Oracle Cloud Free TierはGUIからだとつまづく。CLIでのインスタンス構築法(2025年6月版)
Oracle Cloud Free Tierを使って無料でLinuxサーバーを立てようとしたとき、多くの人が最初に試すのはGUI(ブラウザ)からの構築です。
ですが、実際に試してみると「インスタンスが作れない」「作れたけどSSHできない」といった壁にぶつかることがあります。
この記事では、Oracle Cloud CLI(OCI CLI) を使って、Free Tierでも確実にインスタンスを立てる方法を2025年6月時点の実例とともに解説します。
1. はじめに:Free Tier環境の制限と実体験
Oracle Cloud Free Tier(無料枠)は魅力的なクラウド環境ですが、最近では以下のような問題が起きています:
- GUIからA1/Flexインスタンスを作ろうとすると**「容量不足」や「AD制限」**が出る
- インスタンス作成後にSSH接続ができず詰む
- Oracleのサポートに問い合わせても、Free Trialでは制限解除不可
📸 サポートに連絡
私もGUIから構築しようとして失敗し、CLIでの構築に切り替えることでようやく成功しました。
2. Free Tierでのインスタンス作成の落とし穴
OCI CLIのインストールと初期設定
Oracle CloudをCLI(コマンドライン)から操作するには、oci
コマンドをインストールする必要があります。以下はMacでの手順です。
1. OCI CLIのインストール
bash -c "$(curl -L https://raw.githubusercontent.com/oracle/oci-cli/master/scripts/install/install.sh)"
実行後、以下のようなメッセージが表示されます:
===> Modify profile to update your $PATH and enable shell/tab completion now? (Y/n):
===> Enter a path to an rc file to update (file will be created if it does not exist) (leave blank to use '/Users/yourname/.bashrc'):
-- Tab completion set up complete.
-- Installation successful.
-- Run the CLI with /Users/yourname/bin/oci --help
2. パスを通す(初回のみ)
.zshrc または .bashrc に以下を追記します:
echo 'export PATH="$HOME/bin:$PATH"' >> ~/.zshrc
source ~/.zshrc
3. バージョン確認
oci --version
4. 初期設定(Tenancy/User情報の登録)
次に以下のコマンドで ~/.oci/config
を作成します:
oci setup config
プロンプトに従って、ユーザーOCID・Tenancy OCID・リージョンなどを入力します。これらの情報は Oracle Cloudのマイページ から取得可能です。
GUIで構築しようとした時の詰まりポイント
問題 | 内容 |
---|---|
A1が使えない | 「Out of Host Capacity」エラーで選べない |
AD制限 | 特定のADではFree Tierが割り当てられない |
SSH接続不可 | 成功したように見えて、接続できないケース多数 |
📸 Free tier account だとAvailabity domainでAD1しか選択できない
試行錯誤の結果
最終的に、GUIからのインスタンス作成は諦めてCLIから実行することにしました。
CLIであれば、必要なリソース情報を正しく取得して、成功率高く構築できます。
3. CLIでFree Tierインスタンスを構築する
CLI構築は大きく分けて以下の3ステップです:
✅ ステップゼロ:CLIで取得すべき項目とコマンド一覧
項目 | 取得コマンド例 |
---|---|
Namespace | oci os ns get |
Availability Domain | oci iam availability-domain list --compartment-id <Tenancy OCID> |
Subnet OCID | oci network subnet list --compartment-id <Tenancy OCID> --vcn-id <VCN OCID> |
Image OCID | oci compute image list --region ap-tokyo-1 |
📸 oci compute image list
✅ ステップ一:仮想マシン(インスタンス)の構築準備
# Image OCID(例:Oracle-Linux-8.10 最新版)
ocid1.image.oc1.ap-tokyo-1.aaaaaaaayy2dcg4vje7vg2xjbnwz7t6n3c3vr3rsx2w7ut4ldaoc2akb5mqq
# Subnet OCID(自分のVCN配下のものを選ぶ)
ocid1.subnet.oc1.ap-tokyo-1.aaaaaaaat4kzefmfjteea2xioabacu23q3alllj2imvi6gytepzgngquljdq
✅ ステップ二:仮想マシン構築ステップ(CLIベース)
oci compute instance launch \
--availability-domain "iTAA:AP-TOKYO-1-AD-1" \
--compartment-id ocid1.***.***.*** \
--display-name "cli-instance-01" \
--shape "VM.Standard.E2.1.Micro" \
--subnet-id ocid1.subnet.oc1.ap-tokyo-1.aaaaaaaat4kzefmfjteea2xioabacu23q3alllj2imvi6gytepzgngquljdq \
--image-id ocid1.image.oc1.ap-tokyo-1.aaaaaaaayy2dcg4vje7vg2xjbnwz7t6n3c3vr3rsx2w7ut4ldaoc2akb5mqq \
--metadata '{"ssh_authorized_keys": "'"$(cat ~/.ssh/id_rsa.pub)"'"}' \
--launch-options '{"bootVolumeType": "PARAVIRTUALIZED", "networkType": "PARAVIRTUALIZED", "isPvEncryptionInTransitEnabled": true}'
📸
4. SSHで接続して確認しよう
インスタンスが PROVISIONING
状態から RUNNING
に変わったら、次のコマンドでIPアドレスを確認します:
oci compute instance list-vnics \
--instance-id <インスタンスOCID>
出力結果に public-ip
が含まれていれば、以下のようにSSHでログインできます:
ssh -i ~/.ssh/id_rsa opc@155.248.175.40
📸 ここにスクショ(SSH接続成功した画面)
5. まとめとTIPS
✅ CLIを選ぶべき理由
構築方法 | 特徴 | 成功率 |
---|---|---|
GUI | 表示上は選べそうに見えるが実は不可が多い | 低 |
CLI | 必要な情報を確実に指定できる | 高 |
🛠 成功させるためのTIPS
- Image OCIDは最新版を使う
- Subnet OCIDとVCNを正確に指定
-
--launch-options
で互換性問題を回避 - SSH公開鍵を事前に用意
- list-vnicsでIP確認
📝 所要時間の目安
ステップ | 所要時間(目安) |
---|---|
CLI設定 | 10分 |
各種OCID取得 | 5分 |
インスタンス構築 | 10分 |
合計 | 約25分 |
🔚 あくまで私の一感想です
本記事は2025年6月現在のOracle Cloud Free Tier環境をもとに執筆しています。将来的に仕様が変わる可能性があるため、あくまで参考としてご覧ください。
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