A2AとMCPの違い、共存するのか?
Agent2Agent Protocol
2025/04/09にGoogleからAIエージェントの通信プロトコルについて発表がありました。
A2Aプロトコルにより、AIエージェントは相互に通信し、安全に情報を交換し、様々なエンタープライズプラットフォームやアプリケーション上でアクションを調整できるようになります。
これだけ見ると、MCPと競合?と思いましたが、下記のようにも書かれています。
A2Aは、エージェントに役立つツールとコンテキストを提供するAnthropicのModel Context Protocol(MCP)を補完するオープンプロトコルです。
そこで、どう共存するのか調べます。
共存するのか?
まず、A2AのGitHubリポジトリからのリンクで、下記のドキュメントがあります。
エージェントアプリケーションにはA2AとMCPの両方が必要です。ツールにはMCP、エージェントにはA2Aを推奨します。
モデルコンテキストプロトコル(MCP)は、LLMとデータ、リソース、ツールを接続するための新たな標準規格です。MCPは既に、異なるモデルやフレームワーク間での「関数呼び出し」を標準化しています。
エージェントはツールとしてではなく、エージェント(またはユーザー)としてコミュニケーションをとることができます。
上記の絵からもエージェント同士が相互にやりとりするマルチエージェントの利用が必要ならA2A、
MCPはエージェントを一方通行のツール利用と考えると、A2AがMCPを使うこともあるし、MCPだけでも良い場合はあると思いました。
A2AはWebSocketのように「双方向・常時接続でやり取りを行うエージェント通信層」、
MCPはHTTPのように「要求ごとにツールを呼び出して結果を取得する仕組み」と考えられるのかなと。
Deep Research
技術的な違い
観点 | A2A(Agent-to-Agent) | MCP(Model Context Protocol) |
---|---|---|
提唱元 | Anthropic | |
リリース時期 | 2025年4月 | 2024年11月 |
主目的 | エージェント同士の連携(多エージェント協調) | エージェントとツール・外部コンテキストの接続 |
通信モデル | エージェント間の対話型タスク指向通信(JSON-RPC, SSE) | クライアント-サーバ型でツール呼び出し(HTTP, stdio) |
主な構成要素 | タスク、エージェントカード(能力定義)、成果物(artifact)など | ツール定義、入力/出力パラメータ、接続メソッド(MCPサーバ) |
使い方 | 主エージェントが専門エージェントへタスクを委任し、共同作業する | エージェントが外部ツール(DB、APIなど)を呼び出して情報取得・操作 |
ユースケース | 多様な企業AIエージェント連携(例:CRMエージェントとERPエージェントが連携) | 社内データベース、Google Drive、Slack等へのアクセス |
開発者向け特徴 | エージェントカードによる能力発見・自動協調 | 標準ツール定義により、開発者が毎回個別API連携を構築せずに済む |
パフォーマンスと実装のしやすさ | 常時接続やステート管理が必要なためやや複雑。対話や進行中タスクに強い | HTTPベースで1リクエスト単位の処理。シンプルで既存システムとの統合がしやすい |
共存関係と今後の展望
- MCPによって「エージェントがツールを使えるようになり」
- A2Aによって「そのエージェントたちが協調して問題解決にあたれる」
つまり、「MCPは道具箱」、「A2Aはその道具を持った職人たちのチームワーク」だとイメージすると分かりやすいです。
エコシステムの広がり
- MCPは既にClaude、Copilot Studio、OpenAI SDKなどで採用され、外部ツール連携のスタンダードになりつつあります。
- A2Aは登場したばかりながら、Google、Salesforce、SAP、LangChainなど50以上の企業が賛同し、Google CloudやVertex AIでの導入が始まっています。
将来的な予想
今後のAIエージェントのエコシステムでは、以下のような構成が主流になると予想されます:
- MCPでツール接続(RAG、業務APIなど)
- A2Aで複数エージェントが役割分担してタスク実行
両者はレイヤーが異なる技術であり、TCP/IPのように階層的に共存してAIスタックを構成すると考えられています。
結論
- A2Aはエージェント間の会話や協調を標準化するもの。
- MCPはエージェントが現実世界のデータやツールと接続する手段を標準化するもの。
よって、どちらかがどちらかを「置き換える」のではなく、両方を実装することで強力なAIエージェントシステムが構築可能となります。
まとめ
確かにマルチエージェントも一つのAgentic Workflowのデザインパターンで、必ずしも当てはまるものではないと思いますし、どちらかというとエージェント同士がやり取りをするマルチエージェントの利用事例は現時点では少数派だと思います。
ただ、マルチエージェントのエコシステムが出てきたことはとても良いことだと思いますし、デバイスコントロールやデータ共有をEdge-Cloudエージェントが相互にやり取りを行うユースケースで必要な技術だと思ったので、Agentic Twinに一歩近づいたのかなと。
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