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IC (Internet Computer) による新しいインターネット世界 10のアイディア

2025/02/14に公開

IC (Internet Computer) による新しいインターネット世界 10のアイディア

前回の記事のおいてIC (Internet Computer) の概要からロードマップまでICでできること、ICで実現しようとしていることがわかったと思うので、
具体的なアイディアに落とし込んでみる。

1. 分散型サプライチェーン管理プラットフォーム

製品の生産から流通までの全プロセスをIC(Internet Computer)で追跡を行う。
製品の製造元情報、どこからどこへ移動したか、どこで保管されたかなどの流通プロセス、製品の情報を管理することで製造側はどの時点で問題があったか、消費者は製造元や流通プロセスを知ることで信頼できる製品であることを判断することができる。

メリット

  • 偽造品対策や品質管理を行うことが可能である。
  • 企業間でのデータ共有と連携が行える。
  • 特定の企業間におけるプライベートなデータのやり取りが限定的に可能である
  • 消費者への信頼向上につながる。

実現方法

製品のトレーサビリティデータのオンチェーン管理

Canister で製品のトレーサビリティデータを保存・管理します。

  • 製造元情報(製造者、原材料、生産日、品質管理データ)
  • 流通情報(倉庫、輸送履歴、納品先、受け渡し日時)
  • 製品情報(製品ID、シリアル番号、保証情報)
  • データは IC上の分散ストレージ(Stable Memory) に記録され、適切なアクセス制御を実装することで 企業間のデータ共有を制御する。

偽造品対策や品質管理

  • IC 上で各製品ごとにNFT(固有トークン)を発行し、所有履歴を管理する。
  • 製品データにSHA-256のハッシュ値が記されたQRコードまたはタグを付与し、スキャンする
  • スキャン時に流通ポイント(受け渡し場所、製造場所など)や製品情報を記録し、ブロックチェーン上に記録された製品情報と一致することを確認する。
  • 消費者への販売時にNFTを消費者へ送付する。

消費者への信頼向上

消費者は 製品に記載・付与されたQRコードや受け取ったNFTをスキャンすることで、製品の真正性を検証できる。

  • シリアル番号 または QRコード、NFTに記録された情報をIC上のデータと検証する。
  • ブロックチェーンのトランザクション履歴を閲覧することができる。

2. フリーランスや企業間の分散型タスク管理システム

分散型タスク管理システムをICP上で構築する。クライアント、フリーランスや企業間でタスクの依頼、処理を行い、互いに紛争が発生したら、タスクの検証者が仲裁役としてタスクの検証や資金配分を決定する。

処理フロー

  • クライアントがタスクを作成する。
  • タスクを見つけてフリーランスがタスクの対応希望をする。
  • 概算見積を行ってクライアントに伝える。
  • クライアントとの合意が取れたら、フリーランスはタスクを処理する。
  • クライアントにタスクが完了したことを伝える。
  • クライアントはタスクの結果を確認する。
  • 問題なければ完了し、報酬をもらう。
  • 問題があれば、フリーランスに相談して修正、
  • 仲裁人 がタスクの内容を検証する
  • 検証結果(理由)と資金の配分を決める(クライアントとフリーランスの配分)
  • クライアントとフリーランス間の合意が取れたら、報酬が得られる。

メリット

  • タスクの処理プロセスや合意形成の透明性が確保される。
  • Web2上のスキル評価サイト(Findyなど)やGithubなどと連携することが可能。

実現方法

技術スタック

  • バックエンド: Internet Computer Protocol (ICP)
    • スマートコントラクトを使用し、タスク管理、支払い処理、仲裁のロジックを実装
  • フロントエンド: React + Next.js(App Router対応)
  • 認証: Internet Identity(II)
  • ストレージ: Stable Memory
  • 支払い: ICPのネイティブトークン(ICP)

タスク作成から合意形成、紛争じの仲裁、報酬受け取り

タスク作成
  • クライアントがタスクを作成し、タスク情報をCanisterに保存
  • タスク情報:
    • タイトル、詳細、報酬額、締切
    • 必要スキル(オプション)
    • ステータス(募集中、進行中、完了、紛争中)
フリーランスの応募 & 合意形成
  • フリーランスはタスクを閲覧し、応募
  • 見積もりを提出し、クライアントと合意が取れたらスマートコントラクトで資金をエスクロー
タスク実行 & 検証
  • フリーランスがタスクを実行
  • クライアントが成果物を確認
  • 必要に応じて修正依頼
紛争時の仲裁
  • 仲裁者(選択制 or DAOで選定)がタスクの結果を評価
  • スマートコントラクトに基づき、報酬の配分決定
報酬の受け渡し
  • クライアント & フリーランスが合意 に達したら報酬がスマートコントラクトで支払いされる
  • 仲裁により決定し、合意に達したらスマートコントラクトで支払いが配分される。

その他の機能

  • FindyやGitHubと連携(フリーランスのスキル評価)
  • DIDによる評判システム(信頼スコアを管理)

3. 亡くなった際にアカウント消滅システム

身につけているデバイスから生命反応を検知する。または、友人または家族が死亡の通知を本システムに行うことで関連するアカウントを消滅させる。
Internet Identity(II) を活用し、アカウント紐付け → 生存確認の仕組み → 削除フローの実行が行われる。

メリット

  • ユーザーが生前に設定することで、家族や友人が手続きを行う必要がなくなる。
  • 複数のWeb2(Google, Twitter)とWeb3アカウント(ICP, Ethereum, etc.)を一元管理 可能。
  • 亡くなった後に、特定のNFTやデジタル資産を遺族へ送る、または完全削除する など、柔軟な設定ができる。
  • データの処理方針をユーザー自身が決めることが可能(削除、移譲、アーカイブなど)。
  • 単一の企業の方針変更に依存せず、確実にアカウント削除を実行できる。

実現方法

Internet Identity(II) を利用することでWeb2の複数のアカウントを紐づけておく
紐付けたアカウントがスマートコントラクトで削除が開始される

ICP(Internet Computer)上で「亡くなった際にアカウント消滅システム」を実現する方法を考えると、以下のようなアプローチが可能です。

Internet Identity (II) を利用したアカウント管理

  • II を Web2 & Web3 アカウントと連携:
    • II に Web2 アカウント(Google, X, Instagram など)を紐付ける。 もしくはアカウントを削除または無効化できる情報を記録するなどの準備をする。
    • Web3 アカウント(Ethereum, ICPのPrincipal IDなど)も登録。
    • これをスマートコントラクト(Canister)に保存。
  • ユーザーの活動状況を監視:
    • 一定期間ログインがなければ、本人確認フロー(生存確認)を開始。

死亡通知をトリガーにしたアカウント消去フロー

  • 家族・友人の認証システム:
    • 指定した家族や友人に「死亡通知権限」を付与(Multisig 承認制も可)。
    • 彼らが死亡を報告すると、スマートコントラクトが削除プロセスを起動。
  • ウェアラブルデバイスとの連携:
    • Apple Health, Fitbit, Oura などからの生体データを活用。
    • データが一定期間取得できない場合、警告を発し、最終的に削除プロセスを開始。

アカウント削除の実行

  • Web2アカウントの削除:
    • API を利用し、Google, X, Instagram などのサービスへ削除リクエストを送信。
    • 各サービスが提供する OAuth リクエストでアカウント削除を自動化。
  • Web3アカウントの無効化:
    • スマートコントラクトの鍵を破棄することでアクセス不能にする。
    • NFT やトークンの処理:
      • 遺族に送信する。
      • 事前に指定したアドレスへ送付(慈善団体など)。
      • バーン(完全削除)する。

4. 所有物に対してNFTを発行して自分のステータスとするシステム

  • 現実に存在する製品に対してNFTを発行をする。
  • NFT所有者に対して、ランキング付や特定のNFTを所有するユーザに限定に特典を付与する。(例:限定サイトやクーポン発行、特定のイベントへの参加など)

メリット

  • 限定グッズ、高級ブランド品(時計、バッグ)のNFTを所持していることで確実に自分が所有していることを証明できる。

実現方法

NFT は以下を利用することで発行する。

  • DIP721
  • EXT
  • ICRC-3
  • ICRC-7
  • ICRC-37

現実の製品とNFTを紐づける

  • 製品のシリアル番号や製造情報をNFTのメタデータに記録
  • 製品にQRコード/NFCタグを付与し、NFTと照合可能にする
  • NFTの発行
  • 製品の真正性や所有権証明としてNFTを発行
  • 転売・譲渡時にNFTの所有者を更新可能にする

デジタル・リアル特典の付与

  • 限定コンテンツ閲覧(Webサイト、動画、記事)
  • 限定クーポン配布
  • NFT所有者のみが参加可能なイベントの開催
  • パートナー店舗・ブランドの特典提供

5. 自身の活動、ランキングに対してNFTを発行して自分のステータスとするシステム

Amazon、楽天、食べログなどのプラットフォームでは、サクラレビュー(やらせレビュー)や不正評価の問題が指摘されている。これにより、消費者は正確な判断ができず、プラットフォームの信頼性も低下する。
ICP(Internet Computer)上にレビューコメントを記録することで、IDベースの追跡と改ざん防止を実現し、信頼性の高いレビューシステムを構築できる。

メリット

  • 改ざん耐性: ICP上での記録により、レビューの改ざんが不可能
  • レビューの透明性: すべての履歴を追跡でき、不審な操作を検知
  • 信頼性の向上: DID認証と履歴ベースのスコアリングで、サクラレビューを排除
  • インセンティブによる健全化: 正当なレビューにはトークン報酬を付与し、誠実な投稿を促進
  • クロスプラットフォーム対応: 既存ECサイトや口コミサイトと統合可能

実現方法

  • アクティビティに基づくスコア(投稿数、コメント数、ログイン頻度)
  • コミュニティへの貢献(投票、フィードバック)
  • 特定のスコア達成で「ブロンズNFT → シルバーNFT → ゴールドNFT」に進化
  • ユーザーの貢献度、アクティビティ、スコアを評価し、ランキングごとに異なるNFTを発行する。
  • NFT所有者に対して、ランキング付や特定のNFTを所有するユーザに限定に特典を付与する。(例:限定サイトやクーポン発行、特定のイベントへの参加など)

分散型ID(DID)によるユーザー認証

  • レビュー投稿者をDIDを用いて認証
  • 実績のあるユーザーほど評価が重視される仕組みを導入

レビューコメントのオンチェーン記録

  • レビュー内容をICP上のスマートコントラクトに記録
  • 改ざん防止のため、すべての変更履歴を追跡可能にする

レビューの信頼性スコア導入

  • 投稿者の履歴、購入実績、過去のレビュー信頼度を考慮したスコアを算出
  • 一定のスコア以上のレビューのみ強調表示

報酬制度の導入(トークンインセンティブ)

  • 有益なレビューを書いたユーザーにトークン報酬
  • サクラレビューが経済的に割に合わない仕組みにする

プラットフォーム間の相互運用性

  • Amazon、楽天、食べログなどと連携し、信頼性の高いレビューの共有

6. エンタープライズ向けストレージ

メリット

分散型の耐障害性

  • ICP(Internet Computer)は分散型ネットワーク上で動作し、データセンターに依存しないため、シングルポイント・オブ・フェイリア(SPOF)が発生しにくい。
  • データの冗長性が確保され、可用性が高い。

改ざん耐性とデータの完全性

  • ブロックチェーン技術により、データの改ざんが困難で、真正性を保証できる。
  • 監査証跡(Audit Trail)を持つストレージとして利用可能。

コスト削減

  • クラウドプロバイダーの従量課金モデルと異なり、ICP上ではスマートコントラクト(Canister)の形でデータを保持できるため、長期的にストレージコストを削減できる。

スマートコントラクトと連携

  • データストレージとアプリケーションロジックを統合できるため、エンタープライズ向けのDApps(分散型アプリケーション)と直接連携しやすい。

プライバシーとアクセス管理

  • ICPのインターネットアイデンティティ(Internet Identity)と統合することで、アクセス制御を強化できる。
  • 暗号化を組み合わせることで、エンタープライズ向けのセキュリティ要件に適合。

実現方法

Canisterを活用したストレージ管理

  • ICPのCanisterを使用してデータストレージを構築。
  • 大容量データはBigMapやStreamingを利用して効率的に管理。

分散型ファイルストレージとの統合

  • ICPネイティブのストレージ機能を使用するだけでなく、IPFS(InterPlanetary File System)やArweaveと連携することで、ストレージ容量の制約を克服。

エンタープライズ向けAPIの提供

  • REST APIまたはGraphQLを提供し、既存の企業システムと統合。
  • Zero Trustアーキテクチャを採用し、安全なデータアクセスを確保。

アクセス制御と認証

  • インターネットアイデンティティ(Internet Identity)を導入し、企業ごとのアカウント管理を実現。
  • データに対するアクセス権をスマートコントラクトで制御。

データの暗号化

  • クライアント側暗号化を実装し、機密情報を保護。
  • ゼロ知識証明(ZKP)を活用し、データのプライバシーを確保しながら検証を可能に。

トレーサビリティと監査ログ

  • すべてのデータ変更履歴を記録し、監査ログをブロックチェーン上で管理。
  • 企業がコンプライアンス要件(GDPRなど)を満たすための証跡を提供。

7. 学習証明が可能な学習プラットフォーム

DID/VC、NFT、スマートコントラクトを活用し、学習成果を証明し、講師と受講生が直接やり取りできる学習プラットフォームを実現する。

メリット

  • 偽造や改ざんが不可能な形で学歴や資格を証明可能。企業や大学が簡単に検証できる。
  • 受講生が購入・受講したコンテンツの所有権を持ち、転売や譲渡が可能
  • 受講生が学習進捗に応じて報酬を得られる。
  • 講師に直接報酬が届くため、中間手数料削減。

実現方法

DID/VCによる学歴・資格証明

  • 大学・教育機関が証明書をVCとして発行
  • 企業が求職者のVCをブロックチェーン上で即時検証
  • 受講生が資格情報を自身のウォレットで管理・提示
  • Web2 上のシステムと連携して学習情報を企業へ証明することで学歴、就職や転職に活用

NFTによる学習コンテンツ管理

  • 受講生が購入した講義資料をNFTとして所有
  • 認定資格のバッジをNFTとして発行・保有
  • 学習コンテンツの二次流通(再販)を可能に

NFT は以下を利用することで発行する。

  • DIP721
  • EXT
  • ICRC-3
  • ICRC-7
  • ICRC-37

スマートコントラクトによる報酬システム

  • コース修了後、学習成果をスマートコントラクトが自動検証
  • 受講生がテスト合格・コース完了でトークン報酬を受け取る
  • 企業が学習成果に基づき奨学金・リワードを提供

8. パスワード管理システム

暗号化したシークレット情報をICP上に保存し、復号化キーをユーザーにのみ保持させることで、パスワード管理を実現する。また、Internet Identity を利用することでユーザに手間の少ないパスワード管理、入力ができる仕組みとする。

メリット

ICP(Internet Computer)上でパスワードやシークレットを管理するシステムを構築することには、以下のメリットがあります。

分散型アプローチによる高いセキュリティ

  • ICPのスマートコントラクト(Canister)はWeb3ネイティブであり、中央サーバーを持たずにデータを分散管理できるため、単一障害点(SPOF)が発生しにくい。

永続的なデータ管理

  • ICPのCanisterは、データを永続的に保存できるため、シークレット情報のロストリスクを軽減できる。

オンチェーンアクセス制御

  • ICPのID(Internet Identity)やDID(Decentralized Identifier)を活用し、ゼロトラストな環境でシークレットのアクセス管理が可能。

エンドツーエンドの暗号化

  • クライアント側で暗号化したデータをCanisterに保存し、復号化キーをユーザーにのみ保持させることで、より高いセキュリティを実現可能。

ユーザにはガス代が不要

  • Ethereumなどと異なり、ICPではユーザ側のコストがかからないため、ユーザが参入しやすい。

その他

  • 共有シークレット機能: 特定のユーザーにシークレット情報を共有できる機能(グループ管理)。
  • NFTベースのアクセス制御: 特定のNFTを持つユーザーのみ特定のシークレットにアクセス可能。
  • 暗号化バックアップ: 他の分散型ストレージ(IPFS, Arweave)と連携し、復旧手段を用意。
  • Web2のサービスと連携し、パスワードの自動入力やChrome拡張との連携が想定される。

実現方法

  • Canister(スマートコントラクト): シークレットデータの管理とアクセス制御を行う。
  • 暗号化ライブラリ: データ保存前にクライアント側で暗号化(AES, RSA, ECDHなど)。
  • 認証システム: Internet Identity(II)やDIDベースの認証を採用。
  • フロントエンド: ユーザーがシークレットを登録・取得できるUI。
  • クライアント側で暗号化し、Canisterには暗号化済みデータのみを保存。
  • Internet Identityを利用し、シークレットの所有者以外はアクセス不可とする。
  • Canisterに保存される情報:
    • owner: 所有者のPrincipal ID
    • encrypted_data: 暗号化されたパスワード・シークレット
    • metadata: 追加情報(例:サービス名)

9. 分散型AI

ICP上で分散型AIを実現するプラットフォームを構築する。

メリット

完全な分散化

  • ICP上のスマートコントラクト(Canister)は、分散型のノードによって管理されるため、特定の企業や団体の管理から独立してAIを運用可能。
  • 中央集権的なサーバー依存を排除し、検閲耐性が高いAIを実現。

低コストな計算リソース

  • ICPの独自技術(Chain Key Technology)により、ノード間で効率的に計算を分散し、従来のブロックチェーンと比較してコストを抑えたAIモデルの運用が可能。
  • AIモデルのトレーニングや推論を効率化できる。

データの透明性と耐改ざん性

  • AIの学習データや推論結果をブロックチェーン上に記録することで、AIのバイアスや結果の透明性を確保。
  • 改ざんを防止し、信頼性の高いAI運用が可能。

データ主権とプライバシー

  • 個人や企業のデータを自己管理でき、分散型ID(DID)と組み合わせることで、ユーザーが自らのデータ利用をコントロール可能。
  • AIモデルの学習に用いられるデータの権利管理が可能。

スマートコントラクトとの統合

  • AIの意思決定プロセスをスマートコントラクトに組み込み、自律的な意思決定システム(DAO+AI)を構築できる。
  • 例えば、AIが解析したデータを元に自動で取引や契約を実行するシステムを構築可能。

実現方法

AIモデルのデプロイ

  • Canister Smart Contract を活用して、AIモデルをICP上にデプロイ。
  • Canister上で軽量なモデル(例: ONNXやTinyML)を実行可能。

分散型ストレージの活用

  • AIの学習データやモデルを ICPの分散ストレージ(e.g., Canister Storage, BigMap) に保存。
  • モデル更新や学習データの管理をブロックチェーン上で透明化。

計算リソースの分散化

  • Threshold SigningChain Key Technology を活用して、AIの計算負荷を複数のノードに分散。
  • オフチェーンでの計算が必要な場合は、Verifiable Computation(証明可能な計算) を活用。

データのプライバシー保護

  • ユーザーのデータを秘匿化するために 暗号技術(FHE, ZKP) を活用。
  • データオーナーがアクセス権を制御できる DID(Decentralized Identity) と連携。

DAOによるガバナンス

  • AIのモデル改良やルール変更を DAO(分散型自律組織) で管理し、コミュニティ主導のAI開発を実現。
  • 例: AIモデルのアップデートを投票で決定し、偏った学習を防ぐ。

10. AIエージェントによる並列タスク実行システム

タスクを並列実行するAIエージェントが実行されるシステムを構築する。

メリット

ICP(Internet Computer)上でAIエージェントを構築することには、以下のようなメリットがあります。

完全なオンチェーン実行(Serverless)

  • 中央サーバー不要: ICPのスマートコントラクト(Canister)上でAIエージェントを動作させることで、クラウドや専用サーバーなしでAIを提供可能。
  • スケーラビリティ: ICPのノードは自動でスケールするため、大量のリクエストにも対応しやすい。
  • 運用コストの削減: サーバーメンテナンスやクラウドの従量課金が不要。

データの耐改ざん性と透明性

  • レビューや履歴の保証: AIエージェントの動作履歴や応答をICP上で記録すれば、不正操作や改ざんの防止が可能。
  • AIの説明責任: AIの推論過程やトランザクションログを公開し、ユーザーの信頼を確保できる。

DID(分散型ID)やNFTとの連携

  • DIDを用いた個別最適化: 各ユーザーの分散型IDを使い、パーソナライズされたAIエージェントを提供可能。
  • NFTを活用したアクセス制御: 特定のNFT所有者だけがAIの特定機能を利用できるようにするなど、新しいビジネスモデルが実現可能。

スマートコントラクトによる自律動作

  • エージェントのDAO化: AIエージェントをDAOと組み合わせることで、完全自律的に動作し、アップグレードや機能追加も投票ベースで決定可能。
  • タスクの分散実行: ICPの並列処理能力を活かし、複数のエージェントが協調して作業を進めることが可能。

実現方法

AI推論の実装

  • WebAssembly対応のAIライブラリをCanisterにデプロイ

    • ICP上ではWasm(WebAssembly)が実行可能なため、軽量なAIモデルをデプロイ可能。
    • 例: onnxruntime-web を利用して、簡易的な推論を行う。
  • オフチェーン推論とのハイブリッド構成

    • 大規模なAIモデル(例: GPT, Stable Diffusion)はオフチェーンで動かし、結果のみをCanisterに記録する設計も可能。
    • ICPのHTTPアウトコールを利用すれば、外部のAI API(OpenAI, Hugging Faceなど)と連携可能。

データの保存

  • AIエージェントの学習データや履歴をICPストレージに記録
    • Canisterはデータ保存機能を持っており、**分散ストレージ(ICPのBigMap)**を活用することで効率的に管理可能。

DIDや認証の導入

  • Internet Identity(II)を活用したログイン
    • DIDベースでユーザー認証し、AIエージェントの個別最適化や権限管理を実装。
  • NFTとの連携
    • CanisterにNFTデータを記録し、AIの利用権をNFT所有者に限定する仕組みを構築。

スマートコントラクトによる自律化

  • DAOと連携してAIエージェントを管理
    • 例えば、ユーザーコミュニティがAIのアップデートやパラメータ調整を投票で決定する。
  • タスクの自動化
    • ICPのCron機能を活用して、定期的にデータ処理やAI学習を実行可能。
GitHubで編集を提案

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