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Microsoft Entra Agent IDってなに?

に公開

執筆日

2025/6/2

参考資料

https://techcommunity.microsoft.com/blog/microsoft-entra-blog/announcing-microsoft-entra-agent-id-secure-and-manage-your-ai-agents/3827392

https://note.com/daka1/n/nf7e85770b207

Microsoft Entra Agent IDとは?

Azure AI FoundryやCopilot Studioで作成されたAIエージェントに自動的に一意のIDを割り当て、Microsoft Entraディレクトリ内で管理可能にします。
これにより、IT管理者はエージェントの認証、認可、アイデンティティ保護、アクセスガバナンス、可視性を一元的に管理することができます。

なぜMicrosoft Entra Agent IDが必要なのか?私なりの考え

  1. AIエージェントが“ユーザー”のように振る舞う時代への対応
    これからのAIは、単なる支援ツールではなく、自律的に判断し行動する“エージェント”として業務を担うようになります。そのため、従来の「アプリケーションID」では不十分で、人間と同じように認証・認可・監査が必要な主体(identity)としての管理が求められます。

  2. セキュリティとガバナンスの強化(Zero Trustの実現)
    AIエージェントが業務データにアクセスする以上、「誰が、いつ、なぜ、その情報にアクセスしたか」を証明できることは非常に重要です。Microsoft Entra Agent ID によって、
    最小権限アクセス、条件付きアクセス、監査ログの取得といった Zero Trust セキュリティモデル をAIエージェントにも適用できます。

  3. スケーラブルで安全なAI導入の基盤づくり
    複数のエージェントを同時に運用しようとしたときに、個別にOAuth設定やセキュリティ審査を行うのは非現実的です。Agent ID により、開発者が最小限の労力でセキュリティガバナンスに準拠したエージェントを迅速に導入できるようになります。

  4. 組織のID管理資産との統合
    Entra Agent IDは、既存のMicrosoft Entraのアプリケーション・ユーザー管理基盤と統合されるため、新しいID体系を学ばずに既存の管理手法でエージェントを制御できます。これはIT部門にとっても大きな利点です。

  5. 今後のAIガバナンス規制への備え
    AI利用に対する規制(例:EU AI Act)が強化される中で、「誰が何をしたか」を説明できる体制を整えることは必須になります。Agent IDは、説明責任(Accountability)を支えるインフラにもなると考えます。

現時点でできること

  • 統合ディレクトリ管理
    Azure AI FoundryとCopilot studio 上で作成されたすべてのAIエージェントがMicrosoft Entra 管理センターのエンタープライズアプリケーションに自動登録され、認証、認可、ID管理、ガバナンス、可視化の管理を行うことができます。

今後できること

今後数か月以内には、Zero Trustセキュリティ体制の強化や、開発者とID管理者の作業効率向上につながる魅力的な新機能が Microsoft Entra Agent ID に追加される予定です。

開発者向け

  • 組み込みのセキュリティ制御
     Microsoft Entra のエージェントIDは、最小特権の原則に基づき制御され、必要なリソース(例:特定のファイルやTeamsチャンネル)にだけアクセスできるよう、スコープ付きのトークンを「必要な時だけ」発行します。

  • 即時のエンタープライズ導入
     エージェントIDは Microsoft Entra において完全な新しいIDとして登録されるため、既存のアプリやユーザーと同様に、組織のID管理者が検出・承認・監査を行えます。追加のセキュリティレビューやカスタムOAuthフローは不要です。

  • スケーラビリティ対応
     一度登録すれば、同じコードベースとテレメトリーストリームを維持しつつ、他の Microsoft Entra テナントにも個別のポリシーを持つエージェントIDを持たせることができます。


ID管理者向け

  • より高度なアクセス制御
     リアルタイムのシグナルやコンテキストに基づき、AIエージェントが必要とするリソースのみにアクセスを許可する、きめ細かな条件付きアクセスポリシーや権限の設定が可能になります。

  • ライフサイクル管理の強化
     AIエージェントのIDは、ユーザーやサービスと同様に、作成から廃止までの間、最小権限アクセスを自動で適用しながら厳密に管理できます。

  • 監査・モニタリング機能の拡充
     エージェントの活動ログや動作の可視化が強化され、コンプライアンスやセキュリティ監視のために、どのエージェントがどの操作を行ったかを正確に追跡可能です。

まとめ

AIエージェントの開発の熱が高まっている中、エージェントを管理/運用していくエンジニアにとって Microsoft Entra Agent ID は画期的なものだなと。
見過ごされがちだった「AIエージェントの管理」という課題に対して、開発者は迅速に安全なエージェントをデプロイでき、IT管理者は既存のツールで一元的に監視・制御できる。
これエージェント開発/導入において大きな推進力となるのかなーと。

ヘッドウォータース

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