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【歴史】WYSIWYG とは What you see is what you get!

に公開

What you see is what you get! 見たままの世界へ!

WYSIWYG(ウィジウィグ)は「What you see is what you get」の略語。

今回はこの「What you see is what you get」ってフレーズに注目するのだ。

今回の記事の登場人物

Flip Wilson:
「What you see is what you get」は元々、アメリカのコメディアンである彼の決め台詞として広く知られていたのだ。

Charles Simonyi:
Xerox PARC で、世界初の WYSIWYG ワープロ「Bravo」を開発した「 WYSIWYG の父」なのだ。

Xerox PARC:
Simonyi が所属し、WYSIWYG だけでなく、マウス や GUI など、後の PC の基礎となる多くの先進技術を生み出した研究所なのだ。

Apple / Microsoft:
Xerox PARCの技術の価値を見抜いた Steve Jobs が Apple 製品に採用し、その後 Microsoft も追随。これにより WYSIWYG が世界中に普及したのだ。

What you see is what you get という決め台詞

What you see is what you get っていうフレーズが最初に有名になったのは、技術の世界じゃなかったのだ。1970年代、アメリカのコメディアン Flip Wilson が、彼のキャラクター「Geraldine」の決め台詞として使ったのが始まりなのだ。

Flip Wilson が演じる Geraldine Jones というキャラクターは、この動画で見ることができるのだ。-> https://www.youtube.com/watch?v=koyx2RmFe7M

Flip Wilson は、「自分は隠し事や裏表のない、ありのままの存在だ」っていう気持ちでこの What you see is what you get ってフレーズを使ってたようなのだ。私をそのまま受け入れて」という率直さや自信、飾らない姿勢を表していたのだ。

この言葉はもともとアメリカの広告などで「商品に隠れた要素はなく、見た通りのものが手に入る」という意味合いでも使われていたみたいだけど、Flip Wilsonのコメディを通じて「人柄や性格、外見に偽りがない」という個人のアイデンティティや自己受容のメッセージとして広まったらしいのだ。

時代背景

そして今回話したい時代は1970年代。web 技術が生まれるよりもずっと前の話。この時代、文書作成はコマンドやマークアップ言語(troffなど)を使い、画面で見ているものと印刷されるものが一致しないのが当たり前だったのだ。

書いた文書がどんな見た目になるかは、実際にprinterで印刷するまで分からない。これは非常に非効率で、専門知識が必要な作業だったのだ。

WYSIWYG の父:Charles Simonyi

宇宙飛行士姿のCharles Simonyi

Charles Simonyi(チャールズ・シモニー)は WYSIWYG という概念をITの世界で初めて実現し、専門知識がなくても誰もが直感的にコンピュータを使える社会を目指したのだ。

Simonyiたちは「What you see is what you get(見たままが得られる)」体験を実現したのであって、ぼくの調査では「WYSIWYG」という言葉は開発段階ではまだ使っていなかったと思う。けれど Simonyi たちが作り出したのはのちに WYSIWYG として有名になる WYSIWYG word processor「Bravo」だったのだ。

Bravo。いいネーミングなのだ。

Xerox PARC で行われていたデモ

1970年代、Xerox PARCの内部で繰り返し行われていたデモンストレーションが、のちの IT 史に大きな影響を与えたのだ。その主役は、PARCが開発したPersonal Computer「Alto」と、その上で動作する word processor「Bravo」だったのだ。

そのデモで示されたのは、当時としては革命的な光景だったのだ。Mouse(Douglas Engelbartが開発)を使い、Alto の高精細な画面上で Bravo の文書を編集すると、画面に表示されている通りの見た目が、そのままプリンターから出力されたからなのだ。

コマンド入力が常識だった時代に、この「見たままが得られる」という体験は、目の当たりにした開発者たちに大きな衝撃を与えたのだ。そして、この体験を的確に表現する言葉として、彼らの間で自然発生的に使われ始めたのが、

「What you see is what you get」

――WYSIWYGだったのだ。

最初に触れたように Flip Wilson によって What you see is what you get っていうフレーズは広く知られていた。広告でも使われることもあった。そんなキャッチーなフレーズが IT の歴史ではこの衝撃体験を表す言葉としてつぶやかれ、今日では WYSIWYG として知られる当たり前の体験になっているのだ。

1970年代半ばに作成された、Xerox PARCの研究成果であるAltoがいかに革新的だったかを紹介する動画はこちら。動画内では「what you saw on the screen was precisely what you got on your laser printer」というナレーションがあり、WYSIWYGの本質を端的に表現しているのだ。

WYSIWYG の素晴らしさを市場に伝えた人たち

さて、Xerox PARC がデモンストレーションしていた未来であったが、市場にそれを届けたのが Steve Jobs だった。彼は Xerox PARC で WYSIWYG の技術を見てその可能性を確信し、Apple製品の「Lisa」や「Macintosh」で WYSIWYG を商業製品の核に据えたのだ。こうして、専門家だけでなく一般ユーザーにも WYSIWYG 体験が広まることになったのだ。

そのあと、Microsoft も Windows や Word で続いた。ちなみに Word や Excel の開発を主導したのも Charles Simonyi なのだ。彼は実現したい未来や将来性を考えて Xerox PARCから Microsoft に移籍したのだ。

NOTE

  • Flip Wilson のキャッチフレーズで他の有名なもの

    • "The devil made me do it."(悪魔が私にそうさせたの)
    • これもFlip Wilsonがよく使ったフレーズで、何か悪いことやイタズラをしたときの言い訳としてユーモラスに使われた
  • Charles Simonyi は、1970年代にXerox PARC(パロアルト研究所)に在籍し、世界初のWYSIWYGワードプロセッサ「Bravo」の中心開発者

    • 地名+iで「~出身の人」を表す
    • 例: budapesti(ブダペスト出身の)」
    • つまり Simonyi も同様に「Simony出身の人」という意味
    • しかし、Simony が具体的にどこの地名なのかは不明
  • Charles Simonyi の直近のインタビューが Youtubeで公開されている

    • 彼はハンガリー生まれのアメリカ人
    • 彼は宇宙に関しても大きなビジョンを持っている
    • 夢を持つだけでなく、宇宙にもすでに2回行っている
  • WYSIWYG という言葉の「名付け親」は特定の個人ではなく、PARCの開発者たちの間で自然発生的に使われ始めた

  • Xerox 本社の経営陣は主にコピー機ビジネスに固執し、Personal Computer や新しい情報技術の可能性を十分に理解せず、研究成果を「紙の上のアイデア」として扱いがちだったらしい

  • PARC の技術者たちは自由な発想で研究できたものの、組織として「技術を社会に出す仕組み」がなかったため、イノベーションが社内に埋もれてしまう状況だった

  • Steve Jobs は1979年に Xerox PARC を見学した時にほぼ瞬時にその価値に気付いたと言われ、Apple製品に採用させ、WYSIWYG の体験が一般の人もできるようになった

  • Jobs が PARC の技術を「盗んだ」という都市伝説もあるが、実際は Appl eが自社株を Xerox に提供する見返りに技術デモを受けるという合意があった

番外編なのだ !

今回の記事のテーマ「What you see is what you get」 というフレーズをキャッチフレーズとして使っていた Flip Wilson の出身地は Jersey City, New Jersey だそうなのだ。

Jersey Cityといえば Hudson River(ハドソン川) が流れている。

今回も川の話をさせてくださいなのだ。

さて、ぼくは地図は大好きだけど、実は読むのが大の苦手。けれどそんな時に川がぼくを助けてくれるんだ。面白いことに、ぼくは川を見れば地図が読めるんだよ。だから地図を読む時は基本的に川中心。

例えば今回、Jersey City の場所を確認したいなーって思ったら、まず Hudson River を見つける。そして、その西に Jersey City があって東に New York があるんだなーって把握するんだ。New Jersey と New York の州境に Hudson River がなってるんだね。

そんなの当たり前だよーって思う人も多いかもだけど、ぼくにとっては川がないと全く地図が読めないので川を軸に地図を読むのはとっても大事なことなんだ。もし..他にも地図が読めない人がいたらぼくの方法試してみてほしいのだ。

Hudson Riverのエピソードはまた別の機会に..

参考地図:
https://images.nationalgeographic.org/image/upload/t_edhub_resource_key_image/v1638890164/EducationHub/photos/hudson-raritan-estuary.jpg

今回もここまで読んでくれてありがとうなのだ!

参考文献さま

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