🧠 カレーに例えながら学ぶMCPの概要

なにこれ

最近巷で、MCPって聞きますよね。私も「えむ、しー、ぴぃー？？」って感じでした。

今回はMCPの公式ドキュメントを読んで、MCPがどのようなものなのか、どのような設計なのかを理解した備忘録を載せます。
公式ドキュメント: https://modelcontextprotocol.io/introduction

MCPの基本から、プロンプト・ツール・リソース・通信（Transport）について、各項目の呼び出し方法やその動作を解説していきます。

わたしも読みながらわからんなぁとなったところは、カレーに例えながら冗談っぽく解説しています。(カレーに例えるのはAIがやってくれました)

🔰 MCPってなに？

MCP（Model Context Protocol）は、AI（主にLLM）とアプリケーションをつなぐ**共通のやりとり方法（プロトコル）**です。

公式でも、USB-Cのように、どのAIでも同じ形の入出力にすることでGitHubやSlackなど様々なツールやデータにアクセスできるようにする、として例えられています。

カレーに例えると…
MCPは、カレー作りのための統一レシピのようなものです。異なるキッチン（AI、実行対象）でも、同じレシピに沿って調理することで、誰でも美味しいカレー（適切な機能やデータ）を作れるようになります。

🧩 MCPの基本構造（アーキテクチャ）

• Host: AIツール（例: Claude Desktop）
• Client: Host内でサーバーとつながるMCPクライアント
• Server: データ・ツール・プロンプトなどを提供する処理側

通信は JSON-RPC 2.0 を使い、request → response または notification の形で行われます。
呼び出し方法: 各コンポーネントは、決められたエンドポイント（例: resources/list、tools/call など）を用いて相互にメッセージをやりとりします。

🧑‍🍳 実際の使い方

• ClaudeなどのAIが「クライアント」になり、バックエンドで動いているサーバーにMCPを通して「このファイル読んで！」「API叩いて！」とお願いする仕組みです。

リクエストとレスポンスの形の基本

MCPでは、JSON-RPC形式でクライアントとサーバーがやりとりします。

リクエストの形

{
  "jsonrpc": "2.0",
  "id": 1,
  "method": "resources/list"
}

レスポンスの形

{
  "jsonrpc": "2.0",
  "id": 1,
  "result": {
    "resources": [
      {
        "uri": "file:///logs/app.log",
        "name": "Application Logs",
        "mimeType": "text/plain"
      }
    ]
  }
}

これは「利用可能なリソースを一覧で取得する」流れの一例です。基本的に、どの機能でもこの形（method名が違うだけ）になります。

🗂 Resources（リソース）

AIに見せたいデータやファイルのこと。ログ、コード、設定ファイルなど。

📘 使い方と呼び出し方法

• 一覧取得: サーバーがresources/listで利用可能なリソースの一覧を提供
• 中身の取得: クライアントがresources/readで個々のリソースの内容を読み出す
• 更新通知: 必要に応じて、リアルタイムで更新の通知が行われる

{
  "uri": "file:///logs/app.log",
  "name": "Application Logs",
  "mimeType": "text/plain"
}

カレーに例えると…

• Resourcesは、カレー作りにおける食材です。
• resources/listは、冷蔵庫にある全食材をチェックする作業。
• resources/readは、具体的な材料（新鮮な野菜、肉、スパイスなど）を取り出して状態を確認する動作に相当します。

例

リクエストの形

{
  "jsonrpc": "2.0",
  "id": 1,
  "method": "resources/list"
}

レスポンスの形

{
  "jsonrpc": "2.0",
  "id": 1,
  "result": {
    "resources": [
      {
        "uri": "file:///logs/app.log",
        "name": "Application Logs",
        "mimeType": "text/plain"
      }
    ]
  }
}

🧑‍🍳 実際の使い方

• Claudeで「このプロジェクトのログファイル見せて」と言うと、裏でresources/readが呼ばれてログファイルが取り込まれます。

これにより、機密情報などがAIに流れることなく、あくまで実行はバックエンドサーバーとなり、安全な実行ができる。というのがMCPの強みです。

🧠 Prompts（プロンプト）

使いまわせる質問テンプレート。決まった目的でAIに話しかけるための定義。

📘 使い方と呼び出し方法

{
  "name": "git-commit",
  "arguments": [
    { "name": "changes", "required": true }
  ]
}

• サーバーがプロンプトを定義し、クライアントは prompts/list で一覧を取得
• 必要なプロンプトは prompts/get を使って呼び出し、利用します

カレーに例えると…
Promptsは、カレー作りのレシピカードです。

• どのスパイスをいつ投入するか、どんな手順で調理するかが決まっており、安定した味を出すための定型手順を示します。
• 決まった目的のための「質問テンプレート」として、毎回同じレシピを再現できる点が魅力です。

例

📨 リクエスト例（プロンプト取得）:

{
  "jsonrpc": "2.0",
  "id": 2,
  "method": "prompts/get",
  "params": {
    "name": "git-commit",
    "arguments": {
      "changes": "add login feature"
    }
  }
}

📩 レスポンス例:

{
  "jsonrpc": "2.0",
  "id": 2,
  "result": {
    "messages": [
      {
        "role": "user",
        "content": {
          "type": "text",
          "text": "Generate a Git commit message for these changes:\n\nadd login feature"
        }
      }
    ]
  }
}

🧑‍🍳 実際の使い方

• Claudeで「Gitのコミットメッセージを作って」と言うと、git-commitプロンプトが呼ばれ、ユーザーは変更点だけ渡せばAIが文を組み立ててくれます。

🛠 Tools（ツール）

AIが呼び出せる「機能」や「処理」。たとえば、計算、API呼び出し、ファイルの保存など。

📘 使い方と呼び出し方法

{
  "name": "calculate_sum",
  "description": "2つの数字を足す",
  "inputSchema": {
    "type": "object",
    "properties": {
      "a": { "type": "number" },
      "b": { "type": "number" }
    },
    "required": ["a", "b"]
  }
}

• サーバーがツールを定義し、クライアントは tools/list で利用可能なツール一覧を取得
• 実際の実行は、AI（例：Claude）が tools/call を使用して自動的に行います（場合により人間の確認あり）

カレーに例えると…
Toolsは、カレー調理で使う調理器具や特定の調理技法にあたります。

• 例として、calculate_sum は、材料の分量を正確に測るための計量カップのようなものです。
• 各ツールは、料理工程での特定作業を効率的に行うための「道具」として機能します。

例

📨 リクエスト例（ツール実行）:

{
  "jsonrpc": "2.0",
  "id": 3,
  "method": "tools/call",
  "params": {
    "name": "calculate_sum",
    "arguments": {
      "a": 5,
      "b": 3
    }
  }
}

📩 レスポンス例:

{
  "jsonrpc": "2.0",
  "id": 3,
  "result": {
    "content": [
      {
        "type": "text",
        "text": "8"
      }
    ]
  }
}

🧑‍🍳 実際の使い方

• Claudeが「ツール一覧」を確認して、必要があれば自動的に呼び出して処理をしてくれます（例えば「合計を出して」と言うと、自動でsumツールを使います）。

🗣 Sampling（サンプリング）

サーバーからAIへ問い合わせるリクエスト
この機能は、サーバーがAIに意見を求めたり、フィードバックを得るために利用されます。
テストがこけた！どうしたらいい！とかですね。

📘 使い方と呼び出し方法

1. リクエストの準備

   • クライアント側は、sampling/createMessage メソッドを使って、AIに送るメッセージを準備します。
   • メッセージ内容には、たとえば「東京の天気は？」など、ユーザーからの質問やフィードバック依頼が含まれます。

2. 呼び出しの例

{
  "method": "sampling/createMessage",
  "params": {
    "messages": [
      { "role": "user", "content": { "type": "text", "text": "What's the weather in Tokyo?" } }
    ],
    "maxTokens": 100
  }
}

カレーに例えると…

• レシピの確認: シェフ（クライアント）が「このレシピ（質問内容）で調理するよ」と確認します。
• 調理開始: 質問を元に、シェフが料理（AIの返答）を作り始めます。
• 試食と提供: 出来上がった料理を試食（AIの応答確認）し、最終的にお客さん（サーバー）に提供する。

例

📨 リクエスト例（サンプリング実行）:

{
  "jsonrpc": "2.0",
  "id": 4,
  "method": "sampling/createMessage",
  "params": {
    "messages": [
      {
        "role": "user",
        "content": {
          "type": "text",
          "text": "How can I improve this code?"
        }
      }
    ],
    "maxTokens": 100
  }
}

📩 レスポンス例:

{
  "jsonrpc": "2.0",
  "id": 4,
  "result": {
    "model": "claude-3-sonnet",
    "role": "assistant",
    "content": {
      "type": "text",
      "text": "You can improve this code by adding error handling and comments."
    }
  }
}

🧑‍🍳 実際の使い方

• サーバーが「Claudeにこれどうなの」と送ると、Claudeがそれに対する解決策などを返事を返してくれます。

📁 Roots（ルーツ）

ここを基本に参照してね、というサーバーへの範囲指定

📘 使い方と呼び出し方法

{
  "roots": [
    { "uri": "file:///my/project", "name": "プロジェクトフォルダ" }
  ]
}

• クライアントは接続時に、操作の対象となるディレクトリやプロジェクトフォルダを、roots パラメータでサーバーに伝えます。
• サーバーはその範囲内のリソースや処理に限定して動作します。

カレーに例えると…
Rootsは、カレーのベースとなるスープや出汁のようなものです。

• どの具材を使うか、どの範囲の食材で調理するかを決める重要な基準となります。

例

📨 リクエスト例（接続時に提示する）:

{
  "jsonrpc": "2.0",
  "id": 5,
  "method": "initialize",
  "params": {
    "roots": [
      {
        "uri": "file:///home/user/project",
        "name": "My Project"
      }
    ]
  }
}

📩 レスポンス例:

{
  "jsonrpc": "2.0",
  "id": 5,
  "result": {
    "status": "ok"
  }
}

🧑‍🍳 実際の使い方

• Claude Desktopで「このフォルダ内のプロジェクトに集中して！」という指定をすると、それがrootになります。

📡 Transports（通信方法）

MCPクライアントとサーバーが「どうつながるか」を決める方法

📘 使い方と呼び出し方法

• stdio: ターミナルでのローカル実行向き
• SSE: HTTP経由でWebとやり取りする

🎓 まとめ

機能	内容	誰が操作？	カレーに例えると…
Resources	ファイルやデータ	ユーザー選択	材料（野菜、肉、スパイス）の準備
Prompts	AIに送るテンプレート	ユーザー選択	レシピカード（調理手順）の提示
Tools	実行処理・API	Claudeが自動選択（場合により人間の確認あり）	調理器具や特定の調理技法による作業の実行
Sampling	サーバー→AIへの質問	サーバー発信・クライアント許可	試食による味のチェックと調整
Roots	作業範囲指定	クライアントが提示	使用する主要食材やスープのベース（調理範囲の決定）
Transports	通信経路	実装時に決定	カレーの提供方法（家庭用、宅配などの配達手段）の選択

最後に

この記事を通してMCPの概要がなんとなくでも伝わって、理解の助けになったらうれしいです。
ここまで読んでくださってありがとうございました！
改善提案コメント・感想等、じゃんじゃんお待ちしています！