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MIRU2025に参加してきました!

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はじめに

こんにちは!株式会社HACARUS データサイエンティストの松田です。

2025/7/29~2025/8/1に国立京都国際会館でコンピュータビジョン分野の学会である「画像の認識・理解シンポジウム MIRU2025」が開催されました。弊社のAI外観検査ソリューション「HACARUS Check」開発チームとして技術調査を行うために2日目(2025/7/30)のインタラクティブセッション(いわゆるポスター発表)に参加してきましたので、会場の様子や印象に残った発表をご紹介いたします!
https://cvim.ipsj.or.jp/MIRU2025/

会場の様子

国立京都国際会館は日本で最初の国際会議施設です。はるか昔に社会科の授業で習った「京都議定書」はここで採択されたとのことです。外観・内装ともに近代的でスタイリッシュながらもどこか懐かしく安らかな印象を受ける建築だと感じました。10年近く京都に住んでいて初めて訪れたのですが、こんなに素敵な場所が京都にあったんですね …

国立京都国際会館は台形・逆台形の空間の組み合わせで形づくられ、合掌造りか神社の社殿を彷彿とさせるような日本の伝統様式をモチーフとしたその建物は、訪れる方に強いインパクトを与えます。

(国立京都国際会館 公式ホームページより)


廊下の様子(wikipediaより)

メインラウンジの様子(wikipediaより)

インタラクティブセッションの会場は1Fのイベントホールという場所です。写真はセッション終了10分後に撮影したものですが、セッション中は通路を埋め尽くすほどの人がポスター周辺に集まって活発な議論が行われていました。ポスタースペースの隣には協賛企業による展示ブースもあり、こちらも数多くの人で賑わっていました。

イベントホールの様子(撮影: 松田)

印象的だった研究の紹介

1. 不良品画像生成に関する研究

弊社サービスと同じく工業製品の外観検査に取り組んでいらっしゃる会社様による発表です。不良品画像データ(キズ、凹みなど)をAIで生成することで学習データの不足を補おうという試みで、特に狙った条件の異常をうまく生成したいという観点の研究でした。

不良品を学習して検知するタイプのAI外観検査モデルの場合は、異常画像データを十分に得るまでは検査性能が向上しないことが想定されます。工業製品の欠陥の中にはごくまれにしか発生しないために十分な学習データを得られないような種類も存在し、そんなときに狙った条件の不良品画像を生成したり水増ししたりできると嬉しいということです。
同じく外観検査領域に関わる者として非常に興味深い研究でした!

ちなみに弊社で開発している「HACARUS Check ZERO」ではこの問題に対処するため、少量の良品データだけで学習が可能な「良品学習」を用いた検査からスタートします。良品学習では不良品画像を学習する必要がなく、未知の欠陥を検出することが可能です。また、工場が稼働する中で発生した不良品を追加で学習することにより、検査精度を向上させる機能も備えています😎
https://check.hacarus.com/ja/aisoftware/

2. 物体の表面粗さ推定に関する研究

物体表面の「粗さ」を推定するにあたって、縞パターンをもつ照明を物体に反射させてカメラで撮影し、照明の持つコントラストをどれほど忠実に再現しているかを観察する手法があるそうです。このとき物体表面に焦点を合わせているために鏡面反射した光源(虚像)には焦点が合わない「焦点ボケ」もコントラスト低下に影響するため、物体表面の粗さによる影響を抽出するためにはこの影響を取り除く必要がある、という趣旨の研究でした。

殆どが機械学習に関連するトピックが発表される中で解析的手法を用いたこの研究はより印象に残りました!

3. 駅構内・鉄道社内の異常検知に関する研究

鉄道車内や駅構内に設置された防犯カメラ映像を用いて異常な状況(殺傷事件や急病人など)を即時検出・アラートしたいという研究です。弊社の現場支援ソリューション「HACARUS Field Vision」と技術領域が近いように感じて興味を持ちました。
https://hacarus.com/ja/services/hazard-prevention/

ある位置から乗客が逃走するような異常状況に関して、物体検出モデルを用いて人の逃走行動を検知する手法がうまく機能したようです。ほかにも乗客の表情や移動を伴わない行動から異常を検出する手法も試していました。データセットを作成するために役者を雇って車内や構内の状況を再現したという話が印象的でした。

4. 楽器演奏中の手の姿勢推定に関する研究

楽器が好きなのでつい寄ってしまいました。アニメでの楽器演奏シーンの作画コスト低減などが動機だそうです。
楽器演奏時の手の動きと音声には強い相関があるとの仮定から、手の姿勢推定モデルへの入力に動画だけでなく音声情報も用いると精度が向上するのではないか、という試みでした。対象楽器のデータセットが存在しないため自らツールまで作成して数万フレームのアノテーションをされたそうで、その情熱に深く敬服しました。

余談ですが、楽器演奏シーンの作画はかなり難しいそうですね。BLUE GIANT(ジャズをテーマにしたアニメ映画)にはモーションキャプチャーが使われたようです。作画コスト、精度、ミュージシャンの演奏しやすさや他シーンの作画との連続性などの観点から、賛否ある方法かと思います。でも音楽・ストーリー・映像どれも素晴らしく、個人的にはとても好きな作品ですので、未視聴の方はぜひ一度ご覧ください!

まとめ

大学からも企業からも多くの方が参加しており、非常に活気のある学会でした。熱意のこもった研究を発表するたくさんの方とお話しすることで技術的知見と業務へのモチベーションを獲得するともに、特に学生の皆様とはぜひ一緒に働きたいなという思いを持ちました🔥

MIRU2025はHACARUS本社と同じ京都で開催されましたが、次回の会場は長崎県の「出島メッセ長崎」だそうです。来年度はHACARUSからも出展・研究発表できたらいいな~と若手社員が夢を膨らませております。学生・研究者・エンジニアのみなさん、会場でお会いしましょう👋

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