Cloud Storage の新機能 Autoclass について

2022/12/14に公開

はじめに

今年も残すところ約半月ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
本記事は Google Cloud Japan Advent Calendar 2022(今から始めるGoogle Cloud)の14日目の記事となります。

Google Cloud Next '22 で Cloud Storage の新機能である Autoclass が発表されました。本記事では Cloud Storage の概要からはじまり、新発表の Autoclass の機能や料金についてご紹介いたします。

Cloud Storage とは

Cloud Storage は、Google Cloud で利用できるオブジェクト ストレージ サービスです。任意のファイル形式のデータを格納することができ、保存できるデータ量にも制限はなく、低レイテンシでアクセスすることが可能です。画像や動画等の非構造化データの格納先をはじめとし、バックアップやアーカイブ、データレイク等、非常に多くのユースケースでご活用いただけます。

ストレージ クラス

Cloud Storage ではオブジェクトのアクセス頻度、保存期間に応じた 4 つのストレージ クラスがあります。それぞれオブジェクトへのアクセス料金および、データ保存料金が異なっています。どのストレージ クラスを利用した場合も、データの耐久性や可用性、データ取り出し時のレイテンシは同一です。各ストレージ クラスの主な特徴は以下となっています。(料金は東京リージョンにて 2022 年 12 月現在のものになります。最新の情報は料金のページを参照ください。)

項目 Standard Storage Nearline Storage Coldline Storage Archive Storage
アクセス頻度 高頻度 月 1 回程度 3 ヶ月に 1 回程度 年 1 回程度
最小保存期間 なし 30 日 90 日 365 日
ストレージ料金(GB / 月) $0.023 $0.016 $0.006 $0.0025
データ取得料金(GB あたり) $0 $0.01 $0.02 $0.05
主に書き込みオペレーション(10,000 回あたり)[1] $0.05 $0.10 $0.10 $0.50
主に読み取りオペレーション(10,000 回あたり)[1:1] $0.004 $0.01 $0.05 $0.50

Nearline Storage 以下のストレージ クラスでは、最小保存期間というものが定められており、この期間以内にオブジェクトを削除した場合、早期削除料金として、実際にこの最小保存期間を保存した分の料金が請求されます。(削除自体は実施することができます)

ライフサイクル管理

コストを最適化するためにオブジェクト作成後の経過日数等に伴い、ストレージ クラスを変更させたり、オブジェクトを削除させることができるライフサイクル管理機能もあります。ルールを設定することで、コストの最適化や不要なデータの削除が自動で行われます。
同じく今年の Google Cloud Japan Advent Calendar のこちらの記事にて、つまづきやすい点なども記載しておりますので、こちらも是非ご確認ください。(前述の早期削除料金についても触れています)

Autoclass

これまでは前述の通り、オブジェクトのストレージ クラスを変更する際には、ユーザ自身でライフサイクルを設定する必要がありましたが、Google Cloud Next '22 で新たに Autoclass という機能が発表され、2022 年 11 月 8 日 に一般提供されました。この機能により、ユーザ自身でライフサイクルを設定しなくてもオブジェクトのアクセスパターンに応じて Google 側で自動でストレージ クラスを移行することが可能となります。
Autoclass はバケット単位で有効化します。Autocalss に新規で書き込まれたオブジェクトは、Standard Storage に格納され、下記のルールに従い、オブジェクトのストレージ クラスを変更します。

  • オブジェクトのデータにアクセスすると、そのオブジェクトは Standard Storage に移行される
  • 30 日間アクセスされなかったオブジェクトは、Nearline Storage に移行される
  • 90 日間アクセスされなかったオブジェクトは、Coldline Storage に移行される
  • 365 日間アクセスされなかったオブジェクトは、Archive Storage に移行される
  • Archive Storage に格納されているオブジェクトは、アクセスされるまでストレージ クラスの移行は行われない

設定方法

コンソール編

設定方法は非常に簡単で、コンソール上からバケットを新規作成する際にストレージ クラスで Autoclass を選択するだけで作成可能です。

作成されたバケットのデフォルトのストレージ クラスを確認すると Managed with Autoclass となっていることが確認できます。

コマンドライン編

コマンドラインでの作成も非常に簡単で以下のように実行することで Autoclass を有効にしたバケットを作成することができます。

$ gcloud storage buckets create gs://[バケット名] --enable-autoclass

バケットに Autoclass が有効になっているか確認することも可能です。

$ gcloud storage buckets describe gs://[バケット名] --format="default(autoclass)"
autoclass:
  enabled: true
  toggleTime: '2022-12-02T05:19:10.404000+00:00'

制限事項

現時点(2022 年 12 月時点)では、Autoclass を利用する場合はバケットの作成時に有効にする必要があり、従来のバケットから Autoclass を有効にすることはできません。一方で Autoclass で作成したバケットを特定のストレージ クラスに変更することは可能です。(今後のリリースで既存のバケットから有効にする機能もサポート予定です)
また、Autoclass ではライフサイクル管理機能を用いてオブジェクトを削除するサイクルを設定することはできますが、ストレージ クラスを変更する機能はユーザ側では設定できず、Autoclass での移行期間設定を上書きできない仕様になっています。

ユースケース

Autoclass のユースケースとしてはデータのアクセス パターンが不明な時や予測不可能な際に便利な機能となり、コスト最適化の効果が期待できます。一方で、一度でもアクセスされたオブジェクトは Standard Storage に移行されることからデータのアクセス頻度が定期的であり、予測できる場合は従来通り特定のストレージ クラスを利用していただほうがコスト最適となる場合もございます。

料金

これまでの Cloud Storage と比較して Autoclass の料金に関して特徴的な点として以下があります。

  • Autoclass が有効になっているバケットでは、バケット内に保存されている 10,000 オブジェクトあたりモニタリングと自動化の管理料金として $0.025 の月額料金が発生します。
  • Autoclass ではオブジェクトのストレージ クラスを移行した際の、移行料金は発生しません。
  • Nearline Storage 以下に格納されているオブジェクトにアクセスしても取得料金は発生しません。
  • Nearline Storage 以下に格納されているオブジェクトを最小保存期間以内に削除しても早期削除料金は発生しません。

その他のストレージ料金等に関しては従来の Cloud Storage と同様の料金となっております。

まとめ

この記事では Autoclass についてご紹介させていただきました。非常に手軽に設定できる機能となっておりますので、是非ご検討いただけますと幸いです!既存バケットから Autoclass の有効化といった今後のアップデートにも乞うご期待ください!
引き続き Google Cloud Japan Advent Calendar 2022 をよろしくお願いいたします!

参考資料

https://cloud.google.com/storage/docs/autoclass?hl=ja

https://cloud.google.com/blog/ja/products/storage-data-transfer/optimize-your-cloud-storage-spend?hl=ja

脚注
  1. 詳細はこちら ↩︎ ↩︎

Google Cloud Japan

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