Developers Summit 2025 参加レポート
こんにちは!ぎょりです。
2025年7月17日(木)〜18日(金)に開催された Developers Summit 2025 Summerに参加してきました。いくつかの講演をピックアップして簡単に参加レポートをお伝えします!
devsumi2025概要
devsumiは最新の技術動向や実践的なノウハウを共有するエンジニアのためのカンファレンスで、AI・クラウド・ソフトウェア設計・組織づくりなど幅広いテーマのセッションが展開されています。
1日目(7/17)ハイライト
AI時代になって、エンジニアの見るべきスキルは変わった?変わっていない?
AI時代のスキル面接を謳う株式会社ハイヤールーさんの講演です。
✍️ コーディングだけじゃない「途中経過」も評価される
印象的だったのは、HireRooを使うとコーディング結果だけでなく、書いている途中の思考過程も可視化できるので、面接時により深堀りしやすくなること。AI時代のエンジニアには、 「なぜその設計にしたのか」「なぜ順序で手を動かしたのか」 といったプロセスを言葉で伝えられる能力がより求められるようになりそうです。
🤖 AI活用は +1 のスキルへ
転職時エンジニアに求められるスキルとして今まで、コンテナ、CI/CD、QAの知識などがありました。今後はそこに「AI」がプラスされるようになります。AIを活用してコードの品質を担保し、生産性を上げ、プロセスを効率化することは、今やエンジニアにとって当然の武器となり、普段の開発フローの一部としてAIを自然に使いこなす力が、これからのスタンダードになりそうです。
AI駆動開発の実践テクニックと「開発経験」への戦略投資で、AI時代をリードするエンジニアへ
対談形式で大変面白く拝聴させていただきました。株式会社ギブリーさんの講演です。
750社の生成AI活用支援をしてきた経験値から生成AIの限界についてお話しされており、生成AIで開発スピードは上がるが、複雑なタスクやリファクタリングでは効果が限定的である、と。
自分は最近読んだこの記事を思い出しました。 リファクタリングしたいなと思う場面は「チーム成熟度が低く、コードベース品質がレガシー(技術的負債が溜まっている)」状態の時が多いのではないかと思います。弊社も、生成AIを使ってリファクタリングを試みようとしましたが、テストコードが無いうえに不要なコードがちりばめられていて、AIに丸投げということは難しく、しばらく生成AIでのリファクタリングは無理そうです><
とはいえ、生成AIを使うと実装のハードルが下がり、より良いものが作れる余地が広がる、という点は納得です。多少手間な作業でもアルゴリズムさえ思いついていればすぐに実装できるので、トライ&エラーを繰り返しやすくなったのは、良い点だと思います。
「AI?ダメ絶対!」とは言わせない! 伝統的な企業文化のなかでも、ソフトウェア開発にAIを導入するための3つの方法とは?
GitLabさんの講演です。
社内にAIを導入するにあたって、懸念される3つの課題についてご紹介いただきました
①外部への知的財産流出の危険
- 社内コード・顧客データを生成AIに流してしまうと情報が漏洩するかも(サービス提供者の倫理に依存)
- 対策:ローカルLLMなどオンプレミス環境でのモデル運用や、入力前のデータマスキング・匿名化
②AIが作ったものに脆弱性は含まれないのかという不安
- 生成AIは、古いライブラリや既知の脆弱性を含むコードをそのまま提示することがある。実際、ゼロショットプロンプトの半分に脆弱性が見つかった。
- 対策:AI出力を必ず静的解析・セキュリティスキャンに通す
③AIが作ったのもを量的にも質的にもレビューできるのか
- AIは大量の提案やコードを短時間で出力できるが、人間のリソースは有限のため、人間側のレビュー・承認作業がボトルネックになる。大量出力の中に混ざる微妙なバグや仕様差異は、目視だけでは発見が難しい。
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対策:AIによる一次レビューの導入や、品質チェック、自動テストを組み込み、人間の判断を必要とする箇所を絞り込む
→有識者・テックリードに集中しがちなレビュー負荷をオフロードすることが重要
これらの課題はGitLabを使うことで、解消できるみたいです。
2日目(7/18)ハイライト
ソフトウェア設計とAI技術の活用
皆さん大好きオライリーの「ドメイン駆動設計をはじめよう」を翻訳された増田亨さんによる講演です。
私自身DDD(ドメイン駆動設計)についてあまり理解できていないですが、「AI時代こそ設計が大事」 というキーワードだけは受け取りました(笑)。
ミノ駆動さんが本の感想を記事にしてくださっており、とても理解しやすいのでオススメです。
Vibe Codingの幻想を超えて─生成AIを現場で使えるようにするまでの泥臭い話
AI系のカンファレンスに参加するといつもいらっしゃるKuuさん(メルカリ)による講演です。
AI活用を社内に浸透させるために行ったことについてお話しいただきました。
社内ですぐ試せそうなものもあるので、実践していきたいと思います。
🎯 社内での目標
属人化の解消とAI活用の全社展開を同時に進めるため、情報が循環する土台を整えること。
この目標達成のため、下記のようなことに取り組まれていました。
🗂️ 情報基盤づくり
サポート用コミュニティの作成
- 属人化を断つため、誰でも質問・回答できるチャンネルを常設
内部勉強会
- 現場での知見をローテーションで発表・共有させて発信者を増やす
外部勉強会
- 「情報は発信者に集まる」ので、自社で社外勉強会を実施して、情報流入の好循環を作る
- 上司にも参加してもらうことで、予算的にも考慮してもらいやすくなる
プロセスの可視化
- 既存業務のプロセスを明文化して、AIが適応できそうなところをお互いに見つけていく
- エンジニアは意外と暗黙知が多いので、エンジニアこそ実践する
“いいもの”を作りたい!周囲を巻き込むプロジェクトマネジメント~エンジニアが部署を越えて協働するには?~
株式会社コパイロツトさん(※AIのCopilotとは無関係)による講演です。
株式会社コパイロツトは、プロジェクトマネジメントを提供する会社で、プロジェクトの推進や新規事業のサポートなどを行われている企業です。数多くのプロジェクトの成功と失敗を見てきたからこそ分かったことを言語化してご紹介してくださり、大変勉強になりました。
⚠️ よくある失敗パターン
- 無限課題パターン
各人の“目指す姿”が違う → 課題が収束しない。 - お通夜パターン
みんな意見はあるが、立場の違い等で口をつぐむ
🧩 揃えるべき4領域
- プログレス:成果・進捗
- プロセス:プロジェクトの進め方・意思決定の流れ
- チーミング:チーム・メンバーの関係性・役割
- ラーニング:チーム・個人としての学び
📌 具体的なアプローチ
-
グレーゾーンをなくす:ロールセッション(「肩書き」ではなく「役割」を明確化する)
他メンバーに対する期待を皆、暗黙的に持っており、これが明確にされないことが、発生する諸々の問題の原因
- 関われる時間
- 自分の役割 やるべきこと
- サポートして欲しいこと
- 他人への期待
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すれ違いの定期点検/定例会議
定例会議はないがしろにされがちだが、共通認識をやリズムを作る大切な場。
現状のチェックポイントとしてや、関係構築の場として活用してほしい -
違和感やもやもやはセンサー
違和感を感じたら共有することが大切。感じている違和感を放置し続けると、プロジェクトの状態は悪化する。とはいっても、なかなか言い出せない場合もあるので、強制的に気づきを吐き出す場を設けると良い。
例)気づきを付箋に3つ書いてください!
それぞれの付箋に対して、アクションを選択する
自分で行動 / 他人へ要望 / ヘルプが欲しい / 議論したい / 共有したい
本講演での話は全て下記図書に書かれているそうなので、興味のある方はぜひ
感想
全体を通して、AIはもう特別なツールではなく、前提条件として組み込むものという空気感を強く感じました。技術的なTipsももちろん得られましたが、それ以上に どう組織やプロジェクトにAIを溶け込ませるか という実践知が多かったのが収穫です。
今回の学びは、現場のAI導入・チーム作り・プロセス改善に活かせそうです。いずれは登壇側で参加できるくらい、実践事例を積み上げていきたいですね。
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