ソフトウェアエンジニアのよい職務経歴書とよくない職務経歴書
はじめに
ぼくはソフトウェアエンジニアです。
仕事の合間にソフトウェアエンジニアの経歴をたくさん見ることがあるので、その経験をもとに、よい感じの職務経歴書とよくない感じの職務経歴書にそれぞれ見受けられるパターンについてお話したいとおもいます。
これが最善の答えではなく、あくまでいろいろ見た上でのぼく個人が捉えた感想であるとお考えいただきたいです。また、会社としての意見ではありません。これさえ守れば転職無双できるというものでもありません。あらかじめご了承ください。
また「よい」「よくない」というのは、あくまでぼくの主観であって、絶対的な意見ではありません。あくまで「そういう観点を持つ人もいる」というようにお考えいただきたいです。「それを『よくない』と思う視点はおかしいのでは?」という点があれば、コメントをいただきたいです。
あなたが転職する際の一助になれば幸いです。
よい職務経歴書のパターン
読む人の視点で書かれている
「職務経歴書を誰に読んでもらうのか」という視点がある職務経歴書はとても読みやすいです。
こうした職務経歴書は、技術に関する説明が入る前の最初の段落から「(・∀・)イイ!!」と感じます。
- わたしとはいかなる人間か
- わたしはこれまで何をしてきたか
- わたしが提供できることは何か
これらがグッと入ってくると、まず「もっと知りたい!」と思います。そしてGitHubを見たり、どのようなことをしているのか調べたりします。
こうした「誰に読んでもらうか」はかなり重要な視点だと思います。それを読む人は、ある意味未来の同僚になるかもしれないわけで、未来の同僚(とくに同じソフトウェアエンジニア)が自分の職務経歴書を見てどう感じるか、という観点はかなり重要だと思います。
そもそもスキルレベルが高く、成果物のクオリティが高く、やってきたことが多い
元も子もない話ですが、職務経歴以前の問題としてスキルレベルが高いため、職務経歴書に書かれていることもそれに応じてレベルが高いように見えます。ハロー効果かもしれませんが……
こうした点があるので、基本的に他の人には真似ができないような構成や内容になっていることが多い印象です。
よい職務経歴書のパターンについてのまとめ
少ないし、全然参考にならないかもしれません。すみません。
ただ、よい職務経歴書の共通項は抽象的な部分が多くなり、パターン化しにくいように思えます。
よい職務経歴書については、こちらの方の記事がとても参考になると思います。
よくない職務経歴書のパターン
嘘をついている
ソフトウェアエンジニアの資質としてとても重要なことは、嘘をつかないことだと思います。これは「それは当然のことだろう」と思われるかもしれませんが、自分を大きく見せるためなのか、自分自身がやっていないことまで含めて書かれていることがときどきあるなと感じます。
多いものは、以前から使われていた技術や、テックリードやCTOが導入したことを、あたかも自分が全面的に企画・導入したというふうに誤認させるように書かれている経歴書です。
面談や面接で気になって聞いたときに「あ、実はそれは自分がやったのではなくて…」「実はあまり詳しくなく…」と言われてしまうと、おもしろそうな話や自分の知らない話を聞けると思ったのに聞けなくてしょんぼりします。それに書類全体の信憑性が損なわれるので悲しいです。
「◯◯を勉強中です」もこれに近いかもしれません。これはたまに見かけますが、ぼくとしては無いほうがいいんじゃないかと思っていて、単にありのままの成果を出すのがいいと思います。「◯◯をここまで勉強しました。成果物はこれです」なら言ってもいいと思います。「勉強中」は、やっていなくても言える魔法の言葉なので見分けがつきにくいです。また「勉強中」は未経験に近いジュニアレベルに見られることが多く、文言として避けた方が無難なように思えます。
ぼくとしては、ただ正直に、日頃の業務で何を考えて何をしているのかを書くのがいちばんいいのだと思います。
技術スタックを愛なく並べている
「MySQLができます」と書くだけなのは容易いです。本当の初心者も「MySQLができます」と書くことができます。しかし「MySQLができます」と言い切れる人がこの世に何人いるかを考えると、とても怖い言葉だと思います。二値で判定できる類のものではないはずだからです。
ソフトウェアエンジニアにとって、知りたいことはMySQLがどのぐらいできるのかということ、それによって何をなしたかで、そういうことが書かれていなくて「使用技術: MySQL」というのは、それで何ができるのか全くわからないので不安です。
「私はXができます」というXは、実際には単に「私が入っていたプロジェクトあるいはその周辺ではXが使われていた」ということが多いように思えます。ぼくはそれはその人自身の技術スタックであるとは考えません。
これは経験が長い人でも言えることだと思います。Reactとかk8sとかElasticsearchとかが、転職活動のときに使われるラベルとして扱われているのを見ると悲しくなります。それはそういう道具ではないはずです。あんたそこに愛はあるんか?と思います。
レイアウトがズレている、誤字脱字が多い
職務経歴書とはドキュメントであり、自分がやってきた職務をまとめた成果物だと思います。
その成果物が雑であるということは、普段のドキュメントも雑、仕事も雑、スペルミスも気にしない、バグは気にしないのではないか、UI/UXは考えないのではないか、というような感想を抱きます。職務経歴書は雑だけどそれに反してスキルは高くビジネスもわかる、というようには考えにくいです。
職務経歴書とは、自分の人生がそれなりに変わってしまうかもしれない大事な書類であるはずなので、多少の誤字脱字はしょうがなくても、多いと不安になってしまいます。
まとめ
多くの人は職務経歴書を作るときは、まずググるのだと思います。そしてググって出てくる情報をもとに、自分の人生の一部を職務経歴書に書いていると思いますが、ググって出てくる職務経歴書の規格や書き方よりも、自分が本当にやってきて相手に伝えたいこと・知ってほしいこと・やりたいことを書く方が優先度が高いと思います。ある意味、今「職務経歴書」として広まっているものは、誰かがやりだして「これはいいじゃん」となって、規格化されたものだと思います。
履歴書と職務経歴書の提出は昔からの慣習により人口に膾炙しているのであって、現代の職種に最適なものではないのでは?とぼくは思っています。ただし、規格としてどこの会社も使っていますし、最低限書いてほしいことは決まっているはずなので、そういうところを合わせることは必要だと思います。
職務経歴書というフレームワークの中で、いかに他のソフトウェアエンジニアの心をとらえるように自らの人生をコード化できるか、そういうふうに考えると、いい感じの職務経歴書が書けるのではないかと思います。しらんけど。
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