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入社してから印象に残っている案件について(前半)

2024/12/16に公開

27歳で新たにIT業界に挑戦した株式会社HESの川添です。入社してから約半年が経ちました。
この短い期間で経験した事や学んだ事は非常に多く、毎日が新しい発見の連続でした。
今回は、この半年間の中で特に印象に残った案件について顧客提案までの前半部分と・手配、構築作業の後半部分に分けてお話しします。

目次

  • データセンタサービス業務の概要
  • 初めてのストレージ案件
    • 案件概要
    • 提案内容
  • 提案の理由
    • RAIDレベルの選定
    • ディスク構成と容量の選定
    • ディスクの種類と回転数
  • 学び

データセンタサービス業務の概要

私が担当している「データセンタサービス」とは、顧客のITインフラ環境をデータセンタ内で安全かつ効率的に運用するために提供されるサービス全般を指します。
このサービスには、物理的な機器の導入、保守、解約まで幅広い業務が含まれます。

具体的には、以下のような業務を行っています。

  • 機器導入・解約:顧客から依頼を受け、データセンタ内へのサーバーやストレージ機器の導入や撤去作業を手配。
  • 保守延長手配・解約:機器の保守契約の更新や終了手続きの管理。
  • ハウジングサービス手配・解約:顧客の機器を設置するためのスペースや電源、ネットワーク接続の手配や解約対応。

これらの業務を通じて、顧客がスムーズにシステムを運用できるよう支援しております。

初めてのストレージ案件

この半年間で特に印象に残っているのは、ストレージ容量の拡張案件です。
以下に、案件の概要と提案内容、その理由についてまとめます。

案件概要

  • 依頼内容

    • 既存ストレージの容量が枯渇してきたため、遅くても半年後までに500GBほど容量を拡張する必要がある。
    • 設計構築作業を併せて依頼される。
    • できるだけ予算を抑えたい。
  • 既存のRAID構成

    • RAIDレベル:RAID6
    • ディスク構成:12D+2P
    • ディスクの種類:HDD(回転数15K min⁻¹)

提案内容

  • 提案内容
    • RAIDレベル:RAID6
    • ディスク構成:6D+2P
    • ディスクの種類:HDD(回転数10K min⁻¹)
    • ディスク容量:3221GB(1台あたり600GBのディスク使用)

提案の理由

以下、提案内容の理由について詳細を記載します。

RAIDレベルの選定

既存のRAIDレベルがRAID6で構成されており、RAID6は2重のパリティ情報を生成して高い信頼性を提供する構成です。
担当部署に確認したところ、異なるRAIDレベルを混在させることは技術的には可能ですが、全体の信頼性が信頼性の低いRAIDレベルに引き下げられる可能性があるため非推奨との回答を得ました。
そのため、既存構成に合わせてRAID6を採用しました。
RAID6では、以下の特徴があることがわかりました。

  • 最低4台のディスクが必要。
  • データディスク(D)と2つのパリティディスク(P)で構成。
  • データディスク (D):実際のデータを保存するディスク。
  • パリティディスク (P):データが壊れた際に復元する仕組みを保存するディスク。

ディスク構成と容量の選定

顧客の要望である"500GB以上の拡張"を満たすため、RAID6の構成を検討しました。
既存システムで利用可能なディスクは1台あたり600GBのもののみで、RAID6でデータセンタサービスの仕様上、見積可能だった最小構成である(6D+2P)を提案しました。

以下のこの構成のRAID6では次の計算式で有効容量を算出しました。

  • 総ディスク数:8台 (6D+2P)
  • 1台あたりのディスク容量:600GB
  • 計算結果:600GB×6(データ)=3600GB

しかし、実際にはディスク管理用メタデータやRAIDコントローラーが使用する領域が消費されるため、見積システムでは有効容量は3221GBでした。

ディスクの種類と回転数

既存システムでは15K min⁻¹の高速回転HDDが使用されていましたが、同仕様のHDDが廃番となっていました。
そのため、回転数が10K min⁻¹のHDDを採用する提案を行いました。
以下は一般的に言われている性能比較表です。

項目 15K min⁻¹ HDD 10K min⁻¹ HDD
回転数 15,000回転/分 10,000回転/分
IOPS 約180IOPS 約120IOPS
消費電力 高い 低い
発熱量 高い 低い
コスト 高い 低コスト
寿命(MTBF) 約200万時間 約200万時間

*IOPS(Input/Output Per Second)とは、ディスクが1秒あたりに処理できるI/Oアクセスの数の事

  • 採用理由
    • 消費電力と発熱が抑えられるため、システム負荷を軽減できる。
    • 必要な性能を維持しつつコスト削減が可能。

学び

顧客提案を通じて、RAIDの最低構成や冗長性について詳細に学び、実際に提案に落とし込む事ができました。
同時に、以下の課題も見つかりました。

  • RAID構成の最低要件や仕様を正確に理解し、顧客にわかりやすく説明する事
  • 提案の裏付けとなる技術情報の調査・確認を適切に行う事

先輩社員や関係部署の助けを借りながら無事に提案をまとめる事ができたと思っております。

参考資料

本記事で記載した性能比較表のデータは、以下の資料を参考にしています:

次回は後半部分のストレージ構築手配・ストレージ構築作業についてお話します。

HESI :技術や日々のお仕事などを紹介します

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