い起こされる一方で、本当に色々忘れていることがまだありそうで、冒頭にも記した通り、思い付いたらまた追記していきたいと思います。
  • 将来、この記事が娘に読まれるようになると良いなあ……と想いを馳せました( Zenn さん、それまで続いていてください🙏)

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  • 育休中、育休パパのためのコミュニティを Discord に作ったのですが、力及ばずで全然コミュニティとして活性化させられていないため、もしご興味ある方いらしたら、参加してみていただけますと幸いです!
  • また FileMaker のコミュニティ運営もやっています。こちらもユーザーの方いらしたらぜひ。
  • ……という Discord でのコミュニティづくりなんかも、進めた一年でした。