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フロントエンドとバックエンドを分離した理由

2024/08/18に公開

はじめに

最近、取り組んでいる管理コンソールシステムのリアーキテクチャに際して、フロントエンドとバックエンドを技術的に分離することを決断しました。この記事では、分離を決断した理由、そしてこのアプローチによって期待されるポイントについて共有したいと思います。

Webアプリケーションのアーキテクチャの歴史

初期のWebアーキテクチャ

典型的な初期のWebアプリケーションは、フロントエンドとバックエンドが密接に結びついていました。サーバ側でHTMLが動的に生成され、ブラウザに送信される仕組みで、すべての処理がサーバ側で行われ、クライアントは静的なHTMLを受け取るだけでした。この時代、jQueryのようなライブラリが登場し、クライアントサイドでの基本的なDOM操作やイベントハンドリングが容易になりましたが、依然としてクライアントサイドの処理は限定的でした。

クライアントサイドの進化

JavaScriptの進化とともに、クライアントサイドの処理能力が大幅に向上しました。特に、ES6の登場により、JavaScriptはよりモダンで強力な言語となり、クライアントサイドの開発が一層進化しました。また、ReactやVue.jsのようなフレームワークの登場により、複雑なUIを効率的に構築できるようになり、SPA(シングルページアプリケーション)が普及しました。これにより、HTMLの生成や画面のレンダリングは主にクライアント側で行われ、フロントエンドとバックエンドの役割分担が明確になりました。

最新のフロントエンドとバックエンドの分離

現代ではフロントエンドとバックエンドの分離はWeb開発の標準的なアプローチとなっています。フロントエンドはReactやVue.jsなどを使用してUIを構築し、バックエンドはNode.jsやDjango、Springなどを使用してAPIを提供します。この分離により、各チームが独立して開発を進められるだけでなく、システム全体のスケーラビリティとパフォーマンスが向上しました。

フロントエンドとバックエンドを分離のメリット

  1. 独立した開発とデプロイ
    フロントエンドとバックエンドのコードベースが分離されることで、それぞれの開発チームが独立して作業を進めることができます。これにより、開発スピードが向上し、デプロイ作業の柔軟性も高まります。バックエンドの変更やアップデートがフロントエンドに影響を与えることがなく、逆もまた然りです。これにより、運用中のリスクが軽減され、バグ修正や機能追加がスムーズに行えます。

  2. パフォーマンスの最適化
    フロントエンドとバックエンドをそれぞれ最適な技術スタックで設計できるため、システム全体のパフォーマンスが向上し、負荷分散やスケーラビリティの管理も効率的に行えます。これにより、ユーザー体験が改善され、システムの応答速度や安定性が向上します。

  3. 柔軟性と再利用性の向上
    APIとして提供されるバックエンドは、異なるプラットフォーム(ウェブ、モバイル、デスクトップなど)で一貫して利用可能です。これにより、ビジネスロジックの再利用が容易になり、新しいクライアントアプリケーションの開発コストが削減されます。また、新規機能の追加や既存機能の改善が迅速に行えるため、メンテナンスコストも削減できます。

フロントエンドとバックエンドを分離した理由

現在のシステムと組織の状況を踏まえ、フロントエンドとバックエンドの分離を決定しました。以下の理由が挙げられます。

  1. メンテナンス性の低下
    フロントエンドとバックエンドが一体化し、ビジネスロジックが分散していたため、コードの変更が他の部分に影響を与えやすく、バグが発生しやすい環境でした。その結果、全体の修正が困難で、メンテナンスコストが増加しました。
  2. 技術的な負担
    フロントエンド技術の進化に対して、社内には最新技術に対応できる人材が不足していました。特に、ReactやVue.jsといったモダンな技術が既に運用されているにもかかわらず、それらの技術を使いこなせるメンバーが少なかったため、学習とトレーニングの機会が必要でした。
  3. 採用および人材育成の課題
    モダンな技術スタックの導入により、技術志向の高い人材にとって魅力的な職場となり、採用競争力が向上します。さらに、最新技術を使うことで既存のメンバーにもスキルアップの機会を提供し、全体のスキルレベルを引き上げます。技術的な挑戦や成長機会の提供は、社員の定着率の向上にも寄与すると考えました。

今後の課題と目標

フロントエンドとバックエンドを技術的に分離したことで、次に目指したいのは組織的な分離です。現在の開発チームでは、フロントエンドとバックエンドのエンジニアが密接に連携していますが、今後はチームを分離し、それぞれの専門性を高め、各チームが独立して意思決定を行える体制を整えたいと考えています。

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