情報アクセシビリティ好事例2024に向けてHelpfeelを自己評価しました
株式会社Helpfeel エンジニアの hata です。
弊社プロダクトである検索型AI-FAQ「Helpfeel」が、総務省の情報アクセシビリティ好事例2024に選定されました。
情報アクセシビリティ好事例は、総務省が情報アクセシビリティに特に配慮したICT機器やサービスを選定・公表し、誰もがデジタル技術の恩恵を受けられる社会を目指す取り組みです。
情報アクセシビリティ好事例の応募には情報アクセシビリティ自己評価様式を提出するため、今回の応募にあたり、様式に基づきHelpfeelのアクセシビリティ対応状況を自己評価しました。
この様式や様式の作成ガイドブックはJIS X 8341-3:2016規格に基づいており、自己評価の助けになりました。
自己評価の結果は下記にて公開しています。
HelpfeelにおけるWCAG達成基準への対応
WCAG 2.1 の達成基準を元に、Helpfeelの機能を自己評価しました。以下はその一部です。
ナビゲーションの確保 (2.4.5 複数の手段)
Helpfeel独自の意図予測検索と、記事ごとに表示される関連ページリストにより、ユーザーは複数の方法で目的の情報にたどり着くことができます。
コンテンツの理解しやすさ (3.1.3 一般的ではない用語、3.1.4 略語)
Helpfeelでは、記事内に内部リンクを容易に設置できます。これにより、専門用語や略語が登場した場合でも、その定義や解説を記載した別の記事へ誘導できます。
2.4.2 ページタイトルや2.4.6 見出し及びラベルといった、テクニカルライティングに関連する達成基準もありました。Helpfeelではテクニカルライティングを重視し、読み手の負荷が少なくなるようヘルプ記事を改善しています。
今後の課題
自己評価を通じて、Helpfeelの改善点も見えてきました。
記事内画像の代替テキスト
アクセシビリティ対応の中でも重要度が高い項目です。記事作成フローの中で、適切に代替テキストを付与できる機能開発を検討中です。
画像化された表への対応
見られる表を画像化して記事に添付すると、スクリーンリーダー等での利用が難しくなってしまいます。テーブルメーカーの利用や、代替テキストでの補完といった対策が必要です。
フォーカスリングの対応
キーボード操作ユーザーにとってフォーカスリングは不可欠ですが、一部で表示されない、または見えにくい箇所があります。これらの改善を進めています。
スクリーンリーダー読み上げの改善
クエリを入力して検索結果が更新されたことが、スクリーンリーダー利用者に十分に伝わっていない可能性があります。検索ボックスは、Helpfeelの中でも重要度が高いUIです。ARIA live regionsなどを活用した改善を検討中です。
感想
アクセシビリティ評価においては、個人の主観だけでなく、JIS規格やWCAGといった客観的な基準が重要だと改めて思いました。作成ガイドブックを読んで、解釈がブレないようなルールベースの仕組みになっていると感じました。
情報アクセシビリティへの取り組みは、以前から社内のa11yチェック活動として行っていました。そのためHelpfeelのシステムがWCAGの達成基準をどの程度満たしているか、ある程度の事前把握はできていました。しかしヘルプ記事の内容に依存する達成基準については、試験するための十分な知識がないことを痛感しました。
情報アクセシビリティ好事例2024をきっかけにして、私自身もその場で学ぶことが多くありました。自分の認識を合わせる目的で、デジタルアクセシビリティアドバイザーBasicレベルの資格を取得しました。とはいえ、まだウェブアクセシビリティ導入ガイドブックを元に入門したばかり、という感覚があります。
今後はより客観的な知識に基づいた、アクセシビリティ改善活動と試験を行っていきたいです。私自身もまだ入門したばかりですが、これから情報アクセシビリティ好事例への応募を検討されている方々の参考になれば幸いです。
Discussion
最新の対応状況は「Helpfeelのアクセシビリティ試験結果」をご覧ください。