💭

IoTデバイスの利用者が気を付けたいこと[技適編]

2024/02/28に公開2

はじめに

以前と比較して、無線通信を行えるIoTデバイスの種類が爆発的に増加し、国内の代理店・販売店のみならず海外からの入手ルートも増えた一方、電波利用のルール・法令を知らずにいると国内のインフラに混乱を与えてしまうだけでなく、利用者自身も罰則の対象になってしまうので、IoTデバイスに触れる機会のある方に知って、守ってもらいたいことをまとめました。

技適とは何か

技適というのは、日本国内での通信に関するルールに則ったデバイスであることを明示するもので、正式名称は「技術基準適合証明」や「技術基準適合認定」と呼ばれているものになります。
対象となる電子機器に対して認定や照明として以下のようなマークが貼付されています。
このマークを「技適マーク」と呼んでいます。
※表示している技適マークはPixel 6aのものになります

次に、「技術基準適合証明」と「技術基準適合認定」の違いについて説明します。

技術適合認定

電気通信事業法に基づき、電気通信事業者の設備に有線・無線を問わず接続する機器に適用されるものです。
電話回線に接続する固定電話やFAX、スマートフォンなどのデバイスをイメージしてもらえれば良いかと思います。
技適マークの横に記載されている[T]から始まる番号が技術基準適合認定の認証番号となります。
この認証がない機器(デバイス)には、法令で利用を禁止されている訳ではないですが、通信事業者の約款にて禁止事項や罰則として規定されている場合があります。

技術適合証明

電波法に基づき、電波を発射する小規模な無線機器に対し、日本国内の電波利用ルールに適合していることを証明するものです。
主にWi-FiやBluetoothを利用した機器や携帯電話、車のスマートキー、ワイヤレスマイクなど、数m~数十mの範囲で通信可能な機器をイメージしてもえれば良いかと思います。
技適マークの横に記載されている[R]から始まる番号が技術基準適合証明の認証番号となります。
この認証がない無線機器は、法令により日本国内での使用が禁止されており、罰則も定められています。
今回は、IoTデバイスとして一番身近な無線LANやBluetooth機器に関係する「技術適合証明」にフォーカスして、気を付けたい点をまとめます。

技術適合証明(技適マーク)のない無線機器の何がダメなのか

日本国内での電波利用に関するルールがあり、それに沿わない法外な出力や、許可されていない周波数帯の電波を発射してしまうことで、他の機器に影響及ぼし、最悪の場合は鉄道や空港といった重要インフラや、救急隊や警察などの治安維持活動などに影響を及ぼす可能性があります。実際に下記のような事故も発生しています。
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/419890?display=1

罰則の適用対象は販売者ではなく利用者である

技適マークが無いデバイスを販売しても販売者には罰則がありません。
購入自体も問題ありません。ただし、購入後に技適マークの無いデバイスに電源を投入して電波を発射した時点で利用者が罰則の対象となります。

例外もある

技適未取得機器を用いた実験等の特例制度の利用

技適未取得機器を用いた実験等の特例制度に技適未取得で利用したいデバイスを申請すると特例で使用することができますが、以下のような制約があります

  • 利用は180日間のみで再申請は不可
  • 諸外国の認証マークがあること(FCCマークなど)
  • WiFiやBluetoothなどの特定の周波数を利用するものに限られる

2024年2月現在、Apple Vision Proを日本国内に持ち込んでこの特例制度を使って検証されているケースが多く見られます。

シールドルームや電波暗室の利用

電波を遮断するシールドルームや電波暗室を利用することで、電波を外部に漏らして影響を与える事なくデバイスを動かすことができます。
ただ、外からの電波も遮断されるので、電波暗室内にあるデバイスとしか通信できません。

まとめ🖋️

IoTデバイスの利用・入手ハードルが低くなった反面、電波に関するトラブルも増加傾向(※1)にあります。ルールを知らなかったでは済まされないですし、目に見えない電波・限りある電波資源だからこそ下記のルールを守りましょう!

  • 必ず技適マークがあるデバイスを購入・利用する
    • パッケージに記載しているケースもあるので、捨てないようにしましょう!
  • ネットでの購入は正規代理店・販売店もしくは専門業者から買うようにする
    • Amazon等でマーケットプレイス出店している業者などは、海外向けの技適マークがない商品をそのまま日本国内で売っているケースもあるので注意!
  • 電波利用には必ずルールがあることを覚えておく
    • 分からなかったら、総務省総合通信局や知ってそうな人に問い合わせてみる!

※1混信に関する申告状況

参考

もう少し電波利用について詳細を知りたい方は総務省のHPを参照ください。

ヘッドウォータース

Discussion

t.yutot.yuto

初めて知りました。IoTの開発などをする際には知っておきたいですね!