2025年3月27日のMicrosoft AI Tourで発表された内容
最初に
2025年3月27日に東京ビッグサイトで"Microsoft AI Tour"が開催されました。
私は現地に参加はしておりませんが、ピックアップした情報をまとめましたので共有します。
"Microsoft 365 Copilot"にAIエージェント"Researcher"と"Analyst"を追加
Microsoftは"Microsoft 365 Copilot"に新たに2種類のAIエージェントを追加しました。"Microsoft 365 Copilot"にAIエージェント"Researcher"と"Analyst"の機能を追加していくとサティア・ナデラも発表しておりました。英文ですが、下記のブログも共有します。
この2つのエージェントは、Copilotのライセンスを持つユーザー向けに、2025年4月から先行提供プログラム"Frontier"で利用可能となります。(また、使用方法は調査します)
Researcherは調査やレポート作成、Analystはデータ分析に特化しており、これまで時間と労力がかかっていた業務を大幅に効率化することが期待されています。
Researcher
高度なリサーチ支援
OpenAIの"Deep Research"モデルとCopilotのディープサーチ・オーケストレーション機能を組み合わせ、ユーザーの業務データ(メール、会議、ファイル、チャットなど)とウェブ上の最新情報、さらにはSalesforceやServiceNowなど外部の情報も統合して、引用元を明示した高品質な調査レポートを自動生成するとしています。
多段階調査の自動化
複数の情報源から情報を抽出し、コンテキストに基づいた包括的なレポート作成が可能。たとえば、四半期レポートの作成や市場分析、競合調査などに利用できます。
Analyst
データ解析の自動化
OpenAIのo3-mini推論モデルをベースに、チェーン・オブ・ソート(段階的な推論)を活用して複雑なデータクエリを処理します。
リアルタイムのPythonコード実行
ユーザーは、分析過程で実行されるPythonコードをリアルタイムで確認できるため、まるで熟練のデータサイエンティストが解析しているかのような詳細なプロセスがわかります。これにより、売上予測や顧客購買パターンの視覚化、収益予測などが数分で実現できます。
Security Copilotの機能拡張
Microsoftが"Security Copilot"の機能を拡張し、フィッシングの検出や情報漏洩の警告、ユーザーやアプリの振る舞いの監視、脆弱性の修復、脅威の分析などを自律的に行うたAIエージェント群を発表しました。これらのエージェントは、"Microsoft Security"の各ソリューション(Defender、Entra、Intune、Purview など)と連携し、管理者のフィードバックを取り入れながら自己学習する設計となっています。"Security Copilot"の中核AIと連携し、組織の属性や現在の脅威環境に応じた最新の脅威インテリジェンスレポートを自動生成。これにより、セキュリティチームは状況把握と戦略的対応を迅速に行えます。OneTrustの"Privacy Breach Response Agent"やAviatrixの"Network Supervisor Agent"などのパートナーソリューションによるエージェント機能も追加されます。
追加されたエージェントの概要
4月のプレビュー提供開始を目指しており、セキュリティ運用の自動化・効率化とともに、従来の手動対応では難しい大規模な脅威解析への迅速な対応を可能にします。全体として、セキュリティチームがより複雑な脅威や戦略的課題に集中できる環境を実現するための重要な進化となっています。
Phishing Triage Agent in Microsoft Defender(フィッシングトリアージエージェント)
"Microsoft Defender"に組み込まれ、日々大量に届くフィッシングメールを自動で分析し、真の脅威と誤検知を迅速に判別。管理者からのフィードバックを受け、検出精度を向上させます。
Alert Triage Agents in Microsoft Purview(データ損失防止とインサイダーリスク管理のためのアラートトリアージエージェント)
"Microsoft Purview"が担い、情報漏洩やインサイダーリスクに関するアラートを自動で優先順位付け。ユーザーやアプリの振る舞いも含めた異常検知を行い、重要なインシデントに即応できるようにします。
Conditional Access Optimization Agent in Microsoft Entra(条件付きアクセス最適化エージェント)
"Microsoft Entra"により、既存のアクセスポリシーでカバーされていない新規ユーザーやアプリを監視。必要に応じて、ポリシーのアップデートや最適化策を自動で提案します。
Vulnerability Remediation Agent in Microsoft Intune(脆弱性修復エージェント)
"Microsoft Intune"を活用し、システムやアプリケーションの脆弱性を継続的に監視。修復タスクの優先順位を付け、管理者の承認の下でWindowsパッチなどの適用を迅速に推進します。
Threat Intelligence Briefing Agent in Security Copilot(脅威情報のブリーフィングエージェント)
"Security Copilot"の中核AIと連携し、組織の属性や現在の脅威環境に応じた最新の脅威インテリジェンスレポートを自動生成。これにより、セキュリティチームは状況把握と戦略的対応を迅速に行えます。
Copilot for Financeの発表
Microsoftは2025年3月27日に経理部門向けの新機能"Copilot for Finance"を発表しました。このソリューションは、財務プロセスの自動化を目指し、決算書の確認、未収金の状況把握、予算と実績の差異分析(予実分析)など、経理業務におけるルーチン作業をAIが担うことで、作業効率の大幅な向上とエラー削減を実現します。この発表は、Microsoftが企業全体のAIトランスフォーメーションを推進する中で、経理業務の自動化と効率化を実現する重要な一歩となっています。経理の仕事も自動化できるようになってきているのもすごいと思います!!
主な機能
決算書の自動レビュー
自然言語での問い合わせに応じて、決算書の主要項目や不整合箇所を自動的に抽出・確認。これにより、経理担当者は数値の検証作業から解放され、戦略的な判断に注力できます。
未収金管理の自動化
ERPシステムや他の会計システムと連携し、未収金のデータをリアルタイムでモニタリング。異常値や回収リスクを自動でアラートし、迅速な対応を促します。
予実分析(予算対実績の比較)
過去の予算データと最新の実績データを統合し、差異を分析。グラフやダッシュボードを生成して、財務パフォーマンスの状況を視覚的に把握できるようにします。
技術的背景
"Microsoft 365 Copilot"エコシステムの一部として提供され、最新の大規模言語モデル(例:GPT-4)とMicrosoft Graphを組み合わせて、企業の会計システムやERPからリアルタイムにデータを取得・統合します。これにより、自然言語による対話を通じた即時のレポート生成や予測分析が可能となり、経理業務の自動化と精度向上に貢献します。
利用効果と展開予定
作業効率の向上とコスト削減
自動化により、従来人手で行っていた数値検証や分析作業の時間を大幅に短縮。結果として、経理部門の生産性が向上し、コスト削減にも寄与します。
リアルタイムな意思決定の支援
最新の財務データに基づく迅速な分析とレポート生成により、経営陣が迅速かつ正確な意思決定を下せる環境を整えます。
プレビュー提供
プレビュー版として、2025年4月以降の展開が予定されており、既存のMicrosoft 365ユーザー向けに順次提供される見込みです。
最後に
他にもあると思うと思いますので、また情報発信をしていきます。
経理の仕事やデータ分析の仕事も基本的にはAIに任せて、人間はやらなくてもいい時代が到来しているかもしれません。
Discussion