[AWS認定][SAA]暗記は苦手ですがSAA(C02)に合格しましたので、勉強方法や感想を残しておきます。
はじめに
みなさん、こんにちは。ひよこインフラエンジニアです。普段はAWSを中心に、既存システムの保守運用や新規システムの構築・テストなどのお仕事をしています。
今回、AWS Certified Solutions Architect -Associate(SAA-C02)に何とか781点で合格できましたので、振り返りと反省の念を込めて勉強方法を記録しておきます。日頃から一部のサービスには触れていたものの、資格勉強という意味では2週間ほどの勉強を行いました。
本記事では、以下について言及しています。
- 勉強開始前の私のスペック
- どのような勉強を行ったか
- 当日やってよかったこと
- 感想(試験のメリット、反省点)
反対に、下記の内容は取り扱っておりませんので、ご了承ください。
- AWSサービスの具体的な説明
- どのような問題が出題されたか(※秘密保持契約のため記載不可)
なお、公式サイト[1]に記載されているようにSAA-C02試験は2022年8月29日までとなっており、以降はSAA-C03試験となります。本記事の記載内容はSAA-C02に向けた勉強内容となりますので、ご注意ください。
1.勉強開始前の私のスペック
試験の準備にかかる時間や内容は受験者様固有のものだと考えますので、当時の私の知識や経験について記録しておきます。なお、私は暗記が大の苦手でございます・・・。
受験時期は社会人2年目の8月であり、当時は基本情報・応用情報を取得していました。なお、SAAの前段階で受験される方が多いCloud Practitionerは未受験であり、SAA試験が初めてのAWS認定試験でした。業務では、既存システムの運用保守要員として8か月ほど、新規システムのテスト(たまに構築)要員として4か月ほどAWSに触れていました。触れたことのあるAWSサービスは下記のとおりです。
構築で触れたことがあるもの
- VPC、サブネット、セキュリティグループ
- Amazon Elastic Compute Cloud (EC2)
- Amazon Elastic Block Store(EBS)
- Application Load Balancer(ALB)
- CloudWatch、CloudWatch Logs、Amazon EventBridge
- Amazon FSx for Windows File Server(FSx)(※オンプレミスのADと連携)
- Amazon Inspector
- AWS Systems Manager(※Fleet Managerでインスタンスに接続するだけ)
テストで触れたことがあるもの
-
Amazon Simple Storage Service (S3)
-
Network Load Balancer(NLB)
-
CloudTrail
-
VPC フローログ
-
VPC エンドポイント
-
Amazon Simple Notification Service(SNS)
-
Transit Gateway、Direct Connect Gateway、仮想プライベートゲートウェイ(VGW)などオンプレミスとVPCを接続するために使用するネットワーク系のサービス(※パラメータチェックのみ)
上記のように、経験したサービスの観点では、EC2やEBS、S3といったサービスを何となく把握していること、オンプレミスとAWSの世界をつなぐためのサービスを見たことがある、という点が挙げられます。反対に、DBやコンテナサービス、構築自動化のサービスは使用したことがありません。
設計の観点では、普段はIaaSを実現する手段としてAWSを利用しており、イベント駆動のアーキテクチャやサーバーレスアーキテクチャには触れたことがありませんでした。
2.どのような勉強を行ったか
この章では、勉強の方針及び使用した教材について説明します。触れたことがあるサービスや構成を踏まえて、下記の方針で勉強を行いました。
勉強の方針
- EC2やEBS、S3、ELBなどの使用したことのあるサービスは細かい機能や種類を把握する。その上で、高可用性、耐障害性、要求されるパフォーマンスを実現するための構成(サービスの組み合わせ)を抑える。
- 触れたことのないサービスの基本的な特徴と、利用方法を把握する。
- イベント駆動アーキテクチャ、サーバレスアーキレクチャがどのようなものか知る。
- 業務での活用や他の認定試験を受けることを踏まえて、限られた時間の中でも得た知識を活用・再利用できるような勉強方法をとる。
1については受験ガイドを参考に、出題比率の高い「弾力性」「高性能」なアーキテクチャを実現するためにはどうすれば良いか、という観点を意識しつつ、各サービスの機能やタイプの知識を抑えていきました。また、タイプを整理することにより「コスト最適化」を実現するにはどうすればよいか、という観点を養うことができました。
2については、Route53やCloudFront、Kinesis、各データベースサービスや各コンテナ関連サービス、構築自動化のサービスの基本機能や特徴を把握していきました。触れたことのないサービスはイメージが難しいため、この部分の勉強には比較的時間がかかりました。
3については、後述する参考書や問題演習から苦手分野であるということが判明したたため、別途対策を行いました。本来であれば公式のハンズオンを実施して理解を深めるのが理想ですが、今回は時間が限られていたため、動画中心でインプットを行いました。
結果として、良く組み合わせて利用するサービスや、なぜその組み合わせが嬉しいのか、実際のお客様事例などを把握することができ、大変有意義だったと感じます。特に、なぜその組み合わせが嬉しいのかという観点は、当日の試験で要件にあった選択肢を選ぶのに必須でした。
4については、どのようにモチベーションを維持したか、どのように知識をまとめたか、という話になります。「仕入れた設計観点や知識は業務でも役立つはず」と自分を洗脳しました。また、冒頭でも述べたように暗記が苦手であるため、いつでも必要なときに、自分が必要とする分だけ内容を思い出せるようなやり方で知識を整理しました。これには、普段業務で使用しているフォーマットのExcelを利用しました。ぜひ他に便利なツールをご存じの方がいらっしゃいましたら、教えていただけると嬉しいです!
実際に使用していた自作Excel単語帳の抜粋
問題演習を通じて不明であった単語について、カテゴリ(サービス名)、正式名称(または別名)、意味をひたすら並べて羅列しています。また、同じサービスに属する単語は真下の行に並べる、DBであればRDS・Aurora・その他NoSQLサービスを近くに配置するなど、似た概念が近くに来るようにしました。そして、よく聞かれる概念や、3度ほど対面したにもかかわらず記憶できていない単語については、色をつけて目立たせています。そして、私は紙ベースの方が記憶に残りやすかったため、改ページビューでA4に設定、両面印刷し穴が開くほど見ていました。また、インスタンスタイプやストレージクラス、構成図などはノートに図表としてまとめました。
この内容を見返せば、業務時も次回以降の認定試験も、思い出す労力が少しは減るはずです・・・。
使用した教材
参考書及び演習問題は、下記を利用しました。
参考書:佐々木 拓郎、林 晋一郎、金澤 圭『AWS認定資格試験テキスト AWS認定ソリューションアーキテクト – アソシエイト 改訂第2版』SBクリエイティブ株式会社、2021年
問題集:【2022年版】AWS 認定ソリューションアーキテクト アソシエイト模擬試験問題集(6回分390問)、udemy2022年7月最終更新(2022/8/28時点)
また、SAAの上位資格であるSAPに合格した先輩から、下記のサイトを教えていただきました。各サービスの要点や、使い分けについてさらっと確認したい際によく参照していました。ただし、英語で書かれていますので、Google翻訳やDeepLの力を借りて読むことをお勧めします。IT用語やAWSのキーワードが分かりやすくまとめられているため、結果的には、試験本番時に英語に切り替えて読み進める練習にもなっていたように思います。
不明点を調査する際は、下記を参照していました。
サービスの概要や機能、使いどころを知りたい場合は、Black BeltやDevelopersIOを参照しました。加えて、イベント駆動アーキテクチャやサーバーレスアークレクチャ、可用性や耐障害性を高めた構成について知りたい場合はAWS Summit Onlineの「AWSセッション」動画を視聴しました。
3.当日やってよかったこと
私はピアソンVUEのテストセンターで受験しました。準備時、及びテスト中にやっておいて良かったことを記しておきます。
- 準備:上着を持っていく
- テスト中:問題が長いときは絵を描く
- テスト中:問題文の要件を目立たせる
- テスト中:英語表示に切り替える
1については、受験した日の気温が35度前後であったため、冷房除けに風邪を通さない記事の上着を持っていきました。会場によっては昨今の情勢を踏まえて換気が徹底されていたり、空調設備が古い場合などがあるため、体温調節のしやすい服装をお勧めします。私が受験した会場は空調設備が古かったため、「グォー」という音がして送風がきついときは上着を着る、無音になったら脱ぐ、の繰り返しで調節していました。その間画面からは目を離していなかったので、第三者から見ると不思議な行動をしているように見えたことでしょう(目を離す時間が惜しかったのです)。
2について、試験問題によっては、4~5行の文字の羅列で出題されることがあるようです。通信の方向やポートを矢印で示したり、非同期処理の場合は「データ、順番にためたい」と書いたテキストボックスをサービス間に挟んでしまうなど、自分ルールを決めて普段から絵を描くとよいかもしれません。
3で示した「要件」とは、お客さんがズバリその解決策で何を重視したいか、という点です。お金があまりかからない方法を求めているのか、値段は度外視して性能がほしいのか、読み取りと書き込みのどちらの能力を増やしたいのか、手動作業を減らしたいのか、といった要望が問題文にひっそりと表現されています。その要件を見落とさないよう、メモに書いたり、画面上でカーソルを当てたりするなど、読み飛ばしを減らす工夫が必要です。
4の「英語表示に切り替える」は先輩方の合格エントリにもたびたび登場していますね。文章の「てにおは」がおかしい、という問題にはあまり遭遇しませんでしたが、係り受けが曖昧なところがいくつかありました。「・・・に対する」という表現が同一選択肢で複数回出現している、「AZにまたがる・・・を設置し」の「AZにまたがる」サービスがどこまでを指すか不明瞭、といったパターンです。英語に抵抗がない方は、切り替えて句(意味のまとまり)ごとに区切るのをお勧めします[5]。
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<To+動詞>, <主語+述語・・・> 「動詞(を実現)するために、主語を述語する」
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configure+<サービス名 across two+名詞>・・・ 「<2つの名詞にまたがるサービス名>を設定し」
4. 感想(試験のメリット、反省点)
認定試験の勉強を通して、普段の業務では使用しないサービスの特徴や、構成例を把握することができました。また、過去の案件で触れていたシステム構成図についても、読み取ることが楽しくなってきました。そして何より、先輩方の会話についていくことができるようになりました。
一方で、今回の勉強期間中はサーバレス構成、イベント駆動アーキテクチャなどのハンズオンを実施することができませんでした。設定画面を通してサービスのパラメータや、隣接する概念、エラーの対処法や原因など、知識とノウハウを増やすことができます。そのため、次回以降の認定資格の勉強では、積極的に(お金の許す範囲で)ハンズオンを取り入れていきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。また、何かの記事やどこかの勉強会でお会いしましょう。
ひよこインフラエンジニア
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https://aws.amazon.com/jp/certification/certified-solutions-architect-associate/?ch=tile&tile=getstarted ↩︎
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https://aws.amazon.com/jp/aws-jp-introduction/aws-jp-webinar-service-cut/ ↩︎
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参考までに、私は大学時代の全盛期でTOEIC670点ほどでしたが、選択肢を読解するのにはそこまで苦戦しませんでした。 ↩︎
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