WindowsでPHPの勉強を始めるための環境構築 2025年版
はじめに:WindowsでPHP入門したい!
先日、PHP勉強会で『めもりーちゃんのPHPでプログラミング入門』という素敵な本をいただきました。
プログラミング歴は長いものの、ここ10年ほどはマネジメントが中心でPHPの最新動向を追えていなかった私にとって、基礎から学び直せる絶好の機会!とワクワクしながら読み進めました。しかし、最初の環境構築パートでいきなり壁にぶつかります。
この本は、Macでの操作を前提に解説が進められていたのです。
2025年現在、新品のMacBookを購入しようとすると、最も安価なモデルでも16万円以上します。
「ちょっとプログラミングを試してみたい」という方にとって、この価格はあまりにもハードルが高いのではないでしょうか。
もちろん、Macが推奨される理由はよくわかります。Windowsでプログラミング環境、特にPHPのようなWeb系の環境を整えるのは何かと手間がかかりがちです。LinuxはまずOSのインストールから説明が必要です。その点、Macは標準状態でもPHPが使えたりと、プログラミング学習を始めるには最適な環境の一つです。
とはいえ、誰もがMacを持っているわけではありません。そこでこの記事では、2025年現在、Windows PCでPHPの学習を始めるにはどんな方法があるのかを、具体的な手順とともに紹介します。
WindowsでPHPを動かす3つの方法
WindowsでPHPを動かす方法はいくつかありますが、今回は初心者でも比較的簡単に試せる以下の3つの方法を紹介します。
- XAMPP: 必要なツールが全部入ったオールインワンパッケージ
- WSL (Windows Subsystem for Linux): Windows上でLinux環境を動かす本格派
- PHP For Windows: PHP本体だけをシンプルにインストール
それぞれのセットアップ方法と、どんな人におすすめかを見ていきましょう。
1. XAMPP (ザンプ)
10年以上前からPHP開発の定番として知られる、無料のオールインワンパッケージです。PHP本体に加え、WebサーバーのApache、データベースのMariaDB(昔はMySQLでした)などが一括でインストールできます。
公式サイト: https://www.apachefriends.org/jp/index.html
インストール
昔は公式サイトからインストーラーをダウンロードするのが一般的でしたが、今はwingetコマンドで驚くほど簡単にインストールできます。
まず、スタートボタンを右クリックして「ターミナル」または「Windows PowerShell」を管理者として開き、以下のコマンドを実行します。
winget install ApacheFriends.Xampp.8.2
使ってみる
インストールが終わったら、スタートメニューから「XAMPP Control Panel」を起動します。
- コントロールパネルが起動したら、
Apacheの行の「Start」ボタンをクリックします。 - ブラウザを開き、アドレスバーに
http://localhostと入力してアクセスします。XAMPPのダッシュボードが表示されれば成功です。 - 次に、PHPのプログラムを書いてみましょう。エクスプローラーで
C:\xampp\htdocsを開きます。 - このフォルダの中に
index.phpという名前で新しいファイルを作成し、以下の内容を貼り付けて保存します。<?php phpinfo(); ?> - 再度ブラウザで
http://localhost/index.phpにアクセスします。PHPのバージョン情報などが表示されたページが出れば、PHPが正しく動作しています!
こんな人におすすめ
- Webサーバーやデータベースもまとめて準備したい人
- 難しい設定は抜きにして、すぐにPHPを動かしてみたい人
- WordPressなど、既存のPHPアプリケーションを動かしてみたい人
本書のようなプログラミング学習が主目的の場合、少し機能が多すぎるかもしれませんが、Webアプリケーション開発の全体像を掴むには良い選択肢です。
2. WSL (Windows Subsystem for Linux)
Windows上でLinux環境をそのまま利用できる、Microsoft公式の機能です。Web開発の世界ではLinuxサーバーでアプリケーションを動かすのが一般的なので、より実践に近い環境で学習できます。
インストール
こちらもwingetコマンドでUbuntu(Linuxの一種)をインストールできます。
winget install Canonical.Ubuntu.2404
インストール後、スタートメニューから「Ubuntu」を起動すると、初回セットアップ(ユーザー名とパスワードの設定)が始まります。それが完了すれば、もうそこはLinuxの世界です。
使ってみる
Ubuntuのターミナル(コマンドを打つ黒い画面)で、以下のコマンドを順番に実行してPHPをインストールします。
# パッケージリストを更新
sudo apt update
# PHPをインストール
sudo apt install php
# インストールされたかバージョンを確認
php -v
php -v と打ってバージョン情報が表示されれば成功です。
WSLの便利な点は、Windows側のツールとシームレスに連携できることです。例えば、WSLのターミナルで code . と打つと、現在のディレクトリをVisual Studio Codeで開くことができます。
こんな人におすすめ
- 将来的にサーバーサイド開発を本格的にやりたい人
- Linuxのコマンド操作にも慣れておきたい人
- ある程度PCの知識があり、手順の多さに抵抗がない人
3. PHP For Windows
PHP公式サイトが配布しているWindows向けのバイナリ(実行ファイル)です。Webサーバーなどは付属せず、PHP本体だけをシンプルにインストールできます。
インストール
wingetを使えば、コマンド一つでインストールが完了します。
winget install PHP.PHP.8.4
インストール後、ターミナルを再起動して php -v と入力し、バージョン情報が表示されればPATHも正しく通っています。
使ってみる
この方法では、Apacheのような本格的なWebサーバーはインストールされません。代わりに、PHPに組み込まれている「ビルトインWebサーバー」を使います。
- まず、作業用のフォルダを好きな場所に作成します(例:
C:\Users\YourName\Documents\php_study)。 - そのフォルダ内に
index.phpファイルを作成し、以下の内容を記述します。<?php echo '<p>Hello, PHP on Windows!</p>'; ?> - ターミナルを開き、
cdコマンドで先ほど作成したフォルダに移動します。cd C:\Users\YourName\Documents\php_study - 以下のコマンドを実行して、ビルトインWebサーバーを起動します。
php -S localhost:8000 - ブラウザで
http://localhost:8000にアクセスします。画面に「Hello, PHP on Windows!」と表示されれば成功です。
この方法は、本書のように「プログラミングの基礎を学ぶ」という目的に最も合っており、最速で学習を始められます。
こんな人におすすめ
- とにかく早くPHPのコードを書き始めたい人
- データベースなどを使わない、シンプルな学習が目的の人
- PCをあまり汚したくない人
どの方法を選ぶべき?
3つの方法を簡単に比較してみました。自分の目的に合ったものを選んでみてください。
| 方法 | 手軽さ | 機能の豊富さ | 実践的か | こんな人におすすめ |
|---|---|---|---|---|
| XAMPP | ★★★ | ★★★ | ★☆☆ | 面倒な設定なしで、DBも含めてすぐ始めたい人 |
| WSL | ★☆☆ | ★★☆ | ★★★ | 本格的な開発環境で、Linuxのスキルも身につけたい人 |
| PHP For Windows | ★★★ | ★☆☆ | ★★☆ | とにかくシンプルに、PHPの文法学習に集中したい人 |
開発ツールもwingetで!
本書ではこの後、Google ChromeやVisual Studio Code (VSCode) のインストールが続きますが、これらもwingetで一発です。
# Google Chrome
winget install Google.Chrome
# Visual Studio Code
winget install Microsoft.VisualStudioCode
特にVSCodeは、拡張機能を入れることでPHPの開発がさらに快適になります。「PHP Intelephense」や「Prettier - Code formatter」あたりは、入れておいて損はないでしょう。
まとめ
かつてはWindowsでPHPを動かすのは少し手間のかかる作業でしたが、wingetの登場によって、2025年現在では驚くほど簡単に環境を構築できるようになりました。
Macがなくても、PHPプログラミングの学習は始められます。この記事を参考に、ぜひWindowsでPHPの世界に飛び込んでみてください!
Discussion
丁寧にまとめていただき、ありがとうございます!
最近だと Laravel Herd や PHP.new という選択肢もありますよ!
ありがとうございます。両方とも初めて知りました。勉強になりますー