Lookerの生成AI拡張機能②Dashboard Summaryを使ってみる
Google Cloud でも Gemini やその他の生成 AI のモデルやソリューションが多く発表されています。今回は、その中でも、Looker から Gemini を利用した拡張機能の紹介の第2弾として Dashboard Summary を紹介したいと思います。
第1弾の Explore Assistant の記事は こちら です。
tl;dr
- Dashboard Summary を使えば、ボタンを押すだけで、要約やネクストステップの提案を作成
- 新規でも既存でもすべてのダッシュボードに追加して簡単に利用可能
- エンジニアの方であれば、プロンプトや要約内容などのカスタマイズを行い、精度向上が可能
Dashboard Summary とは
Dashboard Summary は、公式に Looker に組み込まれた機能ではなく、Looker Extension (拡張機能) を利用して Looker 上で利用できる、生成 AI 機能の1つです。
ダッシュボードのタイルとして追加することができ、各グラフや表の内容や要約、ネクストステップを自動生成してくれるようなアプリケーションです。
ベースとなるソースコードは、Github 上に公開されており、Looker のエンジニアが更新を行っています。この Github のコードを使って、手順に従い Dashboard Summary の設定を行えば、Looker 上で、Dashboard Summary を利用可能になります。バックエンドで利用する Gemini や Cloud Run の費用は発生しますが、Looker ライセンスの追加費用は必要ありません。
※ 今回は利用イメージを紹介することをメインの目的とするため、この Looker Extension の設定方法は、割愛します。
Dashboard Summary アーキテクチャ
公開されているソースコードでは、Cloud Run から Gemini を呼び出し、結果を生成する仕組みです。
全体の流れの概要は下記です。
- Cloud Run に、LookML のメタ情報とダッシュボードの情報を渡します。
- BigQuery などのデータソースにクエリを実行してクエリ結果を取得します。
- メタ情報とクエリ結果からプロンプトを作成して、Gemini が要約を作成します。
- Looker でその要約を表示します。
Dashboard Summary を使ってみた
Dashboard Summary の拡張機能の追加
Dashboard Summary は、ダッシュボードのタイルとして利用できる拡張機能です。Looker Extension の設定をした後、ダッシュボードの編集画面からタイルとして追加が可能です。
Dashboard Summary の要約実行
追加したタイルの右上部の"Generate"ボタンを押すと、現時点のグラフの値から、要約やネクストステップの内容を作成します。
週別デバイス別 Page View の要約の確認
このグラフは、GA4 のサンプルデータから作成されており、モバイルデバイス別の Page View 数を週別に折れ線グラフで表示したものです。
要約を取得すると、大きく3つのパートに分かれており、グラフの内容の説明、グラフの要約、ネクストステップが、それぞれのグラフ毎に表示されます。
グラフの内容の説明
まず、グラフの内容の説明をしてくれています。集計している期間や利用している項目、集計値を的確に説明してくれています。
このクエリは、20 20年10月26日から2021年1月 25日までの週ごとのモバイルブランド別のページビュー数を示しています。
グラフの要約
続いて、グラフの要約です。まず、ページビューが多い、Apple と Google デバイスについて説明をしています。これも適切に最も多い Apple と、次に多い Google について言及しています。
次に週次の推移の中で、すべてのデバイスが、大きくスパイクしてる12月の週について説明していて、これもグラフの中での適切な注目ポイントです。
ただし、今回はサンプルデータであり特にセールをしているなどの情報は与えていませんが、一般的な情報からクリスマスや年末年始のセールが要因であるような、不明確な情報を提供している部分もあります。
Apple デバイスからのページビューが最も多く、全体の約半分を占 めています。Google デバイスがそれに続き、全体の約40%を占めています。他のデバイスからのページビューはごくわずかです。12 月の第2週には、すべてのデバイスでページビュー数が急増しました。これは、ホリデーシーズンと年末年始のセールによるものと考えられます。
ネクストステップ
最後にネクストステップです。上記の要約などを踏まえたうえで、次にとるべきアクションについての内容が記載されています。
最もページビューが多かった週についての原因の調査や、ページビューの多いまたは少ないデバイスへのそれぞれの対処の検討をアドバイスしており、比較的適切なアドバイスがなされています。
この部分についても、デフォルトのプロンプトのまま利用していても、ある程度適切なアドバイスをしていますが、プロンプトをカスタマイズして、ユーザーの業務内容やミッション、目標などを与えれば、より適切なネクストステップの提案が可能になるかもしれません。
12月の第2週のページ ビュー数の急増の原因を特定するために、ユーザー獲得チャネルとキャンペーンの効果を分析します。
Apple デバイスと Google デバイスからのページビューが多いことから、これらのデバイスに最適化されたウェブサイトやアプリの開発を引き続き 注力します。
その他のデバイスからのページビューが少ないため、これらのユーザーを獲得するための戦略を検討する必要があるかもしれません。例えば、これらのデバイスに最適化された広告キャンペーンを実施したり、これらのデバイスで利用できる機能やコンテンツを充実させたりすることができます。
まとめ
今回は、簡単に Dashboard Summary を紹介しました。
もちろん必ず意図した通り動くわけではありませんが、メタデータの追加設定やプロンプトの修正などをしなくても、比較的適切なサマリを取得することができました。
今回は、日本語で表示するようにプロンプトに指示を追加した以外は、公開されているコードをそのまま利用しましたが、プロンプトなど独自に開発、修正が可能な点も、Dashboard Summary の大きな利点です。
もし、Looker を利用されている方は、ぜひお試しください。
また、Looker を現在利用していないけど、この機能を試したいという方は、Looker にはフリートライアルもありますので、ぜひ弊社担当へご連絡いただければ、サポートさせていただきます。
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