デリゲーションポーカーを実施し、権限の明確化と移譲を行った話
はじめに
こんにちは。@hayata_yamamotoです。
今回は、先日プロダクトチーム内で行ったデリゲーションポーカーのお話をしながら、この施策を実施した背景と実施した内容、その結果についてご紹介します。
デリゲーションポーカーについて
Management3.0 によると、デリゲーションポーカーとは以下のような手法とされています。[1]
Use Delegation Poker to clarify who’s responsible for what and to what level. This is a method where you can encourage employee engagement through controlled self-organization and clarified value and decision-making.
デレゲーションポーカーを使い、誰がどのレベルまで責任を持つかを明確にします。これは、統制のとれた自己組織化と価値観・意思決定の明確化により、社員のエンゲージメントを高める方法です。
以下のレベルに基づいて、各人がどの程度責任を有しているかを表明し、合意形成を行っていく手法です。
レベル 1. 命令する : 私が彼らに決定を伝える
レベル 2. 説得する : 私が彼らに売り込む
レベル 3. 相談する : 彼らに相談し私が決める
レベル 4. 同意する : 私が彼らと合意して決める
レベル 5. 助言する : 私は助言するが彼らが決める
レベル 6. 尋ねる : 彼らが決めた後で私が尋ねる
レベル 7. 委任する : 私は彼らに完全に委ねる
本来は、アジャイル開発におけるプランニングポーカーと同じように、カードを用いてさならがポーカーのようにやるのが良いらしいのですが、今回弊社では簡易的な方法を用いてこのデリゲーションポーカーを実施しました。
デリゲーションポーカーとの出会い
なお、私がこの方法を知ったきっかけは、Flyle で CTO をされている @toshi_moz さんから、チームの権限移譲とチームビルディングの文脈で、「デリゲーションポーカーを導入したらめちゃくちゃよかった」と教えてもらったことでした。
彼とは、ゼロワンブースターさんがやっているシード期の CTO が集まるコミュニティ『ゼロワンギルド エンジニア』[2] の同期で、シード期特有のさまざまな悩みや課題を共有しながら、それぞれが課題解決をしてきた仲間です。こういういい情報をくれる繋がりは大切ですね。
どうしてデリゲーションポーカーを実施しようと考えたのか
この半年ほど全社的に行ってきた開発プロセスの見直しの結果、次第に開発プロセスや各人がチーム内で果たす役割が明確になってきたからです。さらには、今後プロダクト組織を拡大していく計画を見据えると、不明確な権限移譲が必ず組織のボトルネックや痛みになると、私自身が感じていたことも挙げられます。
弊社は、領域横断的に活躍し、リーダーシップを発揮しながらプロダクトを通じて顧客に価値提供ができるメンバーで構成されており、彼ら/彼女らがより高い成果を創出できるような組織作りを行っています。これ自体は、とても良い方針である一方で、全くデメリットがないわけではありません。その最たる例が、役割を明確に切りすぎず、あえて責任範囲をオーバーラップさせてしまうことで、最終的に誰が意思決定を行うのかが曖昧になりやすい という点でした。
責任の所在が曖昧になると、最終的には私自身が対処をしてしまう瞬間も多々ありました。その結果、最終的な結果だけ見ると滞りなく終わっているが、組織全体で見ると権限移譲がうまくできてない問題を、マネージャー(要するに私)が自力なんとかしているだけという状態でした。この行動はプレイヤーとしては適切でも、お世辞にもマネージャーとしては適切な行動とはいえません。そこで私は、明確にしておくべき権限が不明確になっていることが問題であると考え、チームやメンバーに任せるところをはっきりさせるための手段として、デリゲーションポーカーを採用することにしました。
責任範囲を決める際の葛藤
責任の話は「持つか、持たないか」という二者択一の議論になりがちで、マネージャー自身の不安解消のためだけに無理に明確な責任範囲を決めると、チーム内には他責が生まれやすい懸念がありました。責任範囲を明確に線引きすることによって、自社のカルチャーに対しても毀損が発生すると、本末転倒であり、なるべく避けたいと思っていたのも事実です。
しかし、デリゲーションポーカーであれば、責任の度合いをバイナリでない方法で表現しつつ、「どれくらいその領域や権限に関与するつもりか?」を表現できます。弊社のカルチャーや、開発時のチームの実態とかなり近い形で運用できています。
また、他社の事例を見ると、ある程度の組織規模になってからデリゲーションポーカーを採用する企業が多いようにも見受けられましたが、「こういう合意形成の癖は早いうちに文化にしておいた方が後々に効いてくる」と信じ、このタイミングで実施することに決めました。
デリゲーションポーカーの実施方法
弊社では、 Flyle さんや他の導入事例[3][4]を参考にしながら、簡易的なデリゲーションポーカーを実施しました。 具体的には以下のようなことを行いました。
参加メンバーとしては、正社員・業務委託問わず一定以上の稼働やプロダクトに対するコミットを発揮している人を対象としました。今回は、全員で4名の合意形成となっています。
デリゲーションポーカーを実施した結果
結果的に以下のような効果がありました。
今後
弊社では、四半期に一回、東京に全社員が集まり全社で重要な議論を行うイベントを実施しています。その際に、プロダクトチームでは継続して、デリゲーションポーカーを用いた権限の明確化と、合意形成を今後も実施していこうと考えています。
小さく始めて、今後組織が大きくなって行った際もこの取り組みが継続的に続けられるよう、工夫・改善をしながら今後も取り組んでいく所存です。
おわりに
今回は、先日プロダクトチーム内で行ったデリゲーションポーカーのお話をしながら、この施策を実施した背景と実施した内容、結果として生まれた効果についてご紹介しました。
この記事や弊社に少しでもご興味持っていただけたら、是非カジュアル面談などにお越しください!
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