Phi-3のFineTuning方法の違い「通常のファインチューニング」「LoRA」「qLoRA」
Phi-3モデルのFineTuning方法って何が違うの?
上記のGitHubリポジトリには、Phi-3のFineTuning方法が記載されています。
そこには「通常のファインチューニング」「LoRA」「qLoRA」の3つのノートブックがあったので、
GPTに何が違うのか聞きました。
GPT-o1-previewの回答
ご提供いただいた3つのノートブックは、Phi-3モデルをファインチューニングする際の異なる手法を示しています。それぞれの方法について、具体的な違いと特徴を説明いたします。
- 通常のファインチューニング
ノートブック: Phi_3_Inference_Finetuning.ipynb
- 特徴
- モデル全体の更新: 通常のファインチューニングでは、モデルの全パラメータが更新されます。
- 高い計算コストとメモリ使用量: モデルサイズが大きい場合、GPUメモリを多く消費し、計算時間も長くなります。
- 最適な性能: すべてのパラメータを調整するため、最も高い性能が期待できます。
- 利点: モデルの性能を最大限に引き出せます。
- 欠点: 計算資源が大量に必要で、時間もかかります。
- 適用例:
リソースに余裕があり、特定のタスクで最高の性能を求める場合。
- LoRA(Low-Rank Adaptation)によるファインチューニング
ノートブック: Phi-3-finetune-lora-python.ipynb
- 特徴:
- 低ランク行列の学習: 元のモデルの重み行列を低ランク行列で近似し、追加のパラメータのみを学習します。
- パラメータ効率: 学習するパラメータ数が大幅に減少し、メモリ使用量と計算コストを削減できます。
- 元のモデルを固定: 基本モデルのパラメータは固定され、LoRAモジュールのみが更新されます。
- 利点: 計算資源を節約しながら、ほぼ同等の性能を維持できます。
- 欠点: 通常のファインチューニングと比較して、微細な性能向上が難しい場合があります。
- 適用例:
複数のタスクに対して効率的にモデルを適応させたい場合。
計算資源やメモリが限られている環境でのファインチューニング。
- qLoRA(Quantized LoRA)によるファインチューニング
ノートブック: Phi-3-finetune-qlora-python.ipynb
- 特徴:
- 量子化とLoRAの組み合わせ: モデルのパラメータを低ビット(例: 4ビット)に量子化し、さらにLoRAを適用します。
- 極限のメモリ効率: 量子化によりモデルのメモリ使用量を大幅に削減し、一般的なGPUでも大規模モデルのファインチューニングが可能になります。
- 性能維持: 適切な量子化手法により、性能の低下を最小限に抑えます。
- 利点: 非常に限られた計算資源でも大規模モデルのファインチューニングが可能です。
- 欠点: 量子化によるわずかな性能劣化が生じる可能性があります。
- 適用例:
消費者向けのGPUやメモリが限られた環境で大規模モデルをファインチューニングしたい場合。
モバイルデバイスや組み込みシステムでのモデル適応。
各手法の比較
項目 | 通常のファインチューニング | LoRA | qLoRA |
---|---|---|---|
パラメータ更新 | モデル全体 | 追加の低ランク行列のみ | 追加の低ランク行列のみ |
メモリ使用量 | 高い | 中程度 | 低い |
計算コスト | 高い | 中程度 | 低い |
性能 | 最高 | ほぼ同等 | わずかな劣化の可能性 |
適用の容易さ | 難しい(リソースが必要) | 容易 | 非常に容易 |
モデルサイズ | 大きい(全パラメータ更新) | 小さい(LoRAパラメータのみ) | 非常に小さい(量子化+LoRAパラメータ) |
選択のポイント
-
計算資源とメモリに余裕がある場合:
通常のファインチューニングがおすすめです。最高の性能を引き出せます。 -
計算資源やメモリが限られているが、性能を維持したい場合:
LoRAを使用すると、効率的にモデルを微調整できます。 -
極めて限られたリソース環境で大規模モデルを微調整したい場合:
qLoRAが最適です。一般的なハードウェアでも大規模モデルのファインチューニングが可能になります。
技術的な詳細
- 通常のファインチューニング
-
実装
モデルをそのままロードし、全パラメータを学習可能に設定します。
学習率やオプティマイザの設定を行い、トレーニングを開始します。 -
必要なリソース
モデルサイズに応じた大量のGPUメモリ(例: 数十GB以上)。
複数の高性能GPUや分散学習の環境。
- LoRAによるファインチューニング
-
実装
LoRAモジュールをモデルに挿入し、元のパラメータを固定します。
LoRAの低ランク行列のみを学習対象とします。 -
必要なリソース
学習するパラメータ数が少ないため、GPUメモリの使用量が削減されます。
単一または少数のGPUでの学習が可能。
- qLoRAによるファインチューニング
-
実装
モデルを低ビット(例: 4ビット)に量子化してロードします。
LoRAモジュールを適用し、量子化されたモデル上でLoRAパラメータを学習します。 -
必要なリソース
モデルが量子化されているため、GPUメモリの使用量がさらに削減されます。
消費者向けのGPU(例: 8GB程度)でも大規模モデルの学習が可能。
まとめ
通常のファインチューニングは最高の性能を求める場合に適していますが、リソースの消費が大きいです。
LoRAは性能と効率のバランスが良く、計算資源を節約しながらモデルを微調整できます。
qLoRAはリソースが非常に限られている場合でも、大規模モデルのファインチューニングを可能にします。
最後に(人の感想)
実際、通常のファインチューニングのノートブックでColabでFine Tuningをしようとしたら、
T4だとOutOfMemoryで学習できず、A100で学習はできるけど、GPU RAMが40GB付近に張り付いている状態だったので、SLMのFineTuningならLoRAで十分じゃないかなと。
Discussion