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インセプションデッキ作成のファシリテーション

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こんにちは!HEARTチームです❤
今回も引き続き「インセプションデッキ」について、お話しして行きたいと思います。

インセプションデッキはチームメンバーの「認識合わせ」をするための大事なツールです。しかし、どうやって参加者の「真の認識」を引き出し、かつその「認識」を正確に言語化するかは、デッキ作成の場におけるファシリテーターの重要な役割になります。

今回は「われここ」、「エレベーターピッチ」、「トレードオフスライダー」の3つトピックをピックアップしてご紹介したいと思います。

1.「われわれはなぜここにいるのか」(以下「われここ」と略称)

デッキ作成の第一歩です。「われここ」はプロジェクトの存在意義とビジョンであり、動かない「北極星」です。環境や技術の変化などに伴い、ビジョンを実現するためのソリューションは変わるかもしれませんが、ビジョンそのものは変わりません。「xxシステムを導入するため」、「xx業務を改善するため」といった発言があったら、ファシリテーターが要注意です。それはあくまでもビジョンを実現するための手段であって、ビジョンではありません。

では、「ビジョンとはいったい何か?」と困っている方もいらっしゃると思いますが、有名企業のホームページを確認するとヒントを得られるかもしれません。例えば、ソニーのビジョンは「世界中の人に感動を提供し続ける」(*)とあげられています。
*出典: https://www.sony.co.jp/corporate/mission-vision/

実際の現場では日ごろのマイクロな業務に縛られ、すぐには望んでいるビジョンが引き出せない場合もあるでしょう。その場合は、その時点の「われここ」として認め、また定期的に振り返りを行い、引き続きアップデートしていけばよいと思います。

2.「エレベーターピッチ」

「われここ」の次に作成したい項目です。「エレベーターピッチ」は「誰」の「どんな課題」を解決し、「どんな価値」を提供するのか、さらに、その価値は「他と比べての競争優位性」をまとめる項目です。
 
その名の通り、エレベーターの中で15秒~30秒をかけて自分の意見をプレゼンテーションする手法であるため、「簡潔さ」が大事です。しかし、メンバー全員の意見をまとめようとすると、よくある現象として言葉を丸めすぎて、時間が経つと元の意味が分からなくなります。その場合、ファシリテーターとしては、全員の「認識合わせ」が目的であり、最優先すべきであることを忘れず、簡潔さよりも読む人の「わかりやすさ」を優先したほうがよいと思います。

3.「トレードオフスライダー」

トレードオフスライダーの代表的な項目としては、QCDSが挙げられます(Q:品質、C:コスト、D:納期、S:スコープ)。プロジェクトの進み具合に伴い、QCDSのすべての項目が満たせない場合にどれを優先すべきかはプロジェクトの方針であり、事前に認識合わせをしたほうがよいです。

ここで、ファシリテーターとして事前に参加者に提示すべきなのは、各項目の定義の認識合わせです。例えば、同じ「品質」に対しても、立場が異なれば定義も異なる場合があります。実際に私たちが経験した某新規システム構築のプロジェクトにおいて、システムチームは品質を「構築したシステムのバグ率」と理解していますが、ビジネスチームは「システムの導入によるビジネス効果」を定義する事例がありました。

デッキ作成の場で参加者の定義の違いを認識することもデッキ作成の一つの効果ですが、メンバーが忙しくて集まりにくい場合は、各項目の優先度並べを考える前にデッキ作成の事前説明の場などを活用して、定義の認識合わせをしておいた方が効率的でしょう。

おわりに

以上、デッキ作成のファシリテーターとしてのHEARTチームの現場経験をご紹介しました。皆さんの現場でもインセプションデッキを作成されていますか。やってよかったことや悩みポイントなど、ぜひたくさんのご意見やコメントをお願いします。皆さんとの会話を楽しみにしています。

最後まで読んで頂きありがとうございます。また次回に!

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