[Go] 型宣言についてGo初心者がC言語と比較しながら眺めてみる
Goの宣言文法について
Go言語での型宣言の書き方が、なぜC言語ファミリー(C言語、C++、Javaなど)の伝統的な書き方と異なるのでしょうか??
Go初心者の素朴な疑問について、Go公式ドキュメントの記載より気合いで理解しまとめた記事になっています。
参考文献(公式ドキュメント)
1. C言語の宣言文法
まず、C言語の宣言文法について説明します。
Cの宣言方法の特徴
C言語では、変数や関数の型を指定するとき、「型」を先に書いて、その後に変数の名前や型の詳細(例えば、ポインタや配列の要素数)を書きます。この方法は、C言語が非常にコンパクトで効率的なコードを書くことを目的としているためです。
Cの宣言文法の具体例
-
int x;
x
という名前の変数がint
型(整数型)であることを宣言しています。この宣言はシンプルで、x
が整数型であることがすぐに分かります。 -
int *p;
p
がint
型へのポインタであることを宣言しています。*
はポインタを意味し、「p
が指し示す場所にある値がint
型である」ことを示しています。 -
int a[3];
a
がint
型の3要素の配列であることを宣言しています。a[3]
という表現から、「a
は3つのint
型の値を持つ配列である」と理解できます。
関数の宣言におけるCの特徴
C言語では、関数を宣言する際に、引数の型をカッコの中に記述します。
int main(int argc, char *argv[]) {
// 処理
}
ここでは、「main
という名前の関数は、int
型の引数argc
と、char
型のポインタ(文字列へのポインタ)を要素とする配列argv
を受け取り、int
型の値を返す」という意味です。
関数ポインタの宣言の難しさ
関数ポインタの宣言は、C言語の宣言文法の中でも特に複雑です。
関数ポインタとは、関数そのもののメモリ上の位置を指し示すポインタのことです。
int (*fp)(int a, int b);
これは、「fp
が2つの整数を引数として受け取り、int
型の値を返す関数へのポインタである」ことを示しています。
このように、宣言が複雑になると、どこにポインタの記号を置くか、どこに型を書くかなどのルールが理解しづらくなります。
さらに、関数ポインタの引数自体が関数である場合には、以下のようにさらに複雑になります。
int (*fp)(int (*ff)(int x, int y), int b);
これは、「fp
が2つの引数を受け取り、1つ目の引数が関数であり、その関数は2つの整数を受け取り整数を返す関数である」ことを示しています。
読み手には非常に難解です。
2. ポインタとは何か?
ここで「ポインタ」とは何かを説明します。
ポインタの基本的な意味
ポインタとは、他の変数が保存されているメモリ上の「アドレス(場所)」を指し示すための変数です。
ポインタは変数の値そのものではなく、その変数がメモリ上でどこに存在しているかを示します。
なぜポインタが必要なのか?
コンピュータはメモリにデータを保存しますが、ポインタを使うことで、データの「場所」を他の関数に渡すことができるため、直接そのデータを操作することができます。
これにより、プログラムの効率が向上し、データをコピーする必要がなくなり、メモリの節約にもなります。
ポインタの具体例
例えば、以下のコードはx
という整数型の変数を宣言し、その変数x
のメモリ上の場所を指すポインタp
を宣言しています。
int x = 10;
int *p = &x;
&x
は「x
のアドレス」を示し、p
はこのアドレスを持つポインタです。
ポインタp
を使って、x
の値を間接的に変更することができます。
*p = 20; // これにより、xの値が10から20に変更されます
ポインタを使うメリット
ポインタを使うことで、関数間でデータのアドレスを渡し、データを直接操作できるようになります。
これにより、プログラムのパフォーマンスが向上し、特に大量のデータを操作する際には大きなメリットとなります。
Go言語の宣言文法
次に、Go言語の宣言文法について説明します。
Goの宣言文法の特徴
Go言語では、名前(変数や関数の名前)を最初に書き、その後に型を指定します。
これにより、プログラマーがコードを読む際に、変数や関数の「名前」にすぐ焦点を当てることができ、型の情報は後から提供されるようになっています。
Goの宣言の具体例
例えば、以下のように書きます。
-
x int
:x
がint
型の変数であることを示します。 -
p *int
:p
がint
型へのポインタであることを示します。 -
a [3]int
:a
が3つのint
型の要素を持つ配列であることを示します。
このように、Goでは変数名や関数名を先に書き、その後に型を示すことで、コードの読みやすさを向上させています。
関数の宣言におけるGoの特徴
Go言語では、関数を宣言する際も、同様に名前を先に書き、引数とその型を続けて書きます。
func main(argc int, argv []string) int {
// 処理
}
これは、「main
という名前の関数は、整数型のargc
と文字列のスライス型argv
を引数として受け取り、int
型の値を返す」という意味です。
Goの宣言の利点
Goの宣言文法の大きな利点は、左から右に読むだけで簡潔に理解できる点です。
例えば、関数型の変数や関数を返す変数の宣言も、Goでは次のように簡潔に書けます。
f func(func(int, int) int, int) int
これは「2つの整数を受け取り、整数を返す関数を引数にとり、整数を返す関数型の変数f
」を意味しています。
名前が常に先頭にあるため、宣言の対象が何であるかが一目でわかります。
ポインタの扱いに関するGoの工夫
Goでは、ポインタを扱う際、C言語と同じく*
を使用しています。以下のように宣言します。
var p *int
x = *p
ここで、p
はint
型へのポインタであり、*p
を使ってポインタが指し示す場所にある値を取得しています。
このようにして、C言語と同様にポインタを扱いながらも、Goの文法のシンプルさと直感性を保っています。
なぜGoの型宣言は後ろに来るのか?
Go言語の設計者たちは、型を変数や関数の名前の後に配置することで、コードの読みやすさを向上させようと考えました。
読みやすさの向上
名前を最初に置くことで、プログラマーがコードを読むときに、まず「何を操作しているのか」を理解することができます。
その後に「その対象がどのような型であるのか」が明らかになるため、コードの意図が明確になります。
一貫した宣言スタイル
Goでは、すべての宣言が「名前 -> 型」という一貫した順序で書かれます。
これにより、コードを読むときのルールが統一され、プログラマーが迅速に理解できるようになります。
複雑な型の扱いが簡単
型が複雑になっても、左から右に順番に読めば理解できる構造を持っているため、C言語のように混乱することがありません。
例えば、関数が別の関数を返す場合や、関数が複雑な引数を受け取る場合でも、その構造は明確に示されています。
結論
Goの宣言文法が型を後ろに置く理由は、読みやすさと一貫性、複雑な型の扱いをシンプルにするためです。
Goの設計者たちは、プログラマーがコードを直感的に理解できるよう、名前を先に書いて型を後に書くスタイルを採用しました。
この結果、コードは読みやすく、保守しやすくなり、特に大規模なプロジェクトでその利点が際立ちます。
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