心理学面接法について学んでみる
背景
社内で発生するコミュニケーションの課題について、心理学を使って改善の道を探しましょうと思っていたら心理学の世界に迷い込んでしまっています。
今回は心理学での面接法を学んでみてミーティングや会議の中で利用できるツールはないかと思って勉強してみます。
参考文献
なるほど! 心理学面接法 (心理学ベーシック)
内容
心理学での面談目的
心理学ではいくつかの目的で面談を行う場合がある。
これは基本的には相談者の心理的な問題(精神病など)を理解する目的で行う。
この目的で行うため、特に下記の部分には注意を払って質問をすすめることが基本となっている。
表層ではなく本当に思っている部分を聞き出す。
被質問者の本当に思っていることを理解する事が重要である。
心理学の流派によって考え方は異なるが、「被質問者の信頼を得て、心の深層を理解し問題を解決する」
というのが基本的な考え方になっている。
人は社会の中では何らかの役割になっていたり、思考の癖などで自身の深層をうまく伝えられない場合が多い。
このことも留意しながら注意深く質問を行うことが基本である。
意見の誘導には十分に気をつける。
質問のやり方により、質問者の意図を感じ取り被質問者が考え方を変えてしまう場合がある。
一度、考え方がずれてしまった場合に軌道を戻すにはかなりの労力と時間が必要であるため、これは極力控えるべきである。
今回の書籍にもいくつかの誘導パターンが記載されている。
面接法
面接法として、大きな区分として3種類存在します。
構造化面接
質問の順番や内容は固定で質問を行っていく方法。
特定の病気かの診断を行う場合などに利用されやすく、実施者のスキルに依存しない。
メリット
- 面接する人の能力に依存しない
- 同じデータを定量的に取得する事ができる
デメリット
- 想定外のデータを取得できない
半構造化面接
特定の質問は存在するが、それに対して深堀りや異なる質問を行える方法。
一般的な企業の採用面接はこの方式である。
メリット
- ある程度、同じデータを収集できる
- 想定外のデータを収集できる
デメリット
- 面接する人の能力に依存する
非構造化面接
基本的にこちらが主導権を握らずに自由に回答をしてもらう方法。
メリット
- ある程度、同じデータを収集できる
- 想定外のデータを収集できる
デメリット
- 面接する人の能力に依存する
使い方
基本的に仮設を作る場合
は非構造化面接
が推奨される。
その中でできた仮設を検証するため
に構造化面接
などを行い精度を上げていくというやり方を行う。
通常の診断時もインテーク面接(受理面接)
という半構造化面接を実施して、患者の背景情報を取得しながら仮設を構築して行われる。
技術
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開かれた質問
「はい」「いいえ」で回答できない質問。
いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのようにの5W1Hの形式が多い。
半構造化面談ではこれを行う場合が多い(他の会話に繋がる場合が多いため)。
ただし、この質問が得意ではない人もいるため、相手の状態を見ながら質問の仕方を選択すると良い。 -
閉じられた質問
「はい」「いいえ」で回答できる質問 -
繰り返しや言い換え
被面接者への回答方法として、回答を繰り返したり言い換えたりすることにより会話が展開する場合が多い -
まとめ(サンライズ)
被面接者が答えた内容をまとめて、聞き返す方法。
聞いていることへのアピールにもなるし、認識が異なる場合に是正できる。 -
相づち
ハ行で答えることが推奨される「へぇ」「ふーん」「はぁ」「ほうほう」
また、イントネーションによって相手への印象が異なるため注意する
納得した場合は「なるほど」を利用すると良い。
質問の種類
聞きたい内容を取得したり、話の方向を正しく導くため下記のようなコミュニケーションによって、会話を制御する。
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導入のための質問
被面接者の自発的な説明をしてもらえる
ex.「〜について話してもらえますか?」
ex.「今話してくださったエピソードでは何が生じていたのですか?」
-
掘り下げのための質問
重要な語句を繰り返したり、ある程度の間をもって詳細な説明を被面接者から引き出すことができる。 -
深索のための質問
具体的に詳しく聞きたい部分を指定せずに、本人が気になっている部分について詳しい説明を求める。
ex.それについてもう少しお話しいただけますか?
ex.これについて他に例を知っていますか?
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直接的な質問
ある話題、特定の次元のやり取りを直接的に聞く質問。
質問時点で、被質問者が自発的な説明がされており、どのようなことが中心になっているかを把握した状態で行う必要がある。
(そうでないと、当人が自身としてどう捉えているかが明確になっていない状態で特定しようとするため、回答がブレる可能性が高い)
そのため、会話全体の後半に行うと良い
ex.〇〇の効果を生活の中でどのようなところで感じますか?
-
間接的な質問
被質問者が直接的に何を考えているか聞くのではなくて、第三者に投影した形で回答を求める質問。
これには、自身の考えを含んでいる場合もあるが、場合によっては異なることもあるため注意深く利用する必要がある。
ex.〇〇の効果について、他の皆さんはどのように捉えていると思いますか?
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構造化のための質問
面接の流れが意図しない方向に広がってしまった場合に、意図した方向に戻す質問。
ex.では、他のことをお聞きしてもよろしいでしょうか?
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黙って待つ
連続して質問を投げかけて尋問のような質問は避けるべき。
沈黙の時間を作り、被質問者に内省し回答がまとまるまで待つ時間をもって対応するべき。 -
解釈を提示する質問
単純に質問を繰り返すやり方から具体的な明確化を試みるものまで幅がある。
単純に質問を繰り返す場合は下記の様な質問を繰り返す。
ex.おっしゃったのは〜という意味でしょうか?
明確化を試みる質問は下記のような質問。
ex.~と感じているという理解で正しいでしょうか?
ex.~という言い方はあなたが言っていたことを十分に表していますか?
質問時の注意事項
誘導を行わないように質問する。
例えば「〜と思いませんか?」
など自分の考えを語ったあとに同意を求めるなどは避ける。
また、被質問者が問い詰められていると感じるような質問も控えるようにする。
「なぜ、〜したのですか?」
などの「なぜ?〜」
の質問などはそのように感じるため「〜したことには理由はありますか?」
と質問するように心がける。
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