ガンマ分布とベータ分布
未だに忘れがちなので, ここにまとめておこう
ガンマ関数
性質
- 正の整数
に対して,n \Gamma(n) = (n-1)! -
において,\alpha > 1 \Gamma(\alpha) = (\alpha - 1) \Gamma(\alpha - 1) -
. これは, 二重積分で求まるので有名な\Gamma\left(\dfrac{1}{2}\right) = \sqrt{\pi} に帰着させることでわかる\displaystyle\int_{-\infty}^{\infty} e^{-x^2} dx = \sqrt{\pi}
ガンマ分布
で定義されるような分布(
性質
-
積率母関数は
(比較的簡単に導出できるので自分で確認しておこう)\left(\dfrac{\beta}{\beta - t}\right)^\alpha (- \infty < t < \beta) -
次のモーメントは以下のように, 直接計算して普通に求められるk
-
としたものは指数分布である\alpha = 1 -
が互いに独立に指数分布X_1, ... X_n にしたがうとき,\Gamma(1, \beta) はY = X_1 + X_2 + ... + X_n にしたがう.\Gamma(\alpha, \beta) -
(証明1)
がX_1 + X_2 + ... + X_k にしたがうならば,\Gamma(k, \beta) がX_1 + X_2 + ... + X_{k+1} にしたがうことを帰納法により示す.\Gamma(k + 1, \beta)
これは, 畳み込み積分によりできる.
-
(証明2)積率母関数の性質(
が独立のときX, Y )を使う.M_{X+Y}(t) = M_X(t) M_Y(t)
指数分布 の積率母関数がf(x) = \beta e^{- \beta x} であることから, ほぼ明らか\dfrac{\beta}{\beta - t} -
自由度
のカイ二乗分布n は\chi^2(n) である\Gamma(\frac{n}{2}, \frac{1}{2}) -
ポアソン分布の共役事前分布である
ベータ関数
性質
-
B(s, t) = B(t, s) -
B(s, t) = \dfrac{\Gamma(s)\Gamma(t)}{\Gamma(s+t)} -
の形の積分は,\displaystyle\int_{0}^{\frac{\pi}{2}} \sin^\alpha \theta \cos^\beta \theta d \theta 等の置換によりベータ関数に帰着できるx = \sin^2 \theta -
の形の積分は,\displaystyle\int_{0}^{\infty} \dfrac{x^\alpha}{(x + k)^\beta} dx 等の置換によりベータ関数に帰着できるy = \dfrac{k}{x + k}
ベータ分布
で定義されるような分布(
性質
- 正の整数
に対して,p, q が互いに独立に標準一様分布X_1, ... X_{p + q - 1} に従うとき, 順序統計量U(0, 1) (小さい方からX_{(p)} 番目, 大きい方からp 番目のもの)が従う分布になっているq - 実際,
の 確率密度関数U(0,1) , 分布関数f(x) = 1 に対して, 以下を計算すると, ベータ分布の確率密度関数と一致しているF(x) = x
- 実際,
-
が互いに独立にそれぞれガンマ分布X_1, X_2 とガンマ分布\Gamma(\alpha_1, \beta) にしたがうとき,\Gamma(\alpha_2, \beta) の従う分布はY = \dfrac{X_1}{X_1 + X_2} であるBeta(\alpha_1, \alpha_2)
- 二項分布の共役事前分布である
Reference
- 『リスクを知るための確率・統計入門』(岩田)
Discussion