[技術書典19]初めての技術同人誌作成・オフライン出展
1. はじめに
みなさん、こんにちは。ひよこインフラエンジニアです。普段はAWSを中心に、既存システムの保守運用や新規システムの設計・構築・テストなどのお仕事をしています。この度、2025/11/16(日)に池袋サンシャインシティにて行われた技術書典19でオフライン出展をしてきました。
技術書典とは
技術書典は「技術書を中心とした様々な本を頒布する同人誌即売会」で、「エンジニア・デザイナー・研究者・学生が、自分の知見を「本」という形で共有する場」[1]です。私が今回出展したのは、19回目の開催でした。会期は、オフラインは2025/11/16 (日) 11:00~17:00、オンラインは2025/11/15 (土) 〜2025/11/30(日)です。
2. ぴよテックアカデミー
会社の有志で「技術同人誌を書いてみよう!」ということになり、サークル「ぴよテックアカデミー」[2]が誕生しました。

サークル:ぴよテックアカデミー
今回の技術書典では、2冊を新刊として取り扱いました。私を含む弊社メンバーで執筆した『ひよこと学ぶAWSネットワーク入門』(通称ネットワーク本)[3]と、umitsu(@umitsutech)さん、つくぼし(@tsukuboshi0755)さんとふくち(@har1101mony)さんが社外コラボして執筆した『AI Builder入門ガイド - ゼロから始めるエージェント開発』(通称AI本)[4]です。

ひよこと学ぶAWSネットワーク入門

AI Builder入門ガイド - ゼロから始めるエージェント開発
どちらの書籍の執筆陣も、技術同人誌を冊子体として仕上げるのは初めて、かつオフライン出展も経験がなかったため、締め切りに追われながら試行錯誤して完成させました。当日出来上がったブースの様子はこちら。

2025/11/16(日)のブースの様子。著者撮影のため、著者本人は写っていません。
当日お立ち寄りいただいた皆さん、ご購入いただいた皆さん、そして運営事務局の皆さん、改めましてありがとうございました。
3. オフライン当日までの流れ
振り返りの意味を込めて、可能な範囲で取り組んだことについてまとめていきます。私はネットワーク本の執筆を担当したので、執筆に関するスケジュールはネットワーク本に対する内容となりますことをご了承ください。
スケジュール感
全体的なスケジュールは下記でした。
| 時期 | 項目 | 説明 |
|---|---|---|
| ~2025/8/26 | メンバー集め | サークルメンバーの募集、確定 |
| 2025/9/9 | サークルミーティング初回 | サークル名決定、新刊テーマ決定 |
| 2025/9/11~16 | 出展申し込み | 出展申し込み、目次作成、執筆の分担割り振り |
| 2025/9/24 | オフライン出展決定 | オンライン+オフライン出展に当選 |
| 2025/9/27~28 | 執筆環境構築 | GitHub+Vivliostyle環境の構築、リポジトリにサークルメンバーを招待 |
| 2025/10/10~13 | 印刷所調べ | 物理本の印刷をお願いする印刷所について調べはじめる |
| 2025/10/19~11/3 | 執筆 | サークルメンバーが担当の章(初稿)を執筆 |
| 2025/10/26 | タイトル決定 | 新刊タイトルの決定 |
| 2025/10/27 | 完全手ぶらセット[5]申し込み | 技術書典が用意してくださっている、完全手ぶらセットに申し込み |
| 2025/11/4~11/7 | 微修正、GitHubにマージ | 担当の章の微修正、11/7に初めてPDF作成のビルドが通る |
| 2025/11/8~11/10 | レビュー・修正 | GitHubから出力したPDFベースで校閲・修正、ページ数を4の倍数に修正 |
| 2025/11/8 | デザイン着手 | 表紙・裏表紙・背のデザインやサークルカットの作成に着手(pptx) |
| 2025/11/9~11/10 | 表紙完成・印刷所/印刷部数・販売価格の決定 | 表紙データ(psd)の完成、本文データの完成、印刷所入入稿(11/10夜)、技術書典への審査登録 |
| 2025/11/11 | 技術書典への出品手続き | サークルページから実施 |
| 2025/11/12 | 印刷開始 | 印刷所(日光企画様)から作業開始連絡 |
| 2025/11/12~11/14 | オフライン準備 | チラシ(A4縦)、ポスター(A3横)の作成・印刷、ブースに必要な物品の準備、オフライン当日のブース対応シフト検討 |
| 2025/11/16 | オフライン当日 | 設営組は9:30前に現地集合、適宜交代し17時まで販売、17時15分頃撤収 |
11/11(火)23:59が技術書典サークルページからの電子書籍版アップロード期限、11/14(金)が日光企画様の印刷申し込み期限だったため、かなりギリギリのスケジュールを駆け抜けた形となります。GitHubでのマージや校閲と表紙作成、印刷所の対応、技術書典のサークルページからの手続きがほぼ同時進行していたため、11/8~11/14は非常にバタバタしていました。サークルメンバー6人で分担して切り抜けたものの、次回は期限に余裕をもって取り組みたいところです。
執筆環境
執筆環境については、以前私が親方Project様の『みんなのAWS推しポイント100本ノック』[6]に寄稿したときに使用されていた、GitHub+Vivliostyleを採用しました。普段ブログを書いているサークルメンバーにとっては、基本的なMarkdown記法は馴染みのあるものだったかと思います。そのため、各自Visual Studio CodeやWordで初稿を作成し、その後GitHubのリポジトリにファイルごとアップロードする手法をとっていました。一方で、私も含めてGitHubを本格的に使ったことがないメンバーも多かったので、forkやプルリクエストといった動作や、デバッグでは苦戦する場面が見られました。
デザイン
表紙や裏表紙、チラシやポスターといったデザイン周りについては、急遽私が担当させていただきました。開催1週間前のタイミングでしたが、毎年年賀状をPowerPointで作成していたことや、Microsoft Copilotに助けられ何とか形にすることができました。デザイン関連でCopilotを活用したのは初めてで収穫もあったので、またの機会にそちらも振り返ろうと思います。私用PC(メモリ8GB)さんがギリギリもってくれたのも幸いでした。何回かブラックアウトしてもうダメかと・・・。

ぴよテックアカデミーのチラシ(A4縦)、著者作成
ブース設営
完全手ぶらセットに申し込んでいたため、ブース設営の準備は最低限となり、追加でほしいものがある場合のみサークルメンバーで持ち寄りました。具体的には下記となります。
- A4チラシ60部(自作)
- A3ポスター1部(自作)
- ブックスタンド3個(持込)
- 養生テープ黄色(持込)
- 養生テープ紫色(持込)
- ひよこマスコットライト(持込、電池で光る)
- ミニ畳(持込、ひよこマスコットライトを上に載せる用)
- ひよこTシャツ(後半で著者着用)
- ひよこステッカー50部(サークルメンバーが発注)
このうち、ブックスタンドは特に役に立ちました。見本誌の位置を参加者の見やすい高さにすることができますし、ネットワーク本の表紙と背表紙を並べて展示することで、デザインに惹かれて手に取ってくださる方が多かったです。反対に、A4チラシ60部は印刷過多でした。ブースに立ち寄っていただいた方は、最初に見本誌を手にとっていただくか、事前にオンラインで情報をチェックしていたパターンがほとんどでした。そのため、売り子が手に持つ用と、サークルスペースに養生テープで貼る用の合計10部もあれば十分だと感じました。なお、他のサークルのブースを見て回ったところ、旗のようなものがあると目立ってよいと思いました。次回以降は検討したいところです。
4. オフライン出展の感想
今回は初めてのオフライン参加・出展ということで分からないことだらけでしたが、参加して良かったです。出展サイド、参加者サイドそれぞれについて理由をまとめました。
出展サイドとして
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初参加のサークルをサポートする仕組みがある
サークルページのToDOリストや、バックアップ印刷所のサポート、完全手ぶらセットの用意など、初参加のサークルでも安心できる仕組みが複数存在していました。そのため、執筆に集中することができたと感じます。また決済手段についても、必須対応はかんたん後払いアプリのみで、専用QRコードも比較的楽に用意できる点が魅力的でした。 -
参加者の生の声・反応をいただける
実際に見本誌を手にとっていただいた方の感想や、社外コミュニティで知り合った方からの感想を直接うかがえることが魅力的でした。「AWSを最近触り始めました」という方や、普段の技術的な悩みをがっつり相談される方、「ひよこが可愛いので専門外ですがこの機会に勉強します」という方、著者陣のサインをお求めの方など様々な交流が生まれました。個人的には、女性エンジニアさんにたくさんネットワーク本を手に取ってくださったのが嬉しかったです。表紙に思わぬ訴求効果があったようです。
参加者サイドとして
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見本誌を手に取りやすい
同人誌の即売会というと、売り子さんに声をかけられる、コスプレがすごい・・・という先入観がありましたが、技術書典は全体的に抑えめといいますか、サークルごとに特色が出ていました。呼びかけやレイアウトに力を入れて積極的に声をかけているブースもあれば、見本誌は置いておくので自由にどうぞ、購入する際だけお声がけくださいというスタイルのブースもありました。私は中身を見てから購入を決めたい性質なので、見本誌を手に取りやすい雰囲気でとても快適でした。 -
著者の方と交流できる
あまり馴染みのない技術について分かりやすく紹介してくださったり、著者に当該分野に関する質問ができるという点も魅力的だと感じました。今回は人見知りを発動してあまりお話できませんでしたが、他の参加者の方の質問を聞くだけでも大変勉強になると感じる場面が多々ありました。次回以降は、私もチャレンジしてみたいと思います。
5. おわりに
さて、本記事では技術書典19の技術同人誌作成・オフライン出展について振り返りました。良かった点は維持しつつ、反省点は次回以降に活かそうと思います。また、オフライン出展の知見を一定量得られたため、身近に技術同人誌づくりに関心があるメンバーがいればアウトプットの場を拡大していきたいと考えています。
改めまして、この場を借りて主催者の皆様、ブースにお立ち寄りいただいた皆様、購入いただいた皆様に感謝を申し上げます。最後に、本記事をお読みくださったあなた、ありがとうございました。それでは、またどこかの勉強会やどこかの記事でお会いしましょう。
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ぴよテックアカデミー https://techbookfest.org/organization/bf20zW1AW7QRGtD2DitSCi ↩︎
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ぴよテックアカデミー, 「ひよこと学ぶAWSネットワーク入門」 2025年11月15日https://techbookfest.org/product/7UgznY7LFSN7NsxLTRSsWJ?productVariantID=eZxxVaHmhgYSPPYEwxc2Br ↩︎
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ぴよテックアカデミー, 「AI Builder入門ガイド - ゼロから始めるエージェント開発」 2025年11月15日
https://techbookfest.org/product/iJE16DJQYkzPt83ai201J?productVariantID=2Z4T4cuUfNRWNPx9WGpVfy ↩︎ -
技術書典ヘルプセンター 「完全手ぶらセットの提供について」 https://techbookfest.zendesk.com/hc/ja/articles/31287768689421-完全手ぶらセットの提供について ↩︎
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親方Project, 「みんなのAWS推しポイント100本ノック」 2025年6月1日https://techbookfest.org/product/ec1zx0LEsmk9vihdcBhPEh?productVariantID=3wrCrT9ZJFKUaS4q2T1z64 ↩︎
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