【MotionBuilderチュートリアル】第8回~モーションをモデルへ移す~

2022/11/24に公開

こんにちは、株式会社GUNCY'Sの岡崎です。

前回はモーションデータと3Dモデルデータを合わせてリターゲットとその調整を行いました。

3Dモデルを動かせるようになったところですが、このままでは3Dモデル自体が動かない状態です。そこで今回はリターゲットした動きをプロットと呼ばれる操作をすることで、3Dモデル自体が動くようにします。

プロットとは?

リターゲットされた3Dモデルにモーションを転送する操作です。前回のようにリターゲットをしただけでは、3Dモデルにはキーが入っていない状態なので、モーションデータがなくなると動かなくなってしまいます。そこでプロットをすることで3Dモデル自体がキーを持って動くようになります。リターゲットで補正した結果を3Dモデルのボーンにキーとして保存することができるので、3Dモデルに結果を「ベイクする」という言い方することもあります。

たとえるなら役者によって動いていたきぐるみに、役者の魂を宿す操作です。


役者さんによって動くのではなく、きぐるみ自体が動き出すイメージです

シーンファイルを開く

メニューのFileからOpenを選択、

前回リターゲット調整まで済ませたKaya_retarget.fbxを開きます。[リンク]

リターゲットしたモーションをプロット(ベイク)する

ではプロットの操作手順をここから説明します。

リターゲットしたモーションをコントロールリグへプロット

  1. CharacterのMotionを選択、Character Settingsタブを確認

  2. Control Rigを選択

  3. オプションが表示されるので下のPlotボタンをクリック

  4. ダイアログでFK/IKを選択

  5. コントロールリグが生成され、キーが打たれます。

    コントロールリグを選択するとFCurvesで下の画像のようにキーが打たれていることを確認できます。

(Tips)Character Controlsからプロット

同じ操作をCharacter Controlsからも行えます。

この時、Characterにプロット先が、Sourceにプロット元が入っている事を確認してください。

左上の青いボタンからBake (Plot) > Bake (plot) To Control Rigを選択

コントロールリグとは?

コントロールリグとはキャラクタライズされたボーンと同様に扱う事ができるオブジェクトです。

Character同様にInput Source(リターゲット元)に設定でき、赤い球のハンドルを動かすことでリターゲット先のボーンを動かすことができます。

また、Character同様にコントロールリグはプロット先としてモーションを受け取る事や、プロット元としてボーンへモーションをプロットする事もできます。

このハンドルはIKで制御されているので、ボーンをひとつずつ回転させるよりも効率よく操作ができます。

そのため、コントロールリグへのプロットを経由することで、モーションの修正をする時にコントロールリグでモーションを修正ができるようになります。こちらの操作は後の回にて解説するので詳細は割愛させていただきます。

(Tips)Control Rigの作成方法

プロットの際に自動的に作成されたコントロールリグですが、前もってキャラクターのコントロールリグを作成することもできます。

  1. Character Definitionの右側にあるControl RigからCreateボタンを押す

  1. Character Controlsの左上の青いボタンからCreate>Control Rig

作成すると対応したCharacterのボーンの関節にコントロールリグが表示されます。

スケマティックビューで見るとこのようなノードが生成されています。

コントロールリグが生成されてSourceに設定されると、Character ControlsのControlsタブの表示が以下のように変わります。

コントロールリグからSkeltonにプロット

コントロールリグのキーをリターゲット先へプロットすることができます。

  1. 3DモデルのCharacterを選択

    Input SourceがControl Rigであることを確認して、隣のPlot Character…をクリック

  2. Skeletonをクリック

    コントロールリグのプロット先はSkeletonのみとなっています。

  3. プロットのオプションを確認してPlotボタンをクリック

    Plot Translation On Root Onlyにチェックを入れると、Root(Hip)だけにTranslation(位置情報)がプロットされます。その場合、Root以外のボーンには回転情報のみがプロットされます。

Plotが実行されるとコントロールリグが非表示になります。

また、プロット先のボーンを選択するとキーが打たれている事がわかると思います。

(Tips)モーションデータから直接3Dモデルへプロット

今回はコントロールリグへのプロットを経由した操作を説明しましたが、モーションデータから3Dモデルに直接プロットすることも可能です。

  1. プロットの操作でSkeletonを選択します。

  1. オプション画面は下記コントロールリグからスケルトンへプロットする時と同じです。

今回はモーションのプロットとコントロールリグについてを解説しました。

モーションのプロットは収録したモーションをブラッシュアップしたり、ゲームやアプリで使用するモーションデータを作成する際に役立ちます。

近年では、MotionBuilderを使えば「Vtuberの配信などでリアルタイムにモデルを動かせる」というイメージが先行して、意外とモーションを編集して使った事がないという人がいたりします。

アプリで使うアバターモデルにモーションキャプチャーで取ったアクションをさせる方法が分からない!という方がいましたら、今回のプロットの事を思い出してみてください。

次回

次回はモデルに小道具を持たせる方法を解説します。

勇者の剣や、アイドルのマイクや机に置かれた本など、小道具はいろいろありますね。しかし、マイクを手からずれないようにしたり、剣を腰に固定したいなど使い方はさまざまなケースがあると思います。次回はそれを実現する方法を紹介しますので、よろしくお願いします!
https://zenn.dev/guncys/articles/08bbfafd109894

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