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OSI基本参照モデルを勉強してみた

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OSI基本参照モデルを勉強してみた – ネットワークを整理する7つの層

こんにちは、HESの川添です。
基本情報技術者試験の勉強をしていたときに「OSI基本参照モデル」という言葉が出てきました。
正直、最初は「7層もあるの?名前も長くて覚えられない…」という印象でした。
前回の記書に書きましたが業務でネットワーク少し触ると「ARPはL2だから」「ルータはL3だから」みたいに層の話が出てきました。そこで今回は、自分なりにOSIモデルを整理してみたいと思います。


OSI参照モデルの「原典」

調べてみると、OSI参照モデルの「原典」は ISO/IEC 7498-1 という国際規格でした。
正式名称は "Information technology — Open Systems Interconnection — Basic Reference Model: The Basic Model" で、ISO(国際標準化機構)が1984年に定め、1994年に改訂されています。

  1. Wikipedia-OSI参照モデル(参照:2025-09-11)


ISOのストアでは PDF 版が有料(約259ドル、日本円で3万七千円ほど)で販売されています。
自分には購入して全文を読むのは難しかったので、「代わりにどこから概要を得られるか?」を探しました。
そこで分かったのは、この規格と同一の内容が ITU-T X.200 として公開されているということです。

  • Wikipedia にも

    "ISO/IEC 7498-1 is also published as ITU-T Recommendation X.200."
    と明記されています【Wikipedia: OSI model】。

  • そして ITU-T の公式サイトからX.200 の文書が無料で公開されています。
    ITU-T Recommendation X.200 (1994)

つまり、「原典=ISO/IEC 7498-1」ではあるけれど、中身はITU-T X.200 でも確認できる、ということです。
長かったのでITU-T X.200 のサマリー部分だけ目を通しました。そこにはこのようなことが書いてありました:

  • OSI参照モデルは「システム間の相互接続のために標準化を調整する共通基盤」として定義されている
  • 既存の規格を全体モデルの中で位置づけられるようにしている
  • 関連する標準の一貫性を保つための共通の参照を提供する
  • 今回の改訂では「コネクションレス通信の概念」が追加され、技術的・編集的な修正も行われた

正直難しくてちゃんと理解できていません…。
ただ、OSI参照モデルが、国際的に標準化を進めるための土台になっていることはなんとなくわかりました。


OSI参照モデルが作られた背景

OSI参照が作られた背景について調べてみました。
背景を整理すると、以下のような事情がありました。

  • ベンダーごとの独自方式
    1970年代〜80年代、当時のコンピュータ・メーカーはそれぞれ独自のネットワーク方式を使っていました。たとえば IBM社のSNA(Systems Network Architecture) のように、メーカーごとに異なる仕組みでコンピュータを接続していたため、異なるベンダー間で相互接続するのは非常に困難でした。

  • 国際的な標準化の必要性
    こうした状況を背景に、異なるメーカーのコンピュータを容易に接続できる共通の枠組みが求められました。その解決策として国際標準化機構(ISO)が策定したのが OSI参照モデルでした。

また、プロトコルの実装としてはTCP/IPが広く普及しましたが、OSI参照モデル自体は教育や文書・規格の参照モデルとして今も使われ続けています。

メーカーごとに違う仕組みが乱立していたという背景はイメージが湧きにくいですが、もし今のように標準化された枠組みがなかったら、機器をつなぐために仕様を調整したりする必要があったりするのかなと思うととても大変そうだと感じました。
OSI参照モデルは通信を整理する枠組みとしてとても便利なものであるなと思いました。

日経XTECK-OSI基本参照モデルはなぜ作られたのか(第24回)(参照:2025-09-11)
Wikipedia-プロトコル戦争)(参照:2025-09-11)

OSI基本参照モデルとは?

改めてOSI基本参照モデルとはなんなのか調べました。
調べた結果、「ネットワークでの通信を7つの層に分けて考える考え方」です。

OSIの7階層

名前 役割(ざっくり)
7 アプリケーション層 人とコンピュータがやりとりする層。アプリケーションがネットワークサービスにアクセスできる(例:Web、メールなど)
6 プレゼンテーション層 データをアプリが利用できる形式に整える層。暗号化や圧縮もここで行われる
5 セッション層 通信の開始・終了を管理する層。ポートやセッションを制御して接続を維持する
4 トランスポート層 TCPやUDPなどのプロトコルを使ってデータを送信する層
3 ネットワーク層 データがどの経路を通るかを決める層(ルーティングやIPアドレス)
2 データリンク層 ネットワーク上でのデータの形式を定義する層。MACアドレスを使って隣接ノード間で通信する
1 物理層 ビット列を物理的な媒体(ケーブルや電波など)を通して送受信する層

Cloudflare OSI Model 解説(参照:2025-09-11)


TCP/IPモデルとの違い

勉強していて混乱したのが「TCP/IPモデル」との違いです。
OSIは7層ですが、TCP/IPは4層にまとめてあります。

OSIモデル TCP/IPモデル 主な役割
アプリケーション層 / プレゼンテーション層 / セッション層 アプリケーション層 Web, メール, SSH
トランスポート層 トランスポート層 TCP/UDP, データの信頼性
ネットワーク層 インターネット層 IP, 経路選択
データリンク層 / 物理層 ネットワークインターフェース層 LAN, ケーブル, MAC

OSIモデルとTCP/IPモデルを整理すると以下で言い表せれるのかなと思いました。

  • OSIモデル=国際標準として作られた「理想的な枠組み」
  • TCP/IPモデル=実際の通信で動いている「現実の実装」

ネットワーク機器との対応

さらに調べてみると、OSIの層ごとに「どの機器が対応しているのか」を知ると理解が深まりました。

名前 対応する機器
7〜4 アプリケーション層〜トランスポート層 ゲートウェイ
3 ネットワーク層 ルータ / L3スイッチ
2 データリンク層 ブリッジ / L2スイッチ
1 物理層 リピータ / ハブ

これを押さえると、

  • ARPは「L2」で動くからVLANを超えられない
  • VLANを超える通信には「L3」のルータが必要

という前回学んだ内容とも繋がってきました。


学んだこと

  • OSI参照モデルの「原典」は ISO/IEC 7498-1。調べてみると、国際標準として定義された考え方だと分かった。
  • OSIはベンダー間の相互接続と標準化のために作られたモデル。
  • TCP/IPモデルが実装の主流となったが、OSI参照モデルは教育・文章の規格として今でも使われている。
  • ネットワーク機器との対応を知ると、実際の通信イメージと結びつけやすい。

まとめ

今回は、基本情報の勉強・実務でネットワークについて考える必要があり、それをきっかけにOSI基本参照モデルを整理しました。
原典まで調べるのは少し大変でしたが、「OSI=国際標準として定義された考え方」というのを知れたのは大きな収穫でした。
まだまだ用語暗記に苦労してますが、「L2だからARP」「L3だからルータ」と言われたときに少しずつネットワークの構造を理解できるようになってきた気がします。
今だからこそ、こうやって勉強ノートとして残しておこうと思います。

今回も見ていただきありがとうございます。次回もお楽しみに!!

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