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社内 SE ポジションの中途面接を担当していた頃に考えていたこと

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面接官として私個人はこう考えていた、というだけの話をします。自分なりに心得とか原理原則的なところとして意識していた内容を整理しました。昔書いてたメモがあったので、AI で要約しつつ、細部を整えました。

ジュニア〜ミドルクラスくらいまでのレンジであれば、ある程度汎用的に当てはまる話を言ってるんじゃないかと(自分では)思っています。ピンポイントなハックができてしまうような内容は書いてないはず。

この記事の前提

  • ここに書いてるのは私個人のものさしであって、過去に所属していた会社・組織の意見ではない
  • 少なくとも数年前の話。うろ覚えの部分も多々あるので正確な話ではない
  • 「社内SE」のポジションを意識している。サービス導入とかよりは開発系に寄った職種だった
  • 私自身はかなり前にこのポジションの採用担当と部署を離れている。今の事情は知らない
  • 実際に採用先となる現場のエンジニアが、採用面接の前半側の立ち位置として行う面談を担当

以降が中途採用の面接官として意識していたことです。書き手(私)の立場としては、同じポジションでの面接官をやるであろう任意の担当者向けとして書いている意識が強いです。

はじめに

私たちは、面接を「一緒に働くイメージをすり合わせる場」と捉えています。

ミスマッチは採用する側/される側、双方にとっての損失です。このギャップが起きないようにすべく、面接官としては自分(組織)が大切にしている価値観は、ある程度言語化しておく必要があると考えています。

また、意図せずこちら(面接官側)がプライベートな事情により回答しづらい内容を質問してしまったり、意図が不明な質問してしまうかもしれません。

面接担当としてはできる限り配慮をするつもりですが、もしこのような場合が起きたら、率直に「回答ができない」「意図は何か?」などと伝えてください。個人の事情で回答がしづらい内容であるならそれ以上は踏み込まないし、質問の意図を測りかねるようであればそれは対話で補いたいと思っています。

面接時の振る舞い

原則は2点

  • 我々と候補者は対等な関係である。面接は単に双方のマッチングを図るだけの場であり、一方通行で「評価」する場ではない
  • 応募者は仲間候補であり潜在顧客でもある、という意識で振る舞うこと

たくさん面接してると「自分が評価する側」と錯覚しそうになるが、それは自分の人格形成にも会社にも有害な態度なので絶対に NG

考え方・指針

基本的には、これらを重視している。

  • 「適度に実績がある」
  • 「自分の手を汚す仕事ができる≒手を動かせる」
  • 「自主的・主体的に物事を動かすメンタルがあり実績が伴っている」
  • 「必要に応じて変化・チャレンジを厭わない人」
  • 「他者に対する礼節・配慮・リスペクト」

また、本人の意思決定とその Why の掘り下げは重視する。きちんと意図を持った行動ができており、説明できることは重要。

特定の技術スタックの習得状況で極端に評価を上げ下げするのは、この ポジションの募集においては 基本やらない。レガシーな技術スタックであろうと、基本がしっかりしている人はその技術をしっかり語れる。どちらかというと基礎理解や応用力を重視する。

時間内で確認しきれない要素は絶対に出る。だが、基本は(懸念寄りのニュアンスで)迷うくらいなら見送る方針としている。

大切にしている観点

問題解決の姿勢

  • 課題を自分の言葉で捉え、小さく試し、学びを次に活かす。仮説→実行→振り返りの流れが自然に語れること。
  • 例: 既存仕様の制約下で段階的リリースを設計し、影響を限定しながら改善した話。

コミュニケーションの土台

  • 事実と意図を丁寧に伝え合う。相手の状況を確かめ、必要な質問で認識を揃える。リスペクトと誠実さを大切にする。
  • 例: 関係者の前提を確認し、合意形成のために選択肢とトレードオフを提示した話。

協働と越境

  • 職種や立場の違いを越えて、役割分担や意思決定を前に進められる。ユーザー/事業の解像度を上げる対話ができる。
  • 例: CS/営業/開発で観点が違う中、一次情報のすり合わせから仕様を再定義した話。

変化への適応と学習

  • 前提やフィードバックに応じてやり方を更新できる。学びを仕組みやドキュメントに還元し、再現性を高める。
  • 例: レビュー指摘を取り込み、ガイドラインやテンプレに反映して次回の手戻りを減らした話。

インパクト志向と着実な前進

  • 完璧主義に陥らず、価値のある最初の一歩を届ける。トレードオフを明示し、継続的に改善する。
  • 例: 主要指標に効く最小機能を先に届け、データを得てから拡張した話。

オーナーシップ

  • 成果も課題も引き受け、必要な支援を適切に求める。チームの成果最大化に視点を置く。
  • 例: 失敗時の振り返りを主導し、再発防止策と役割分担を合意した話。

その他、意識していること

「面接慣れしていない」「話下手」が原因で落ちる、ということはできる限りないように。

  • こちらの聞きたいことに対して応募者が脱線してしまうケースはままある
    • 話の抽象度の度合い、時間配分、固有の用語などなど、ある程度はこちらでも意識して軌道修正したりはする
    • できる限り質問の意図は補足する
    • こちらの聞き方が悪い場合もある
  • 期待する答えが含まれていなかったら深堀りする。抜けると困る、重要度が高い要素は以下
    • 全体の結果に対して、あなたが貢献したのはどの部分か?どう貢献したのか?
    • 意思決定する機会はあったのか?あったなら、どう考え、どう遂行したのか?
    • 根本的な Why は何で、あなたはその問題をどう捉えて、どう解決したのか?
    • その結果は、誰にとってどういう意味を持つ成果だったのか?
    • あなたや、あなたの所属する組織と、それ以外のステークホルダーの関係は?
    • 意思決定するうえで、どのような制約・前提条件があったか?

忖度しすぎないこと(承前)

  • 準備してしっかり話せるかどうかは評価基準のうち
  • 意図をすり合わせるコミュニケーション能力も評価基準のうち
  • 忖度しすぎると、結果としてその忖度の反対側にいる方々を軽んじることになってしまう
  • 結果的に時間内で十分な話を引き出せず、判断に迷いが生じるならばお断りする
    • 引き出せなかった面接官側にも落ち度があるはず、ということは自覚しておく

コミュニケーションしっかりやる

  • 相手は潜在的な当社の顧客であり、当社のファンにすべき人である、という意識でやる
  • ちゃんと相手に興味を持つ
  • 相槌をうつ、気のない表情をしない、共感を見せる(もちろん無理にはしなくていい)
  • 否定形をできる限り使わない
  • 最初にエクスキューズしておく
    • センシティブな質問だった場合の応対
    • 会話中の飲み物はOK。人によっては気にする人がいるかもしれないが、一切気にしないで飲んでくれてOKと事前に言っておく(私も飲む)
  • 良いところを見つけようとする意識と努力。減点方式だけで人を見ない

最後に

面接は相互理解のプロセスです。私たちは「チームをより良くする人」と働きたいと考えています。肩書きや完璧な経歴以上に、日々の実践と学び、他者と現実への向き合い方を大切にしています。


以上、面接官向けのガイダンス的な文書でした。

今、振り返ってみて

今見ても、まぁそこまで外したことは言ってないかな?という印象でした。ちなみに、上記は年収1000万超えだとか、シニアクラスの採用を想定したものじゃありません。だとしたらもっとハードルは上がるような気がします。

基本的にカルチャーフィットと、その人の思考や言動を注視していました。実績とそのプロセスを伺って、思考の傾向や目的意識がどこにあるか、プロセスの組み立てがどうか、主体的な行動があるか、といった部分を見て、そのうえで私個人のフィーリングに照らしていたような気がします。

ここに書いてある話は求職者視点でもある程度使える基準だと思っているので、そういう意味では未来の自分が見て役立つ資料になってるといいかな?と思いますが、

...願わくば、それが必要となったタイミングでは、ここに書いてることは当然レベルであり、もっとハイレベルな基準を求められる(そしてそれに見合った給与の)ポストに応募している自分であってほしいところです。

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