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データベーススペシャリスト試験に一発合格できました

2023/12/29に公開

はじめに

2023年10月8日(日)に実施された、IPA(情報処理推進機構)が提供する令和5年度のデータベーススペシャリスト試験(以下デスぺ)を先日受験しまして、無事合格することができました。
記事のネタができて良かったなと思いつつ(落ちたら落ちたで不合格体験記も需要があるとは思っていましたが)、勉強方法や受けた所感について述べていきたいと思います。

なお、デスぺについては、IPAのサイトで以下のように紹介されています。

企業活動を支える膨大なデータ群を管理し、パフォーマンスの高いデータベースシステムを構築して、顧客のビジネスに活用できるデータ分析基盤を提供するデータベース管理者やインフラ系エンジニアを目指す方に最適です。[1]

試験構成としては午前Ⅰ、午前Ⅱ、午後Ⅰ、午後Ⅱの4つから成ります。
すべて100点満点中の60点以上獲得で合格です。

受験に至った経緯

令和4年春期に応用情報技術者の資格を取得したのですが、その次の大きな資格となるとやはりレベル4の高度試験かなと考えていました。
また、応用情報に合格してから2年間は、高度試験の一部(午前Ⅰ試験)が免除されます。 [2]
高度試験は試験時間が非常に長いため、この免除を活用できるうちに受けた方がいいとも思っていました。

そして普段の仕事内容でいうと、セキュリティやネットワークの知識についてはそこまで深く求められないのですが、DBはそれなりに触ることが多く、SQLの知識はもちろんパフォーマンスチューニングなどが必要になることもあります。
また、既に完成されている仕様に対する調査や利用が多いため、設計に関してはほぼ素人だという危惧がありました。 デスぺは設計力がかなり問われる試験なので、実務経験ではないにしろ受かればある程度設計に自信が持てるかなと考えました。
さらに、社内でも高度試験の資格を持っている人はほとんど聞かない中で、同期が令和4年度のデスぺに合格しており、刺激を受けたのも大きかったです。

受験前のDBに関するスキル

  • 実務経験2年ほど
  • 応用情報レベルの知識(基本的なSQL、E-R図、トランザクションなど)
     

逆に知らなかったこと・理解が怪しかったところを書いた方が分かりやすいかもしれません。以下の辺りです。

  • やや応用的なSQL(ウィンドウ関数、カーソルなど)
  • 参照制約(NO ACTION、CASCADE、…)、トリガー処理などのDBMSの機能
  • バッファやインデックスなど物理設計に関するところの大部分

正規形も正直怪しかったので、勉強し直しでした。

行った試験対策

勉強方法については十人十色やり方があると思いますし、私自身他の方々の合格体験記を参考にしたりもしていたので、あまり詳細には述べませんが、参考程度にしていただければと思います。

使った教材はこちらです。
https://book.impress.co.jp/books/1121101110
特にこだわりがあった訳ではなく、書店でいくつか見た中で決めました。
結局教材は過去問をどれだけフォローしているかが重要かなと思ったので、そういう意味では十分な印象でした。
私の場合はこれを基本頭から読んでいきましたが、すでに身についている分野や午前問題関連の章は割と適当に流しました。
この教材中にも演習問題として過去問が載っていますが、それら含めて読了したのち、過去問に取り掛かりました。

続いて、午前Ⅱ~午後Ⅱのそれぞれに対しての取り組み方について述べていきます。
なお、午前Ⅰ(計30問の四択問題、制限時間は50分)は先述の通り免除でしたので割愛します。

午前Ⅱ

午前Ⅱは計25問の四択問題、制限時間は40分です。

やはり過去問道場ですね。
https://www.db-siken.com/dbkakomon.php
私の場合は応用情報の受験が終わった後に、そのうち高度試験を受けるかもしれないと考え、
毎朝ご飯を食べながら1問だけ解くのを1年半ほど続けていました。
その甲斐あってか試験1か月前を切った頃に2年分ほど解いてみて手応えを感じられたので、
あとはすべて午後対策に費やしました。

午後Ⅰ・午後Ⅱの選択問題について

午後試験に関して、試験対策の前に、選択問題に対する考え方について記していきます。

午後Ⅰ

午後Ⅰは記述式の大問3問のうち2問を選択、制限時間は90分です。

大問3つは、大まかなイメージとしては

  • 問1:概念設計
  • 問2:物理設計
  • 問3:その他(SQL、インデックス、DWHなど)

といった具合ですが、あまり明確に分かれてはいない印象でした。特に問2と問3の境界はよく分かりません。
そのため、一応問1から問3まですべて取り組むようにしました。
その上で、私はネットの情報など色々調べた末に概念設計に振ったので、問1と問3を基本は選択、ただし問3はトリガーや参照制約、カーソルなどがある場合は(経験上こけそうなので)問2に切り替える、と決めました。
また、問3は比較的すぐ解けてしまうような簡単な年もあったので、各問の配点が同じという前提で、問3→問1という順で解くことにしました。

この午後Ⅰでどれを選択するかは非常に難しいところだと感じますが、問題読みながら難易度を判断する暇はないと私は考えて、ほぼ決め打ちのつもりで臨みました。
この辺りはその人に合うやり方があると思うので、実際に何年分か解いてみて自分なりに決めるのが一番だと思います。

午後Ⅱ

午後Ⅱは記述式の大問2問のうち1問を選択、制限時間は120分です。

こちらの大まかなイメージとしては

  • 問1:物理設計
  • 問2:概念設計

となっていますが、令和4年度あたりから問1はやや物理の色が薄くなってきているようです。
私は勉強を始めてしばらくしてから概念設計に振ると決めたので、それ以降は問2だけを演習していました。
かなり微妙なところではありますが、難易度はともかく、午後Ⅰよりも午後Ⅱの方が解いていてやや時間的に余裕があるような気がします。

午後Ⅰ・午後Ⅱの試験対策

午後Ⅰも午後Ⅱも、勉強方法としては過去問を解いて解説読みながら見直し、の繰り返しです。
量としてはどちらも8年分、その内の3年分を再度解き直しました。
初めは全く時間も点数も足らず、太刀打ちできる未来が見えませんでした。
しかし、月並みですが数をこなしていくと徐々に何とかなっていきました。
配点が公表されていないので体感ですが、最終的にはまあ6割は取れているかなというような出来になりました。

特に午後Ⅱは長い問題文と長時間戦わないといけないので、精神的にも割ときついところがあります。
本番で緊張感にもやられて発狂しそうにならないよう、体が慣れるまで演習しておこうと思い、何とか本番はそういった事態にならずに済みました。

その他、試験対策として個人的におすすめなのは、データベーススペシャリストドットコムの掲示板を活用することです。
この記事で一番伝えたいことはここかもしれません。
デスぺのように問題が難しくて複雑だと、なかなか教材の解説だけでは完全に腹落ちしないことも多いです。そういった不明点を質問できるのはもちろん、デスぺに限りませんが、掲示板での議論を読むだけでも教材に載っている解説とはまた違った新たな気づきや知識が得られ、より問題に対する理解が深まると思います。
https://www.db-siken.com/dbbbs.php

最後に、問題の解き進め方としては、これもベタなものですが
先に設問を簡単に把握した後に問題文を読み進めて、その設問に関連している箇所まで来たら解答し、また次の設問を把握する、という方法にしました。
問題文が非常に長いので、いきなりすべて読んでもパンクして何か抜け落ちてしまいそうだと考えたためです。
解き進め方についても、自分なりにやりやすい方法を見つけるのが大事だと思います。

本番当日

近所の大学で受けてきました。
空席も多いかと思っていたのですが、私のいた教室はほぼ満席でした。実際の受験率は7割弱程度だったようです。

肝心の試験ですが、午前Ⅱは少々難しく感じました。午後Ⅰは問3に幸い自分の苦手なテーマがなさそうだったので予定通り問3と問1を選択、午後Ⅱも問2を選択しました。

受けた所感としてはいつも通りくらいの手応えでしたが、後から考えるととても初歩的なところで10分も20分も悩んでしまっていたので、そういうことも想定して普段から余念なく練習を重ねておく必要があると感じました。

あと唯一心残りだったのは、昼休憩中に飲んだコーヒーのせいで、午後Ⅰの試験中に我慢できずトイレに行ってしまったことですね。
よくそこで心折れなかったなとも思いますし、ギリギリ時間内には解き切ったので、そういうのもこれまでの鍛錬の賜物だったのかもしれません。ということにしたいと思います。

結果

合否は試験日から2か月半ほど経った頃に発表されます。

点数
午前Ⅰ (免除)
午前Ⅱ 80点
午後Ⅰ 87点
午後Ⅱ 86点

午後試験の体感は6~7割くらいでしたが、ネット上でもある程度言われているように記述の解答やリレーションを記入するところなどは結構部分点がもえらえるのかもしれません。
少なくとも過去問の自己採点でここまでの点数がついたことはほぼありませんでした。

ちなみに統計情報によると、私が受けた令和5年度の合格率は18.5%と、過去15年間で最も高い数値となっています。(平均は16.3%)
問題が易しかったのか、とにかくラッキーでした。

おわりに

応用情報のときはTACなどが出している解答予想を見たりしていましたが、今回は全く見る気にならず、合格発表日の2日前にIPAが公開した解答例も確認しませんでした。
それだけ自信が持てなかったのか、精神的に疲弊していたのか分かりませんが、とにかく一発で受かって良かったです。

試験勉強期間中は有休をしょっちゅう取得させてもらったり、社内制度を活用して業務時間を勉強に充てたりしていたので、今回の合格はそういった環境にも恵まれたおかげだと思います。

また、受験にあたっては合格を最優先に考え概念設計を選択していましたが、自分の興味や業務で使うところでいうとやはり物理設計も勉強しておきたいと思い、これまでスルーしていた午後Ⅱの問1の過去問を少しずつ解き始めています。
概念にしても物理にしても、せっかく勉強したことなので、今後の業務に役立てていきたいと考えています。

読んでいただきありがとうございました。

脚注
  1. https://www.ipa.go.jp/shiken/kubun/db.html ↩︎

  2. https://www.ipa.go.jp/shiken/about/koudo_menjo.html ↩︎

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