「Observableって何?」をスッキリ解説!非同期処理の救世主を理解する
Observableって、なんだか難しそう…
「Observable」という言葉、非同期処理やリアクティブプログラミングの文脈でよく耳にしますが、なんだか複雑でとっつきにくいイメージがありませんか?
- 関数呼び出しと何が違うの?
- Promiseと何が違うの?
- なんで必要なの?
この記事では、そんなObservableの「なぜ?」を、身近な例えと具体的なコードを交えながら、スッキリと解説していきます。
これまでの問題点:関数の限界
プログラミングの基本は、関数を呼び出して処理を依頼することです。しかし、このシンプルな方法にはいくつかの制約があります。
-
呼び出し先を直接知っている必要がある:
A
がB
の関数を呼ぶには、A
はB
の存在を具体的に知っていなければなりません。(密結合)
-
応答は基本的に1回きり: 関数を呼び出すと、戻り値は一度しか返ってきません。
-
応答を待たなければならない: 処理に時間がかかる場合、応答が返ってくるまで待機(ブロック)するか、コールバック関数で非同期処理を実装する必要があり、コードが複雑になりがちです。
特に、ユーザーの連続的なクリック操作や、サーバーからの断続的なデータ受信など、「いつ終わるか分からない、複数回のイベント」を扱うのは、従来の関数やPromiseだけでは少し面倒でした。
解決策:Observableという考え方
そこで賢い人々は考えました。
「毎回同じような非同期の処理を書いているな…この仕組みをパターン化できないか?」
そうして生まれたのが Observer パターン であり、その実装の一つが Observable です。
Observableをひと言でいうと、「データの流れを監視(Observe)できる仕組み」です。
一番わかりやすい例えは「新聞の購読」です。
- 新聞社 (Observable): 新聞(データ)を定期的に発行する存在。
- あなた (Observer/Subscriber): 新聞を購読し、発行されるたびに受け取る存在。
あなたは新聞社に「購読します」と一度伝える(subscribe
)だけで、あとは新聞が毎日ポストに届くのを待つだけです。新聞社は、誰が購読しているかをリストで管理しており、新しい新聞を発行するたびに購読者全員に配達(next
)します。そして、もし廃刊になれば、その旨を通知(complete
)します。
この関係性により、あなたは「毎日新聞社に行って『今日の新聞ください』と聞く」必要がなくなります。これがObservableの基本的な考え方です。
TypeScriptで見るObservable
言葉だけでは分かりにくいので、簡単なTypeScriptのコードで見てみましょう。ここでは、人気のあるライブラリRxJS
のスタイルを模して実装します。
// Observableの実装
class MyObservable {
private subscribers: any[] = [];
constructor(producer) {
// producerは、データを生成し、購読者に渡す役割を持つ関数
producer(this);
}
// 購読者を追加する
subscribe(subscriber) {
this.subscribers.push(subscriber);
}
// データを購読者に送る
next(value) {
this.subscribers.forEach(sub => sub.next(value));
}
// 完了を通知する
complete() {
this.subscribers.forEach(sub => sub.complete());
}
// エラーを通知する
error(err) {
this.subscribers.forEach(sub => sub.error(err));
}
}
// --- Observableを使ってみる ---
// 1秒ごとにカウントアップするObservableを作成
const myTimer = new MyObservable(observer => {
let count = 0;
const intervalId = setInterval(() => {
observer.next(count++);
if (count > 3) {
observer.complete();
clearInterval(intervalId);
}
}, 1000);
});
// Observer(購読者)を定義
const observer = {
next: (value) => console.log(`受け取ったデータ: ${value}`),
complete: () => console.log("完了しました!"),
error: (err) => console.error(`エラーが発生しました: ${err}`),
};
// 購読を開始する
console.log("購読を開始します...");
myTimer.subscribe(observer);
実行結果:
購読を開始します...
受け取ったデータ: 0
受け取ったデータ: 1
受け取ったデータ: 2
受け取ったデータ: 3
完了しました!
このコードのポイントは、myTimer
(新聞社)とobserver
(購読者)が直接的につながっていないことです。subscribe
という契約を交わすだけで、あとはデータの流れが自動的に処理されます。これにより、関心事が分離され、コードの見通しが非常に良くなります。
Observableの利点と使いどころ
- 複数回の値を扱える: Promiseが一度しか値を返せないのに対し、Observableは完了するまで何度でも値を流せます。
-
遅延実行:
subscribe
されるまで処理が開始されません。無駄な処理を防げます。 -
豊富なオペレータ: RxJSなどのライブラリには、データのフィルタリング(
filter
)、変換(map
)、合成(merge
)など、データの流れを自在に操るための強力なオペレータが多数用意されています。 -
キャンセル可能: 購読を中止(
unsubscribe
)することで、いつでも処理を中断できます。これにより、メモリリークなどを防げます。
これらの特性から、Observableは特に以下のような場面で強力な武器となります。
- UIイベント: マウスのクリック、キーボード入力など、連続して発生するイベントの処理。
- 非同期通信: WebSocketのように、サーバーから断続的にデータが送られてくる場合の処理。
- 状態管理: アプリケーション全体の状態変更を監視し、関連するUIを効率的に更新する。
まとめ
Observableは、一見すると複雑に見えるかもしれませんが、その本質は「データの流れを予約購読する」というシンプルなアイデアです。このパターンを理解することで、複雑な非同期処理やイベント処理を、より宣言的で見通しの良いコードで記述できるようになります。
もしあなたがフロントエンド開発や非同期処理で悩んでいるなら、ぜひObservableの世界に一歩踏み出してみてください。きっと、あなたのコードをよりクリーンで堅牢なものに変えてくれるはずです。
この記事の作成について
この記事は、GoogleのAIであるGeminiとの対話を通じて、Gemini CLI を用いて構成および執筆されました。記事の骨子作成、コード例の生成、文章の校正など、多くのプロセスでAIの支援を活用しています。
Discussion