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Google流イノベーション創出の秘訣:10X Innovation Culture Program 徹底解説

2024/12/04に公開

この記事は Google Cloud Japan Advent Calendar 2024 の 4 日目です。

こんにちは。 Google Cloud で スタートアップ・SMBの企業向けに新規導入のご支援をしているSales のHarukaです。

ついこの間に2024年の新年を迎えた気がしたのですが、もう12月を迎えているなんて・・・時間の加速を感じる今日このごろです。

このアドベントカレンダーは Google Cloud を使ってこんなことができるよ、こんな製品があるよ、という Tech 系のご紹介がメインですが、今日は少し角度を変えて、Google のカルチャーについてお話ししていきます。

Google のイノベーションを生み出す源泉には、Google のカルチャーが大きく影響を与えています。私も実際に入社してみて気づいたこと、実感したことがたくさんありました。

そして、そのGoogle カルチャーをお客様にも体験していただき、取り入れていただく体験型プログラムについてもご紹介しますので、ぜひ最後まで楽しんで読んでいただけたら嬉しいです!

はじめに

はじめに少しだけ、自己紹介をさせてください。

私は2023年10月にGoogle Cloud へ入社しました。長らくIT業界に身を置いていますが、数々のTechカンパニーの中でも、Google のカルチャーについては、組織開発という観点で入社前からとても興味がありました。

理由としては、大学で心理学を専攻していたことと、学生時代に取り組んでいたスポーツを通して、”チームで力を合わせて成果を出す”ということに、自分の興味やモチベーションが向いているためです。

そんな経緯から、私がGoogle のカルチャーに初めて興味をもったのは、Google re:Work がきっかけでした。

Google はデータに基づいた意思決定を重視しており、人事施策においてもその例外ではありません。

実際に入社してみると、Google re:Work で紹介されていたGoogle のカルチャーは本当に社内に浸透しているのだと実感しました。

Google re:Work では、Google が内外から集めた論文先進事例、研究、アイデアを掲載しており、どのような職場においても、データや科学を使って「働くをもっと良いものに」する方法を全て無料で開示しています。

そのため、世界中の全ての企業で働く方々が、そのカルチャーを無料で取り入れることができます。(”Google の使命は、世界中の情報を整理し、世界中の人がアクセスできて使えるようにすることです。”というビジョンがここにも根ざしているな、と感じます。)

一方で、Web上に公開されているテキスト、フレームワークを自力で取り入れ、社内に浸透させていくのは、現実問題としてハードルが高いところもあるのではないでしょうか。

そこで、Google Cloud のお客様にも、Google のカルチャーを体験し、自社に取り入れやすいプログラムとして落とし込んだものが、今日ご紹介する”10X Innovation Culture Program”です。

イノベーションは1人の人間が生み出すものではない

10X Innovation Culture Programとは、イノベーションを生み出す組織環境づくりのためのリーダーシップ・プログラムです。

そもそも、「10X (てんえっくす) 」とはいったい何なのか?についてですが、実はこのキーワードにこそ、私たち Google のイノベーションに対する考え方が反映されています。

Google ではイノベーションを促進するカルチャーの一つとして、「Think 10x : 10 倍のスケールで考える」という考え方が多くの場面で奨励されています。

何かを 10% 良くしようとした場合、どうしても今ある手段や前提にとらわれた思考になりがちです。

それに対して、 10 倍の成果を手に入れようとすると、既存の手段の改善では不十分で、今ある前提を取り払い、1から全く新しい手段を探すことが不可欠です。

これまでになかった革新的な価値を生み出すイノベーションは、こういった思考からこそ生まれるとGoogle では考えています。実際に、Google から生まれたプロダクトの中で、「10倍思考」から生まれたものは数多く存在します。

Google では、1人の天才ではなく、チームによってイノベーションを生み出す組織文化を重要視しています。

そういったGoogle自身の経験から、イノベーションが生まれる職場環境について、6つの要素に分解して定義しています。

これらを実際に組織文化としてどうやって取り入れていくのかを体験し、インストールしていくプログラムに落とし込んだものが、10X Innovation Culture Programです。

イノベーションが生まれる職場環境の6つの要素

それでは、Google が定義している「イノベーションが生まれる職場環境の6つの要素」について、解説していきます。

Google re:Work イノベーションが生まれる職場環境をつくる より

まず、6つの要素については、「多様性の尊重」「ビジョン共有」「自主性」「内発的動機付け」「リスクテイク」「つながりとコラボレーション」にて構成されています。

一つ一つの要素でブログ記事を1本ずつ書けるくらいなのですが、誌面も限られてるので今回はかなり要点を絞ってご紹介していきます。詳細はぜひ、Google re:Workや、10X Innovation Culture Programの公式サイトからご覧いただけると嬉しいです。

多様性の尊重

Googleでは、DEI(Diversity Equity & Inclusion)に関する取り組みに力を入れています。
私も入社後に強く実感しましたが、これまでの企業研修で経験したことがないような、DEIについて学び、考えさせられるe-Larningが社員に必須で提供されています。

それはいわゆる”企業イメージ”を高めるためのものではなく、DEIが真にイノベーションに寄与するのだと重要視しているからです。

実際に公開されている論文で、多様な考え方のメンバーが集まったグループは、同じ考え方を持つメンバーからなるグループをしのぐ成果を出していることがわかりました

イノベーションを起こすためには、偏った個によって構成された組織ではなく、多様な個人がそれぞれの能力を発揮できる組織である必要があるのです。

ビジョン共有

それでは、多様な人材が集まった組織であれば、それだけでイノベーションは生まれるのでしょうか。

それぞれの個人が好き勝手にやっていったら、組織として成り立たないですし、何より世界の役に立つようなイノベーションは生まれないですよね。

そこで重要なのが、このビジョン共有です。

OKR(Objectives and Key Results)という目標管理方法について、聞いたことがある方も多いかと思います。

実はGoogle社内では、社長含めたExecutiveのOKRが社員全員に公開されており、それらがブレイクダウンされ、最終的には自分のOKRとつながっています。

私も日々OKRに基づいて業務を行っていますし、これらを設定して終わりではなく、マネージャーやステークホルダーとの定期的なコミュニケーションや、各種データに基づいて改善するところまでセットになっています。

そのため、自分たちのめざすべき方向が明確になっていると感じています。

自主性・内発的動機づけ

多様な人材に対して、ビジョンを共有し、OKRがセットされれば、あとはうまくいくのかというと…まだ足りていないピースがあります。

それは、一人ひとりが自主性を持って、自律的に働けること。そして、仕事に対してモチベーションを持って働けること。これらがないと、きれいなビジョンとかっこいい目標が設定されただけの組織になってしまいます。

Googleのカルチャーを構成する6つの要素の中で、自主性と内発的動機づけをあえて別の要素として挙げているのは、なぜでしょうか?それは、それぞれが異なる側面を持つ重要な要素だからです。

自主性は、個人が自分の仕事や目標をコントロールし、主体的に意思決定を行う能力をさします。そのためGoogleでは、社員が自分の才能や能力を最大限に発揮できるよう、マネージャーがメンバーに自由度と裁量を与え、自律的に働くことを奨励しています。

一方、内発的動機づけは、外的報酬や圧力ではなく、内的欲求や興味に基づいて行動する意欲をさします。Googleでは、各個人が仕事に情熱を持ち、自発的に課題に取り組むことで、創造性と革新性を育むことができると考えています。

一見すると、自主性が高い人は内発的動機づけも高いように思えるかもしれません。しかし、実際には、自主性があるにもかかわらず、内発的動機づけが低いというケースも存在します。

例えば、自分の仕事内容やスケジュールを自由に決められる裁量を与えられていても(自主性が高い)、その仕事自体に興味がなく、ただ義務感でこなしているだけ(内発的動機づけが低い)という状況も考えられます。

逆に、内発的動機づけが高いにもかかわらず、自主性が低いというケースもあります。

例えば、会社全体の目標に強く共感し、貢献したいという意欲に燃えている(内発的動機づけが高い)ものの、自分の役割や責任範囲が明確に定められており、自由に動くことができない(自主性が低い)という状況も考えられます。

このように、自主性と内発的動機づけはそれぞれ独立した要素であり、両方が高いレベルで存在することで、社員のエンゲージメントやパフォーマンスを最大化できると考えられます。

Google のエピソードとしてよく取り上げられる「20%ルール」についても、内発的動機づけを高めるための取り組みの一つです。

私もこのブログは、私自身の内発的動機づけから書いています。
・・・というのは、ちょっときれいすぎるまとめ方ですが、本心です ;)

リスクテイク

Google では、10億人以上の方に使われているサービスが9つあります。

しかしながら、百発百中でイノベーションを起こせる組織は存在しません。Google ももちろん、サービス終了したプロダクトが数多く存在します。

失敗から学び続けた先に、イノベーションが生まれます

そのため、リスクを恐れずに新しいアイデアを試せるようにするカルチャーが必要不可欠です。

ここで重要になるのが、「心理的安全性」です。

心理的安全性に関する書籍や情報もよく見かけるようになりましたが、この言葉の受け取り方も人それぞれだと感じています。

私はちょうど1年ほど前に、この記事を読んだとき、自分の中の違和感を言語化してもらった気がしました。

「心理的​安全性」は​​なぜ混乱を​​招き続けるのか

Google では「Radical Candor(徹底した率直さ)」というフレームワークで、心理的安全性をイノベーションにつなげる実践方法を定義しています。

個人が失敗を恐れずに発言・行動を起こし、チームでイノベーションを起こすために、徹底した率直さでフィードバックを伝え、また新しい取り組みに活かしていく。

私も今所属しているチームで心理的安全性を感じて働けるのは、Radical Candor が実践されているからだと実感しています。

つながりとコラボレーション

私の内発的動機づけに突き動かされるままに、気づけば長編になってしまっております。
いよいよ最後の6つ目の要素なので、もう少々お付き合いいただけたら嬉しいです。

一つ前にお話した「リスクテイク」によって芽吹いた新しいアイディアを形にするためには、周囲のサポートや協力は不可欠です。

他のメンバーと協力し、意見交換や情報共有を行うことで、リスクを軽減し、成功の可能性を高めることができます。

そのために、社員同士のチーム・部署横断的なつながりや、コラボレーションの促進を重視しています。

コラボレーションツールとしてのGoogle Workspaceについても、この動画のようなやり取りを本当に社内でもやっています。

https://www.youtube.com/watch?v=_LFb8Xv5LGs
私も無尽蔵に生み出されるファイルのバージョンたちから解放されました

また、Google オフィスの構造もコラボレーションが発生するように工夫されているので、ぜひ実際に足を運んで体験していただけたら嬉しいです。

イノベーションを生み出す組織づくりのワークショップについて

ここまでイノベーションが生まれる職場環境の6つの要素について、ご紹介してきました。

一つ一つの取り組みを並べてみると、意外に簡単そうに見えませんか?
ただ、それをカルチャーになるまで落とし込み、実践し続けることに難しさを感じる場面が多く出てくるかもしれません。

そこで私達がご提供しているのが、10X Innovation Culture Programというワークショップです。

お客様の組織課題に対して、実際に6つの要素に関するアセスメントを実施した後、特に大きな効果が得られそうな要素に関してディスカッションし、アクションに落とし込んでいきます。

新しいアイディアやディスカッションが生まれる瞬間に立ち会えるのは、ワークショップを提供するメンバーとしても感動しますし、とてもやりがいを感じています。

こちらのKINTOテクノロジーズ様の記事が、実際にどのような流れで進んでいくのかをわかりやすく追体験いただけるので、ぜひご覧ください。

そしてご興味を持っていただいたら、お気軽にGoogle Cloudの御社営業担当までお声がけください!

まとめ

ここまで長らくお付き合いいただき、ありがとうございました!

この記事では、Google のイノベーションを生み出すカルチャーについて、そして、そのカルチャーを 10X Innovation Culture Program として体験し、自社に取り入れられるプログラムをご紹介しました。

イノベーションは、一人の天才が生み出すものではなく、組織全体で生み出すものです。

Google では、そのために必要な要素を、6 つに分解して定義しています。

多様性の尊重
ビジョン共有
自主性
内発的動機付け
リスクテイク
つながりとコラボレーション

これらの要素を組織に浸透させることは簡単ではありません。
10X Innovation Culture Program では、組織の課題を特定し、Google のノウハウを活かしながら、組織に変革を起こし、イノベーションを生み出す組織文化を醸成していきます。

もしあなたの企業で組織変革を起こしたくなったら、ぜひ私たちGoogle Cloud の10X Innovation Culture Program のワークショップを通してお手伝いできたら嬉しく思います。

最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
それでは引き続き、 Google Cloud Advent Calender 2024 をお楽しみください!

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