「Unityでオブジェクトを移動させるとき、あるキーを押すだけで驚きの変化が・・・!?その秘密とは――」
Unityでオブジェクトを配置しているとき、微妙なズレに悩んだことはありませんか?
実は、Shiftキーを押すだけで、その悩みをすっと解決できるんです。
今回はそんな便利な小技を、ちょっと変わった「物語仕立て」でご紹介します。
「なんでズレるんだよ!」
夜更け、ひとつの部屋にカチャカチャと軽快なキーボード音が響いていた。
時計は深夜2時を回っている。
モニターにはUnityのエディタ画面。
オブジェクトを動かしては、ため息をつく青年がいた。名前はユウマ。
今年からハッピーモーメンツ株式会社に入社したばかりの新米プログラマーだ。
「また微妙にズレてる……!」
彼はモニターに向かって小さく吠えた。
ほんの数ピクセル、わずかな誤差。
でも、ユウマにはその"ズレ"がどうしても許せなかった。
0.03、0.08、0.12……。
狙った値に、なかなか吸い付かない。
完璧を目指すあまり、彼の心は少しずつ疲れていた。
"ハッピー"な助け舟
「そんなに詰めなくても、大丈夫だよ」
背後から、ふわりと柔らかい声がした。
振り返ると、チームリーダーのナツミが立っていた。
彼女もハッピーモーメンツの一員で、ベテランのデザイナーだ。
「でも……ズレてると後で絶対バグるし、完成度も下がるし……」
「うん、ユウマの気持ち、すごくわかる。でもね、ハッピーモーメンツでは、楽しく作るのがいちばん大事なんだよ」
ナツミはにっこり笑い、ユウマのマウスにそっと手を添えた。
そして、Shiftキーを押しながらオブジェクトをドラッグした。
ピタッ。
音が聞こえた気がした。
オブジェクトが、吸い付くように正しい場所へハマった。
「……え?」
「Shiftキーを押すと、移動がスナップするんだ。Unityの、ちょっとした魔法みたいなものだよ」
ナツミはウインクして、そっと離れた。
世界が変わった夜
その夜から、ユウマの作業は劇的に変わった。
Shiftキーを押す。
それだけで、オブジェクトたちは意志を持ったかのように、正しい位置へピタリと並ぶ。
作業効率は倍になった。
ミスも減った。
何より、イライラが激減した。
「なんだ、こんな簡単なことだったんだ……!」
彼は感動した。
しかも、ハッピーモーメンツではこうした「小さな工夫」を、チームみんなが自然に共有し合っていた。
作業効率アップの裏技や、おすすめのツール設定、そしてチームの一体感を高める朝のミニゲーム。
それらはすべて、「みんなで幸せなものづくりをする」ための自然な文化だった。
記憶の中のズレ
夜、ナツミと並んで歩きながら、ユウマはふと思った。
(これほど簡単にズレを直せる方法が、あの頃にもあったら――)
高校時代、美術の授業。
石膏像を描く課題で、輪郭線が微妙にズレるたび、彼は消しゴムで消しては描き直していた。
何時間もかけたのに、結局提出できず、白紙のスケッチブックを前に途方に暮れた。
その時も、誰かが教えてくれたかもしれない。
「定規を使えばいいんだよ」って。
けれど彼は、その言葉に気づけなかった。
ただ一人で、ひたすら手作業で完璧を目指して、そして、挫折していた。
(俺は昔から、完璧を求めすぎるあまり、肝心な「楽をする方法」を無視してきたんだ)
Shiftキー。
たったひとつの小さな工夫。
けれどそれは、完璧主義にとらわれたユウマを解放する魔法だった。
夜風が心地よい。
ナツミがふと足を止めた。
「ねえ、これからも、困ったら一人で悩まないでね」
「……うん」
「わたし、Shiftキーみたいになりたいな」
「Shiftキー?」
「うん。ユウマがズレそうになったら、そっと支えて、正しい位置に連れてってあげるの」
そう言って、ナツミは笑った。
その笑顔に、ユウマの胸はぎゅっと締め付けられた。
(俺も、ナツミがズレそうになったら、支えられる人になりたい)
未来はまだぼやけている。
でも、今この瞬間、彼は確かにナツミとスナップした。
カチリ、と音を立てるように。
未来にスナップする
それから数ヶ月後。
ユウマたちのチームが開発した新作ゲーム『Snap World』が正式発表された。
バラバラになった世界を、プレイヤーがスナップでつなぎ合わせ、幸せな町を作るゲーム。
コンセプト文にはこう書かれていた。
「ほんの少しのズレも、大事な個性。
でも、きっとどこかに、ぴったりハマる場所がある。
焦らず、楽しく探していこう。」
エンドロールの最後には、チームメンバーの名前とともに、こんなメッセージが流れた。
"From Happy Moments, with Joy."
ユウマはモニターを見ながら、そっとShiftキーを押した。
世界と、未来と、そして仲間たちに――しっかりスナップするために。
~完~
さいごに
Unityで「Shiftキーを押しながらドラッグすることで、Transformの移動をスナップできる」
そんなちょっとした便利さを、物語にしてやさしく伝えました。
少しでも、日々の作業が楽しくなるきっかけになれば嬉しいです。
※この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは関係ありません。
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