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あなたのコンテンツはAI-Ready? 生成AIにスルーされない自治体ウェブサイトのつくりかた

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はじめに

もはや生成AIなしの生活や仕事は考えられない、そんな方も増えてきているのではないでしょうか。私もまさにその一人です。
私はGovTech東京の業務を通じて、都庁や都内自治体皆さんのDX支援をしておりますが、様々な行政サービスや業務において生成AIの積極活用が進んでいます。

このように「生成AIの活用」は今や誰もが注目するテーマですが、自治体ウェブサイト(以降、自治体サイト)の運用や改善を伴走支援している立場としては、生成AIが自治体のコンテンツを正しく引用しているかどうかも、最近とても気になっているテーマです。

実際、様々な自治体サイトのアクセス解析をしていると、生成AIからサイトへの流入がじわじわ増えている実感はあるものの、必ずしも自治体の情報ばかりが引用されているわけではないのが実状です。

今日はこのような状況において、自治体広報ができる生成AI検索への対策を考えてみました。

勢いを増す生成AI検索界隈

まず、生成AI検索界隈の近況を確認してみましょう。ChatGPTが世に出てきた時は「2021年9月までの情報に基づいています」といった回答だったのは覚えてらっしゃるでしょうか。それが今では、リアルタイムにウェブ検索を行うようになり、他の生成AIサービスでも同様の機能がリリースされています。さらには推論しながら、並行して膨大な情報源を検索する「Deep Search」もすっかり定番機能となりました。

さらに今年に入って、Googleから満を持して「AIモード」がリリースされ、すでに全米のユーザーが使えるようになりました。このAIモードとは、Perplexity(パープレキシティ)のようにチャット(対話)形式で検索ができるもので、Googleが次から次に関連情報を調べ、回答してくれる強力なAI検索機能です。「AIによる概要」もたった3か月ほどで日本上陸しましたので、AIモードもそう遠くない時期に我々は使えるようになることでしょう。

昨今、ユーザーがこの生成AIによる回答結果に満足し、参照元サイトへアクセスしなくなるという「ゼロクリック」と言われる問題も起きており、サイトへの流入減に悩むメディアサイトなどもいます。

検索の進化を支える大規模言語モデル(LLM)の仕組み

このように急速に進化・浸透をしてきている生成AI検索の背後には、大規模言語モデル(LLM)という技術があります。LLMは、人間のような「理解」というよりも、パターン認識と構造化された情報処理を行うAI技術です。

LLMの情報処理の基本的な仕組みは以下の3ステップです。

  1. パターン学習:
    AIはたくさんの文章を読みこんで、「言葉の使われ方」や「文章の流れのパターン」を学びます。たとえば、どんな単語がよく一緒に使われるか、どんな順番で言葉が並ぶか、文の中でどんな意味を持つかなどを覚えていきます。文章の形(構造)がわかりやすくはっきりしていると、AIもより正確に意味をつかむことができるようになります。
  2. 構造化と整理:
    AIは、これまでに学んだ言葉の使い方と、質問の内容をもとに、たくさんの知識の中から関係の深い情報を探し出します。そして、それらの情報をうまく組み合わせて答えを作ります。質問の言い方や意図がはっきりしているほど、AIはより正確に、早く答えることができます。
  3. 情報の再構成:
    抽出・関連付けられた情報を基に、次に来るべき最も適切な「トークン」(単語の一部、単語、句読点など)を確率的に予測し、連続して生成していきます。
    例えば「GovTech東京って何?」というプロンプトを投げた場合:
    「GovTech東京は」→「都庁や区市町村の」→「デジタル領域を」→「支援する」→「専門組織で」→「都民サービスの」→「向上に」→「貢献する」→「組織です」
    このように、認識したパターンと構造に基づいて、次のトークン(単語や助詞など)を確率論的に数珠つなぎして、人間にとっても自然な文章を生成できるのです。
構造化とは

構造化とは

LLMの説明のなかで「構造化」といった言葉が何度か出てきましたが、この後もよく出てきますので、整理しておきたいと思います。構造化とは、情報をただ書き連ねるのではなく、論理的な関係性に基づいて整理し、階層的に情報を配置することです。これにより、情報が持つ意味や相互のつながりが明確になり、理解しやすくなります。

架空のコミュニティバスを例にしてみましょう。


構造化されていない場合:

住民バスは毎日運行しています。

朝7時から夜9時まで1時間おきに運行し、市役所前、総合病院、ショッピングモール、駅前を経由します。

料金は大人300円で、子供・高齢者は200円です。
定期券もあり、1ヶ月5000円で購入できます。
ICカードも使えます。

バスの中はバリアフリーで、ベビーカーも入れます。

停留所は全部で15カ所あり、時刻表は市のホームページからダウンロードできます。


構造化された場合:

※【】(隅付き括弧)は実際はh2やh3などになります

【運行時間】

  • 運行時間:午前7時〜午後9時
  • 運行間隔:1時間おき

【主な停留所】

  • 市役所前
  • 総合病院
  • ショッピングモール
  • 駅前

(全15カ所)

【料金案内】

  • 大人:300円
  • 子供・高齢者:200円
  • 定期券:5000円/月
  • 支払方法:現金、ICカード対応

【バリアフリー対応】

  • 車いす対応
  • ベビーカー利用可

【時刻表】

市ホームページからダウンロード可能


構造化された例を見ると、構造化って箇条書きのこと?と思われてしまうかも知れませんが、本質的には以下の点を考慮しています。

分類: 「運行時間」「主な停留所」「料金案内」など、明確なテーマ(カテゴリ)ごとに情報が整理されています。

階層化: 各テーマの中に、さらに詳細な情報が箇条書きで整理されています。これにより、たとえば「運行時間」の下に「運行間隔」がある、というように、情報間の親子関係や関連性が一目で理解できます。

こういった整理により、複雑な情報でもスムーズに内容を読み解き、必要な情報を効率的に見つけ出すことができるようになります。まさに「パッと見てわかる」状態です。

そしてこの構造化されたデータがあることで、AIも情報をより正確に解析し、意図を理解しやすくなります。例えばAIチャットボットであれば、ユーザーの質問に対して的確・正確な回答を生成したり、情報を要約したりする能力が向上します。

自治体広報ができる生成AIへの最適化(GEO)

ここまで説明しましたとおり、生成AIはパターン認識と構造化された情報処理を行うため、各サイトもそれに合わせた最適化が必要になってきます。

自治体広報をサポートさせていただいている立場としては、正しい情報がより多くの人に届くのであればそれはそれで意義があると考えますので、生成AIの回答に満足してしまうユーザーが今後も増えていくとすると、当然にAIの回答できちんと自治体の一次情報が扱われるよう、サイト側も対応すべきと考えます。

この生成AI検索への最適化対策は、GEO(Generative Engine Optimization)とかLLMO(Large Language Model Optimization)などと呼ばれます。(本記事ではGEOに統一します)

また新たなバズワードかと思われがちですが、GEOは従来のSEOの考え方が根底にあり、さらにAIの特性を考慮したものになります。Googleも公式ガイドラインの中で、基本的には従来のSEOを引き続き行うことが成果につながると言及しています

住民生活に欠かせない1次情報源たる自治体サイトは、なおのこと生成AIに正しくコンテンツが認識され、信頼できる情報源として引用される必要があります。

ここ最近、サイト内検索やチャットボット、FAQなども何かしらの生成AIが実装されていますが、それらツールにおける回答精度、検索精度向上にも繋がります。

自治体サイトのGEOで考えたい3要素

今日はGEOにおける以下3つの要素をご紹介します。

  1. 適切な見出しとその構造:まずはページ自体をAIがコンテンツを理解・解析しやすいよう、見出しを適切に配置し、論理的な構造を整理します。これによりAIが情報の重要度や関連性を正確に把握できるようになり、見出しが上位であるほど重要と認識します。
  2. UXライティング:理解しやすい表現と論理的な文章構造、口語体を採用することで、人間はもとより、AIの文脈理解や情報抽出の精度向上に繋がります。また、明確な構造と表現は、AIが回答を生成する際の情報の再利用性も高めます。
  3. 構造化データマークアップ:AIやシステムが内容を正確に理解できるよう、HTMLソースコードに特別なマークアップで構造や意味を記述します。

結局のところやはり、従来のSEO対策と重なっており、つまりGEOもユーザーにとって優れたコンテンツを作ること、クローラーなどがコンテンツを学習しやすいつくりが大事ということになります。

ここからは、それぞれの具体例に加え、実際ページを作成する過程で起きがち考えがちな内容と合わせて、どうしたら改善できるかを掘り下げてみたいと思います。

1. 適切な見出しとその構造

見出しの適切な構造化は、検索エンジンとAIの両方にとって非常に重要な要素です。以下によくある見出しの問題点と、その改善例を示します:

非連続な見出し階層

  • ありそうな例
    h1 → h3 → h4(h2を飛ばして階層が不自然)
  • 改善例
    h1 → h2 → h3(適切な階層構造)
  • よくある背景
    CMSの制約や、急いでの作業時に起きがちです。
  • 解決のコツ
    コンテンツの概要を先に箇条書きで作成すると、自然な階層が見えてきます。CMSでアラートが出るようなものもありますので、その時はぜひ立ち戻って見出しを整えたいところです。

同じ内容で階層化

  • ありそうな例
    h2 申請方法について
    h3 申請方法(内容が重複)
  • 改善例
    h2 申請方法
    h3 必要書類
    h3 申請手順
    (内容を適切に分割)
  • よくある背景
    複数の担当者での分担作業や、全文の構成を見直して一部をコピーして移動などすると発生しがちです。
  • 解決のコツ
    公開前のダブルチェックで、見出し一覧を出力して確認すると気付きやすくなります。

情報を詰め込み過ぎた長い見出し

  • ありそうな例
    h2 令和5年度における児童手当の申請方法と必要書類についての重要なお知らせ
  • 改善例
    h2 児童手当の申請
    h3 必要書類
    h3 重要なお知らせ
    (簡潔に分割)
  • よくある背景
    重要な情報を見落とされたくない気持ちから、つい詳しく書いてしまいます。
  • 解決のコツ
    「ニュース記事の見出しのような簡潔さ」を意識すると、まとめやすくなります。すべての情報を1つの見出しに詰め込む必要はない、と伝えることが大切です。分かりやすい目安として、PCで見ても改行するようであれば、ちょっと長い可能性があります。

見た目のために見出しタグを使う

  • よくある背景
    大きなフォントにしたい、太字にしたい、特定の見出しデザインを流用したい、など構造化とは無関係に、ついつい使ってしまいがちです。
  • 解決のコツ
    見出しとは何なのかを改めて理解いただくですとか、「見た目のために見出しを使わない」の徹底に尽きます。構造化の意図がない情報は、クローラーやAIに誤解させるだけでなく、ウェブアクセシビリティ上も好ましくありません。

このように、見出しの構造化には実務上の様々な理由や背景があります。なぜそうなってしまうかを理解したうえで、構造化について重要性を説明していくと、ページ作成者の方も意識していただけるのではと思います。チームで確認作業を行ったり、チェックリストを作成したりすることで、より良い構造化を実現できます。

2. UXライティング

UXライティングは、文章を誰にでも分かりやすく伝えるためのテクニックですが、人間とAIの両方に理解しやすい文章作成のポイントと、具体的な改善例を紹介します。

特に自治体サイトでは、専門用語や行政独特の表現があり、住民目線の分かりやすい言葉で説明することが肝要で、

  • 住民が必要な情報を見つけやすくなる
  • AIが文脈・文書構造を正確に理解できる
  • 情報が確実に伝わる

といった改善につながります。

いろいろなテクニックがありますが、GEOの観点では以下のようなものが有用でしょう。

1. 専門用語の言い換え

  • ありそうな例
    当該年度における固定資産税の納付期限を延長する特例措置を実施いたします
  • 改善例
    今年度の固定資産税の支払い期限を延ばすことができます
  • 改善ポイント
    行政特有の硬い表現を避け、一般的な表現に置き換えることでAIが文脈を正確に理解できます。

2. 二重否定の解消

  • ありそうな例
    申請書の提出がない場合は受付できかねます
  • 改善例
    申請書の提出が必要です
  • 改善ポイント
    肯定文での表現により、AIが条件と結果を直接的に理解できます。

3. 具体的な数値の提示

  • ありそうな例
    必要な申請書類をご用意ください
  • 改善例
    申請書類を3点ご用意ください
  • 改善ポイント
    具体的な数値を示すことで、AIが正確な情報を抽出できます。また、文章の前後で「3点」の具体的な内容を明確にする必要があります。

4. 条件分岐の明確化

  • ありそうな例
    場合によっては追加書類が必要となることがございます
  • 改善例
    以下の場合は追加書類が必要です:
    ・住所変更がある方
    ・姓名変更がある方
    ・委任状による申請の場合
  • 改善ポイント
    条件を明確に列挙することで、AIが判断基準を正確に理解でき、回答にも生かされやすくなります。

5. ステップの明確化

  • ありそうな例
    申請後、審査を経て、承認された場合に交付となり、その後手続きが完了します

  • 改善例
    手続きの流れ

    1. 申請書の提出
    2. 書類審査(約1週間)
    3. 承認通知
    4. 証明書の交付
  • 改善ポイント
    行政手続きの中にはステップの多いものがありますが、プロセスを順序立てて示すことで、AIがフローを正確に把握できます。こういったステップ系は住民の多くが知りたい情報であり、構造化することでステップを辿りやすくなります。これらは検索サイトの結果画面にある「関連する質問」などでもそのまま引用されています。

6. 主語と目的語の明確化

  • ありそうな例
    手続きは窓口にて実施されます
  • 改善例
    住民の方は、1階の住民課窓口で手続きを行ってください
  • 改善ポイント
    日本語は主語を省略しても通じることがありますが、主語と行動を明確にすることで、AIが文の構造を正確に理解できます。

7. 例示の追加

  • ありそうな例
    本人確認書類をお持ちください
  • 改善例
    本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど)をお持ちください
  • 改善ポイント
    先の3にも通じるものですが、具体例を示すことで、AIが補足した範囲を正確に捉える助けになります。

8. 一文一義の原則

  • ありそうな例
    公共施設の利用については、事前予約が必要で、使用料は利用日の3日前までに支払い、キャンセルの場合は1週間前までに連絡をお願いいたします
  • 改善例
    公共施設の利用には事前予約が必要です。使用料は利用日の3日前までにお支払いください。キャンセルは1週間前までにご連絡ください。
  • 改善ポイント
    1つの文に1つの重要な情報だけを含めることで、AIと人間の両方が指示を明確に理解できます。また、自動翻訳の誤訳抑制にもつながります。

3. 構造化データ マークアップ

構造化データのマークアップというのは、ウェブページの記載内容をAIや検索エンジンがより正確に把握できるように、データを体系的に記述する方法です。記述ルールはGoogle、Yahoo!、Microsoftなどが共同で策定しており、Schema.orgというサイトにて詳細が公開されています。それらルールに基づいたJSON-LDフォーマットでのマークアップは、自治体サイトの情報を明確に定義し、AIによる情報抽出と解釈を支援します。

これにより、各検索サイト検索結果にあるリッチスニペットと呼ばれる「関連する質問」などや、生成AIの回答における正確な情報引用を期待できます。例えば、よくある質問、イベント情報、お知らせ、手続き手順、窓口情報(営業時間ほか)などの情報です。

今後、これら定義された項目に合わせたCMSテンプレートが用意できれば、これら技術に明るくない編集者でも普段どおりページ作成・編集するだけで、システムの裏側では自動的にマークアップされているといったことが可能になると考えています。比較的実装しやすいウェブサイトリニューアル時にはぜひ仕様化をご検討ください。

自治体サイト向けタイプ(一例)

以下に自治体サイトのコンテンツにマッチする「タイプ」をご紹介します。

  1. BreadcrumbList
    ウェブサイトのパンくずリストを構造化します。ページの階層構造、現在の位置、上位ページへのリンクなどを明確に定義し、ユーザーもAIもサイトのどこにいるのか位置関係を把握しやすくします。構造化データのなかでも以前から対応されてきたもので、多くのサイトが実装しています。
  2. FAQPage
    よくある質問と回答の情報を構造化します。質問と回答のペア、最終更新日、カテゴリー分類、関連部署情報、参照先ページへのリンクなど、住民からの問い合わせが多い情報を体系的に整理します。
  3. Event
    住民向けイベント、説明会、講座などの情報を構造化します。開催日時、場所、定員、参加費用、申し込み方法、対象者、イベントの詳細な内容、必要な持ち物などの具体的な情報を含めます。
  4. Place/LocalBusiness
    場所に関する基本情報を構造化します。住所、緯度経度、アクセス、駐車場情報、周辺施設などの情報を含みます。以下のような具体的な施設タイプがあります。
    • Library(図書館)
    • Park(公園)
    • GovernmentBuilding(庁舎)
    • Hospital(病院)
  5. NewsArticle
    行政からのお知らせやニュース情報の構造化を行います。記事の公開日時、更新日時、カテゴリー、重要度、関連部署、問い合わせ先、詳細情報へのリンクなどを含めます。
  6. GovernmentOrganization
    行政組織の基本情報を構造化します。これには組織の正式名称、設立年、所在地、管轄区域、主要な部署情報、責任者、組織構造などの詳細な情報が含まれます。
  7. ContactPoint
    自治体サイトですと、各ページの末尾に問い合わせ先の記載があるかと思いますが、それら担当部署、受付時間、電話番号、メールアドレス、FAX番号、対応可能な問い合わせ内容の種類などを構造化できます。
  8. Service
    行政サービスの情報を汎用的に構造化できます。サービスの種類、対象者、利用方法、必要書類、手数料、処理時間、オンライン対応の可否などの詳細情報を含めます。
  9. HowTo
    手続きやサービスの利用方法を段階的に構造化します。必要な持ち物、所要時間、手順、注意事項、よくある失敗例とその対処方法などの情報を含めます。
  10. BusStop・BusTrip
    コミュニティバスのバス停の位置情報や路線情報を構造化します。バス停の名称、所在地、対応路線、時刻表、運行会社、接続可能な他の交通機関などの情報を含めることができます。
  11. Recipe
    行政でレシピ?と思うかもしれませんが、特産物についてレシピとともにサイトで紹介していることも良くありますし、特産品はブランド化して固有名詞であることが多いのでSEO効果も成果が出やすいところです。
  12. Grant
    行政では住民・事業者に対して、様々な助成金・補助金といった支援制度があります。こういったものも体系的に整理することが可能で、制度名やその詳細、支援主体者、支援対象、金額といったものが構造化されています。

Schema.orgでは継続的に情報(仕様)が更新されており、新しいタイプや属性が追加される可能性があります。実装時には最新の仕様を確認することをお勧めします。

リッチリザルトとの相関

Google社のSEO公式ガイド「検索セントラル」にも構造化データに関する記載がありますが、紹介されているタイプは、Googleの検索結果に表示されるものに限定されています。

実際のマークアップ例

以下は、HTMLの<head>セクション内にJSON-LDマークアップを挿入する具体例です:

<!DOCTYPE html>
<html lang="ja">
<head>
    <meta charset="UTF-8">
    <meta name="viewport" content="width=device-width, initial-scale=1.0">
    <title>夏休み親子プログラミング教室 | ○○市</title>
    
    <!-- JSON-LDマークアップの挿入例 -->
    <script type="application/ld+json">
    {
      "@context": "https://schema.org",
      "@type": "Event",
      "name": "夏休み親子プログラミング教室",
      "description": "小学生とその保護者を対象としたプログラミング入門講座",
      "startDate": "2025-08-01T10:00:00+09:00",
      "endDate": "2025-08-01T12:00:00+09:00",
      "location": {
        "@type": "Place",
        "name": "○○住民センター",
        "address": {
          "@type": "PostalAddress",
          "addressLocality": "○○市",
          "streetAddress": "○○町1-1-1"
        }
      },
      "maximumAttendeeCapacity": 20,
      "organizer": {
        "@type": "GovernmentOrganization",
        "name": "○○市役所"
      }
    }
    </script>
</head>
<body>
    <!-- ページコンテンツ -->
</body>
</html>

上記のように、<script type="application/ld+json">タグを使って<head>セクション内にJSON-LDマークアップを配置します。複数のマークアップを挿入する場合は、それぞれ別の<script>タグ内に記述します。

ほか、同様にFAQPageやHowToなども以下のようなコードを挿入します。

FAQPage
{
  "@context": "https://schema.org",
  "@type": "FAQPage",
  "mainEntity": [{
    "@type": "Question",
    "name": "住民票はオンラインで取得できますか?",
    "acceptedAnswer": {
      "@type": "Answer",
      "text": "マイナンバーカードをお持ちの方は、マイナポータルから住民票をオンラインで申請できます。"
    }
  }]
}
HowTo
{
  "@context": "https://schema.org",
  "@type": "HowTo",
  "name": "マイナンバーカードの申請方法",
  "step": [{
    "@type": "HowToStep",
    "name": "必要書類の準備",
    "text": "本人確認書類(運転免許証など)と写真を用意"
  }, {
    "@type": "HowToStep",
    "name": "申請書の記入",
    "text": "交付申請書に必要事項を記入"
  }, {
    "@type": "HowToStep",
    "name": "申請書の提出",
    "text": "記入済みの申請書を区役所窓口に提出または郵送"
  }, {
    "@type": "HowToStep",
    "name": "交付通知書の受け取り",
    "text": "申請から約1ヶ月後に交付通知書が届きます"
  }, {
    "@type": "HowToStep",
    "name": "受け取り",
    "text": "交付通知書を持参の上、区役所窓口でマイナンバーカードを受け取り"
  }],
  "tool": ["本人確認書類", "証明写真", "交付申請書", "交付通知書"],
  "totalTime": "PT1H"
}
Recipe
{
  "@context": "https://schema.org",
  "@type": "Recipe",
  "name": "○○市特産品を使った簡単うどん",
  "image": "https://www.example-city.lg.jp/images/local_udon.jpg",
  "author": {
    "@type": "Organization",
    "name": "○○市観光協会"
  },
  "datePublished": "2025-06-20",
  "description": "地元の農家さんが丹精込めて栽培した○○市特産の野菜を使った、誰でも簡単に作れるうどんレシピです。",
  "prepTime": "PT15M",
  "cookTime": "PT10M",
  "totalTime": "PT25M",
  "recipeYield": "2人分",
  "recipeIngredient": [
    "冷凍うどん 2玉",
    "○○市特産のネギ 2本",
    "○○市特産の椎茸 4個",
    "だし汁 400ml",
    "醤油 大さじ2",
    "みりん 大さじ1"
  ],
  "recipeInstructions": [
    {
      "@type": "HowToStep",
      "name": "材料の準備",
      "text": "ネギは斜め薄切りに、椎茸は薄切りにします"
    },
    {
      "@type": "HowToStep",
      "name": "だしの準備",
      "text": "鍋にだし汁、醤油、みりんを入れて沸騰させます"
    },
    {
      "@type": "HowToStep",
      "name": "具材を煮る",
      "text": "沸騰したら椎茸を入れて2分煮ます"
    },
    {
      "@type": "HowToStep",
      "name": "うどんを茹でる",
      "text": "別の鍋でうどんを表示時間通りに茹でます"
    },
    {
      "@type": "HowToStep",
      "name": "盛り付け",
      "text": "器にうどんを盛り、熱いだし汁をかけ、ネギをトッピングします"
    }
  ],
  "nutrition": {
    "@type": "NutritionInformation",
    "calories": "320 kcal",
    "carbohydrateContent": "62 g",
    "proteinContent": "12 g",
    "fatContent": "2 g",
    "sodiumContent": "980 mg"
  },
  "keywords": "○○市特産品, 地産地消, 簡単レシピ, うどん"
}

生成AIによるコンテンツの分析

以下2つの方法で、ウェブサイトのコンテンツが生成AIでどのように扱われているか確認できます。

実際に生成AI検索してみる

  1. Googleサーチコンソールから得られる検索クエリ(キーワード)の上位をプロンプトっぽく検索してみる
    • 「〇〇市 花火大会」→「〇〇市の花火大会はいつ?」
  2. AIの回答精度を確認する
    • 内容は正確ですか
    • それっぽいけどよく見ると間違っていませんか(職員の方だからこそ気づけます)
    • 他の自治体情報などと混同されていませんか(似た名前を誤認していることがあります)
  3. どんなサイトが引用されているか確認する
    • 真っ先に自身のサイトは引用されていますか
    • ほかに引用されているのは自身の関連サイトですか、第三者サイトですか
    • なぜそのサイトは引用されているのでしょうか
    • そのサイトのコンテンツ構造など参考になることはありますか

アクセス解析してみる

GA4(Googleアナリティクス)のデータで、生成AI検索からどこのページに流入しているか確認できます。
※2025年6月現在、ChatGPTとPerplexityについてはサイトへの遷移時にURLパラメーター(utm_source=chatgpt.com や utm_source=perplexity)が自動付与されているため、アプリからの遷移も計測されています。

解析方法

通常の「ページとスクリーン」画面において、「セッションの参照元」で絞り込むことで、生成AI検索サービス経由のアクセスに絞り込めます。
絞り込み時には以下「生成AIドメイン文字列」(正規表現に一致)で絞り込むと簡単です。

chatgpt.com|copilot.microsoft.com|gemini.google.com|claude.ai|perplexity|perplexity.ai|grok.com|genspark.ai|felo.ai
  • GA4
    1. レポート機能の「ページとスクリーン」にて

      • 「セッションの参照元」項目を+(プラスマーク)から追加表示し、検索窓にて「chatgpt.com」など個別ドメインで絞り込みます。この場合、GA4の仕様上、1ドメインずつの確認になります。
        GA4の画面イメージ
    2. 探索機能の「自由形式」にて以下を設定

      • 行の設定値
        • 「ページタイトルとスクリーン クラス」
        • 表示する行数は「100」などを選択
      • 値の設定値
        • 表示回数
        • セッション
      • フィルタの設定値
        • 「セッションの参照元」
        • 条件:次の正規表現に一致
        • 式:前述の生成AIドメイン文字列を入力
  • Looker Studio
    1. グラフの種類
      • 通常の「表」
        棒付き、ヒートマップ付きはお好みで
    2. ディメンション
      • ページタイトル
      • セッションの参照元
    3. 指標
      • 表示回数
      • セッション
    4. フィルター
      • 一致条件
      • セッションの参照元
      • 次と一致する正規表現
      • 値:前述の生成AIドメイン文字列を入力
  • どんなページに飛んできているか確認する
    • 全体の表示回数上位ページと比較して、ページの顔ぶれに違いはありますか
  • 遷移先ページの内容から、どんなことを生成AIに聞いてたどり着いたのか、推測する

これらのデータをもとに、ユーザーの「知りたい」「整理したい」「概要を把握したい」といったニーズを推測することで、コンテンツの最適化ポイントが明確になり、より効果的な情報提供が可能になります。
例えば、生成AIから「高齢者介護」に関するページ群が上位を占めていた場合、そういった状況になって初めていろいろ調べるようになった方がいるでしょうし、内容によっては他人には気軽に相談できないような内容も生成AIには気軽に聞いてみることもあり得ます。
そういった住民の方(もしくは遠方にいるご家族かも知れません)にどんな情報を用意すれば理解の助けになるか、そういった視点でコンテンツを点検してみてください。

さいごに

これまでご説明したように、生成AI検索の台頭により住民の情報収集行動は大きく変化していくでしょう。このような変化の中でも確実に情報が届く広報を実現するため、ご紹介した取り組みを1つでもお試しください。

アクセス解析による生成AIからの流入確認であったり、実際住民の方になりきって、生成AIに聞いてみてどんな回答が返ってくるかを調べてみる、でも全然構わないと思います。

もちろん、既存ページの見出し整理やUXライティングにトライしてみるでも良いでしょう。これらの取り組みにより、より多くの人々に必要な情報を確実に届けられる可能性が広がります。技術面で難しい部分につきましては、我々GovTech東京がサポートいたしますので、お気軽にご相談ください。

本記事の主要テーマは「構造化」でしたが、AIへの対応が結果的に人間にとっても分かりやすい情報設計につながるという点(より正確には、人にとって分かりやすい情報設計が本来AIにも適しているという点)にお気づきのことと思います。ぜひ、生成AIに対してもアクセシビリティの配慮をしていただければと思います。

GovTech東京では、自治体サイトの改善・進化をサポートする仲間を募集中です!生成AI対応を含む、より良い行政サービスの実現に向けて一緒に取り組みませんか?カジュアル面談も随時実施しておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください!

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