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Gitフローだけじゃない!現代の開発に最適なブランチ運用5選を比較してみた
🧭 はじめに
Gitのブランチ運用は「Gitフロー」や「GitHubフロー」だけではありません。
現代の開発現場では、スピード・品質・柔軟性を重視したさまざまなフローが使われています。
この記事では、代表的な5つのフローを誕生年・背景・ブランチ構成図・比較表とともに紹介し、
開発スタイルに合ったブランチ運用が見つかるように整理しました。
✅ 1. Gitフロー(Git Flow)
- 誕生年:2010年
- 背景:Vincent Driessen 氏により提唱。複雑なリリース管理に対応するため。
-
特徴:
- 本番用の
main
と開発用のdevelop
を分ける -
feature/
,release/
,hotfix/
など多数のブランチを使い分ける
- 本番用の
- メリット: 大規模開発やリリース計画に強い
- デメリット: 運用が複雑で学習コストが高い
- 向いている場面: リリース計画を明確に立てたい中〜大規模チーム開発
📖 参考: A successful Git branching model - nvie
📦 ブランチ構成
✅ 2. GitHubフロー(GitHub Flow)
- 誕生年:2011年頃
- 背景:GitHub社がCI/CD時代に即した軽量な運用方法として導入。
-
特徴:
-
main
ブランチを中心に短命なfeature
ブランチで開発 - PR作成とマージで自動デプロイと連携するのが基本
-
- メリット: シンプルで覚えやすく、CI/CDとの相性が良い
- デメリット: リリース管理がやや曖昧(タグなどで補完)
- 向いている場面: 個人開発、アジャイル、モダンWebアプリ
📖 参考: Understanding the GitHub flow - GitHub Docs
📦 ブランチ構成
📝 GitHub Flow は main を中心に短命なブランチを作り、PRベースでマージするシンプルなフローです。
✅ 3. トランクベース開発(Trunk-Based Development)
- 誕生年:概念は2007年頃、普及は2010年代
- 背景:Googleなどが高速リリースとCI/CD最適化のため採用。
-
特徴:
-
main
(= trunk)に対して、頻繁かつ小さな変更をマージ - 未完成機能は Feature Flag で制御
-
- メリット: リリースの自動化や継続的デリバリーに最適
- デメリット: コンフリクト回避やテストの自動化が前提になる
- 向いている場面: DevOps・CI/CD・高速リリース文化のあるプロジェクト
📖 参考: Trunk-Based Development
📦 ブランチ構成
📝 Trunk-Based Development は main(trunk)に対して直接マージする構成。ブランチは短命または作らないこともあります。
✅ 4. GitLabフロー(GitLab Flow)
- 誕生年:2014年頃
- 背景:GitHubフローとGitフローの良さを融合し、GitLabのMRやCIと連携しやすくした運用。
-
特徴:
- GitHubフローをベースに、環境(staging/production)やIssueベースでの運用を追加
- GitLabのMRやCI/CDとの統合が前提
- メリット: チケット駆動開発と環境分離の両立がしやすい
- デメリット: GitLab以外の環境では完全な再現が難しいことも
- 向いている場面: GitLabユーザー、チーム開発、テスト環境と本番の明確な分離が必要な場合
📖 参考: GitLab Flow | GitLab Docs
📦 ブランチ構成
📝 GitLab Flow では、staging で検証した後に main にマージし、本番反映するパターンが一般的です。
✅ 5. リリースフロー(Release Flow by Microsoft)
- 誕生年:2017年頃(Microsoft DevOpsチームにより公開)
- 背景:複数のリリースバージョンを並行で管理する必要がある大規模製品のために設計。
-
特徴:
-
main
は「次に出す予定のバージョン」 -
release/
は「今実際に出すバージョン」 -
support/
で過去リリースも並行メンテナンス
-
- メリット: 複数バージョンのサポートに強い
- デメリット: 小規模開発にはオーバースペック
- 向いている場面: エンタープライズ製品、大規模システム、長期サポート製品
📖 参考: Release Flow – Microsoft DevBlogs
📦 ブランチ構成
📝 Release Flow(Microsoft)では、複数のリリースブランチや保守用ブランチを併用して、安定運用とリリースの柔軟性を両立します。
📊 比較まとめ表
フロー名 | 概要 | メリット | デメリット | 向いている場面 |
---|---|---|---|---|
Gitフロー | 複数ブランチで厳格な運用 | リリースの管理がしやすい | 運用が複雑、ブランチが増えやすい | チーム開発、大規模な商用アプリ |
GitHubフロー | PR中心のシンプルな運用 | CI/CDと相性が良く、学習コストが低い | リリース管理がタグ依存になりやすい | 個人開発、スタートアップ、Webアプリ |
Trunk-Based |
main 中心の高速開発 |
高速デリバリー、Feature Flagと好相性 | 品質管理・テストの自動化が前提 | アジャイル、DevOps、継続的デリバリー |
GitLabフロー | 環境+Issueベースのハイブリッド運用 | GitLabとの統合がしやすい、環境ブランチが明確 | GitLabに依存しやすい | GitLabユーザー、複数環境の中規模開発 |
Release Flow | リリース・保守を並行で扱う構成 | 長期サポートや複数バージョン対応に最適 | 小規模には過剰設計 | 大規模製品、LTSが求められるソフトウェア |
📝 おわりに
開発の目的やチーム規模によって、最適なGit運用フローは異なります。
個人開発や小規模であれば:
- ✅ GitHubフロー
- ✅ Trunk-Based Development
がシンプルかつ効果的です。
一方、リリース頻度が低く、保守が求められるプロダクトなら Gitフロー や Release Flow を検討してみましょう。
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