「人生を変えた本」で深まる絆:デジタル基盤グループのビブリオバトルレポート(後編)
こんにちは。GovTech東京の平井です。この記事はGovTech東京アドベントカレンダーの17日目の投稿となります。
GovTech東京のデジタル基盤グループには「部室」と呼ばれる特別な空間があります。チームの一体感を育み、他グループのエンジニアたちも気軽に立ち寄れる場所として親しまれており、メンバーが持ち寄った数多くの本が並んでいます。
この部室で最近、「人生を変えた本」をテーマにビブリオバトルが開催され、メンバーたちは自身の人生や仕事に影響を与えた本について語り合いました。
前編では、リーダーシップ、技術、セキュリティをテーマにした3名の熱いプレゼンをご紹介しました。後編となる今回は、組織改革、人間関係、働き方、チーム運営といった課題に向き合い、それぞれの「人生を変えた本」を紹介した4名のプレゼンをお届けします。プレゼンを通じて新たな気づきを共有し、チームとしての結束力がさらに深まる瞬間が随所で感じられるイベントでした。
最後には、優勝者が決定。誰が、どんな理由で選ばれたのかにも注目してください。
エントリーNo.4: ドラマチックな改革物語「V字回復の経営」
紹介者: 宮本 達史さん
紹介本: 『V字回復の経営』(三枝匡)
「皆さん、自分の力ではどうにもならない壁に直面したことはありませんか?」
冒頭で宮本さんがそう問いかけると、チームメンバー全員が真剣な表情で頷きました。宮本さん自身、かつて所属していたコミュニティが硬直化し、動かない状況に直面した経験があり、そのときに出会ったのがこの本でした。
――この本を選んだ理由は?
「この本は、企業の改革を題材にしたドラマ仕立てのビジネス書です。4人の改革リーダーが、それぞれの視点や専門性を活かしながら、会社を立て直していくストーリーに引き込まれました。ただ成功物語を語るだけでなく、改革の途中で起きる失敗や葛藤を克明に描いている点が、とてもリアルで学びが多いんです。」
――特に印象に残った部分は?
「改革タスクフォースの結成や組織改革の進め方について、時間軸に沿って具体的に描かれているところです。例えば、改革を進めるうえで、現場の反発をどう受け止めて前進させるか。その過程でリーダーがどんな判断をするべきかが丁寧に解説されています。これは、自分が過去に直面した課題にそのまま応用できる内容でした。」
――どんな人におすすめですか?
「組織改革に携わっている人や、現状を変えたいけれど何をしたら良いかわからない人におすすめです。特に、リーダーシップに悩む人にとって、この本は必ずヒントを与えてくれると思います。」
プレゼン後、チームからは「宮本さんらしい堅実な選書」「読んだら今の仕事にもすぐ活かせそう」といった声が挙がり、職場の課題に直結するテーマへの関心が高まっていました。
エントリーNo.5: 人間関係を深める「コンサルタントの秘密」
紹介者: 菅原 広彦さん
紹介本: 『コンサルタントの秘密』(G.M.ワインバーグ)
いつも穏やかで、丁寧な仕事ぶりがチームの安心感を支えている菅原さん。この本の紹介には、彼自身の価値観が色濃く反映されていました。
――この本を選んだ理由は?
「この本に出会ったのは、私がエンジニアになりたての頃です。当時は技術にばかり意識が向いていて、どうすれば人間関係を円滑に進められるかなんて考えたことがありませんでした。この本を読んで、仕事を進める上で信頼関係の構築がいかに重要かを学びました。それ以来、困ったときにはこの本を開いています。」
――特に印象に残ったエピソードは?
「『去り行くガンマンのファンタジー』というエピソードですね。『相手が感謝を示さないとき、それは自分の仕事が素晴らしすぎて言葉を失っているからだ』と思い込むというユーモアたっぷりの法則です(笑)。もちろん現実はそう簡単ではありませんが、この考え方に救われる場面が何度もありました。また、信頼を築くプロセスの重要性が、この本を通して何度も強調されている点が特に心に響きました。」
――どんな人におすすめですか?
「人間関係に悩んでいる人や、マネージャーとしてチームを率いる立場の人にぜひ読んでほしいです。技術的な問題を解決するだけではなく、相手と向き合う力を養うための具体的なアドバイスが詰まっています。」
プレゼン後、同僚たちは「菅原さんらしい選書だね」「自分も信頼関係を築くのが課題だから、ぜひ読んでみたい」と共感し、職場のコミュニケーションをさらに良くするきっかけになりそうだという声が上がりました。
エントリーNo.6: 働き方の常識を覆す「NINE LIES ABOUT WORK」
紹介者: 安原 喜一郎さん
紹介本: 『NINE LIES ABOUT WORK』(マーカス・バッキンガム)
安原さんは「マネージャーの時代は終わり、組織運営は個人を中心に考え直さないといけないといけない」と言います。彼が語るこの本のテーマは、海外のトレンドと職場についての新しい考え方を提案するものです。
――この本を選んだ理由は?
「上司に『組織をアジャイル化しろ』と言われたものの、具体的な方法の提示や権限もない状態で困っていました。そんなとき、この本に出会いました。この本は、旧来型の人事管理が苛立ちの原因となっている現状をうまく説明し、新しい方向を示してくれる一冊です。」
――印象に残ったポイントは?
「『マネージャーではなく、個人を中心に据えるべき』というメッセージです。これまでの組織運営は、組織全体を重視するあまり、個人の強みやそれぞれの個人がどういう人であるかを無視しがちでした。この本を読んでからは、個人をまず前提としチームを重視することこそが組織を強くする鍵だと考えるようになりました。」
――どんな人におすすめですか?
「働き方や組織運営に悩んでいる全ての人、特にリーダー層に読んでほしいです。この本を読むと、人事管理を根本から見直すきっかけを得られると思います。」
エントリーNo.7: チーム運営の教科書「チームトポロジー」
紹介者: 山本 尚明さん
紹介本: 『チームトポロジー』(マシュー・スケルトンほか)
――この本を選んだ理由は?
「プラットフォームエンジニアリングを学び始めた頃、この本に出会いました。技術だけでなく、チーム運営や組織設計に関する具体的なアプローチが詰まっていて、すぐに実務に活かせる内容でした。」
――特に印象に残った部分は?
「チームを4つのタイプに分類し、それぞれの役割を明確にする手法が秀逸です。特に、チーム間の認知負荷を減らし、成果を最大化する方法が具体的に解説されている点が素晴らしいと思いました。」
――どんな人におすすめですか?
「ITエンジニアリングに関わる全ての人、特にチーム運営に課題を感じている人に読んでほしいです。この本を読むことで、チームの成果を高めるための具体策が分かります。」
総評と優勝者発表
ビブリオバトルを締めくくる投票では、宮本 達史さんが紹介した『V字回復の経営』が見事優勝を果たしました。
その理由は、この本が職場の課題に直結する内容であり、多くのメンバーが「すぐに実務に活かせそう」と感じた点にあります。宮本さん自身が語るエピソードの具体性と、職場への応用例がリアルで説得力があったことも、票を集めた理由でした。
「まさか自分が優勝するなんて…驚きました。でも、この本がみんなの役に立ちそうだと思うと嬉しいです」と宮本さんは少し照れながらも笑顔で語っていました。
こうして、熱く語り合ったビブリオバトルは幕を閉じましたが、チーム全体が互いを理解し合い、結束を深めるきっかけになったようです。
次回のビブリオバトルのテーマは「未来を切り開く本」。どんな本が選ばれ、どんな熱い議論が交わされるのか、今から楽しみでなりません!
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