iPadでターミナル環境を構築する (a-Shell編)
背景
iPad はクリエイティブな作業やコンテンツ消費のための優れたデバイスですが、エンジニアにとってはターミナル環境がないことが長年の課題でした。しかし、a-Shell
のようなアプリの登場により、iPad 上でも本格的な Shell 環境を構築し、さまざまなコマンドラインツールを実行できるようになりました。
この記事では、a-Shell
を使って iPad で何ができるのか、その設定と基本的な使い方についてまとめます。
a-Shell とは?
a-Shell
は、iOS/iPadOS 上で動作する、ローカルターミナル環境を提供する無料アプリです。bash
や zsh
のような完全なシェルではありませんが、sh
準拠のシェルとして動作し、Python, Lua, JavaScript などのインタプリタや、curl
, wget
, tar
, vim
といった多くの標準的な Unix コマンドがプリインストールされています。
App Store からインストールできます。
a-Shell on the App Store
基本的なコマンドと機能
a-Shell
を起動すると、見慣れたターミナルのプロンプトが表示されます。
1. シェル環境
env
コマンドで環境変数を確認すると、SHELL=/bin/sh
となっており、sh
互換のシェルが動作していることがわかります。ls
, cd
, pwd
, mkdir
, rm
などの基本的なファイル操作コマンドは一通り利用可能です。
$ ls -l
total 0
drwx------ 2 user staff 64 Jun 29 12:00 Documents
drwx------ 2 user staff 64 Jun 29 12:00 Library
$ pwd
/private/var/mobile/Containers/Data/Application/XXXXXXXX-XXXX-XXXX-XXXX-XXXXXXXXXXXX
ファイルシステムはアプリのサンドボックス内に限定されますが、「ファイル」アプリと連携することで、外部のファイルにもアクセスできます。
vim
)
2. テキストエディタ (a-Shell
には vim
がプリインストールされており、本格的なテキスト編集が可能です。iPad のオンスクリーンキーボードでは Esc
キーの入力が難しいですが、a-Shell
では画面下部に Esc
, Ctrl
, Tab
などの特殊キーが配置されているため、スムーズに操作できます。
$ vim hello.py
もちろん、Magic Keyboard などの外部キーボードを接続すれば、さらに快適に vim
を利用できます。
3. プログラミング言語
-
Python:
python3
コマンドで Python の対話モードを起動できます。pip
も利用可能で、numpy
やmatplotlib
などのライブラリをインストールして、データ分析やグラフ描画を行うこともできます。 -
JavaScript:
node
コマンドで Node.js の REPL を起動できます。 -
Lua:
lua
コマンドで Lua を実行できます。
4. ネットワークコマンド
curl
や wget
を使って Web ページや API からデータを取得したり、ssh
を使ってリモートサーバーに接続したりすることも可能です。
# API を叩いてみる
$ curl -s https://api.github.com/users/hasit | grep name
"name": "hasit",
# リモートサーバーにSSH接続する
$ ssh user@your-server.com
ssh-keygen
で SSH キーペアを生成し、公開鍵をサーバーに登録しておけば、パスワードなしでのログインも可能です。
ファイルシステムとの連携
a-Shell
の強力な機能の一つが、ファイルシステムとの連携です。
-
pickFolder
: このコマンドを実行すると、「ファイル」アプリのピッカーが開き、任意のフォルダをa-Shell
のカレントディレクトリとしてマウントできます。これにより、iCloud Drive や外部ストレージ上のファイルに直接アクセスして編集できます。 -
renamable FUSE
:mount
コマンドを使うことで、ローカルフォルダを FUSE (Filesystem in Userspace) としてマウントし、より永続的なアクセスポイントを作成することもできます。
まとめ
a-Shell
は、iPad を単なるコンテンツ消費デバイスから、本格的な開発・作業環境へと昇華させる可能性を秘めたアプリです。
- 出先での緊急対応: リモートサーバーに SSH 接続して、ログの確認や簡単な修正を行う。
- 簡単なスクリプト実行: Python スクリプトを書いて、定型的なテキスト処理や計算を行う。
-
Git 操作:
git
コマンドも利用可能で、リポジトリのクローンやコミットができます。
もちろん、Mac や Linux マシンの完全な代替にはなりませんが、iPad の機動性を活かした新しいワークフローを構築するための強力なツールであることは間違いありません。
この記事はAIによって修正・追記されました。
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