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助け合いが自然に生まれる組織にするための、小さな実験

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はじめに

こんにちは、GOGENでCTOをしている楠本(@zabio3)です。

普段は、技術的な話題を扱うことが多いのですが、今回は少し違う角度から 「組織文化を育てるための開発」 について、社内で取り組んでいるある実験的な仕掛けを紹介してみようと思います。

🤝 助け合いが自然に生まれる組織にしたい

私たちが向き合っているのは、不動産売買取引という、関係者もプロセスも複雑な領域です。

SaaSとしてこのプロセスをなめらかにしようとすればするほど、業界特有のドメイン知識や商慣習、関係者の心理的な動きに深く踏み込む必要があります。

単なる機能追加やUI改善では解決できないことも多く、「この機能の背景にある意図は何か?」を捉える力が求められます。
関係者の役割も、情報の流れも、常に変化していく、そんな複雑さの中で、
良いアウトカムにたどり着くには、役割を越えた相互理解と連携が不可欠です。

GOGENは少人数のスタートアップ。
エンジニアも開発・設計・運用・顧客対応まで横断的に関わることが当たり前の環境です。

だからこそ、
Slack上のちょっとしたフォロー、部署を越えた一言、迷っている誰かへの声かけ。
そうした助け合いの瞬間が、プロダクトの質やスピードに大きく左右します。

でも、そんな良い行動は、忙しさのなかで見落とされがちです。
Slackで誰かが誰かを助けていても、感謝の言葉はその場限りで流れてしまう。

小さな助け合いや感謝を、もっと自然に交わされて、そっと見えるようにできないか?

そんな問いから生まれたのが、
Slack上で感謝の気持ちを拾い上げてくれるBot「すみればあちゃん」 でした。

🏁 背景:TRYから始まった「ありがとう」の仕組み

「この行動、もっと広まったらいいのに」
「でも、自分がわざわざ取り上げるのもなんか違うよな…」
「Slackでありがとうは言ったけど、それで終わりになってしまう」

そんな「もったいなさ」が、少しずつチーム内にたまっていくのを感じていました。

そんな中、プロダクト部で日々の改善の種を拾い上げようという取り組みの中で、こんな声があがりました。

金子さんのきっかけとなる一言

この声をきっかけに、「ありがとうの可視化」をテーマにしたTRYが正式に立ち上がりました。

Uniposのように制度として設計されたピアボーナスとは異なり、私たちが目指したのは、もっとラフで、もっと日常に馴染むもの

Slackの会話の流れを邪魔せず、でもその中に「ちょっとした温かさ」を届けられるような存在

このTRYのオーナーを僕自身が引き受けて実装したのが、Slack上で感謝のやりとりをそっと拾い上げてくれるBot、「すみればあちゃん」 です。

🌸 「すみればあちゃん」って?

Slack上で交わされた「ありがとう」のやりとりをそっと拾い上げ、
他のメンバーにもやさしく届けてくれるBot、それがすみればあちゃんです。

開発の意図はシンプルで、
形式ばらずに、でも埋もれさせない「感謝の文化」を日常に埋め込むことでした。

💬 使い方は、とっても簡単です

Slackで誰かに感謝を伝えたいとき、こう打つだけです

@ユーザー名 ++  
(例:@gogen ++ 現場の声を拾ってくれて助かった、要望の優先順位を整理するのに役立ちました)

Slack上のちょっとした越境や、顧客とのやりとりから生まれる気づき。
そういったプロダクト価値に直結する行動に、自然と「ありがとう」を送りたくなる。
すみればあちゃんは、そんな日常の感謝をチームにやさしく届けてくれます。

すると、「すみればあちゃん」が優しく反応してくれます。

  • 感謝された相手には、 @メンション付きで「ありがとう」が通知される
  • 投稿には、コメントや背景のメッセージを添えることができる
  • 他のメンバーは、👏 拍手や「いいね」などのリアクションで共感を送れる
  • 必要に応じて、 GOGENのバリュー(例:Move People、Respect & Updateなど) を添えることもできる

🛠 技術的にはさくっと。でも、文化づくりはじっくり

Slackアプリの開発自体は、正直そこまで時間はかかりませんでした。
ChatGPTを使ってプロトタイピングを進めつつ、Slack APIやリアクション機能を組み合わせて、数時間で動くBotが完成

こうした「小さな改善ツール」をつくる環境は、本当に整ってきています。便利な時代です。

でも、Botをつくるだけで文化は育ちません。

  • 投稿を見守る文化
  • 拍手する文化
  • 感謝を言葉にする文化

それらが自然に馴染むように、今も継続的に改善と対話を重ねています。

導入から半年ほど経った今では、プロダクト部の垣根を超えて全社的に活用されるようになり、
最近ではメンバーの手で機能改善のアップデートが加えられるなど、
少しずつですが「自分たちの文化」として根づいてきた感触があります。

Slackアプリとしてはささやかですが、
日常の中にあたたかさやリスペクトをにじませるツールを、
仲間と一緒に育てていけるのは、とても幸せなことだなと思います。

🏗️ プロダクトと同じくらい、組織にも向き合う

すみればあちゃんは、Slack Botという小さな施策ですが、
「どんな行動を称賛したいのか」「どんな空気を育てたいのか」 を形にした、組織設計そのものでもあります。

行動が見えるようになることで、称賛が生まれ、文化が育つ。
「感謝される」だけでなく、「感謝する」ことが自然な行動になる
そんな文化を、Slackという日常の空間に少しずつ浸透させたい。

優れたプロダクトは、優れたチーム文化から生まれる。
だからこそ、私たちは組織への投資も、プロダクト開発と同じくらい大切にしています。

🧶 Botにも、あたたかさと愛嬌を

Slack Botって、どうしても無機質になりがちです。
通知は淡々としていて、どこか定型的で、必要最低限のやりとりに終始してしまう。

でも、「ありがとう」を伝えるなら、そこには少しだけ「ぬくもり」があってほしい

だから私たちは、すみればあちゃんにBotであっても人の気配を感じられるような優しさを込めました。

  • 丁寧すぎず、でも馴れ馴れしくない、ちょうどいい語り口
  • メッセージにそっと添える、やわらかい絵文字

そして、Botに名前をつけるとき、ふと思ったんです。

「自分の中で、一番あたたかい存在ってなんだろう?」

浮かんだのは、ぽたぽた焼きのパッケージに描かれた、あのおばあちゃんでした。

ぽたぽた焼きのおばあちゃん
※画像引用元:亀田製菓「ぽたぽた焼」公式ページ

「名前なんだっけ?」「昭和っぽい名前だよね」「すみれっぽくない?」
そんな勢いと偏見とユーモアで名づけたのが、すみればあちゃんです。

Slack上で
「++したらすみればあちゃん来るよ」
「今日もいい感じに反応してたね」
そんな声が交わされるようになり、文化のスイッチとして定着してきました。

おわりに、GOGENではエンジニアを募集しています!

GOGENでは、ただ機能を作るだけでなく、
良いプロダクトを支える「良い組織」を自分たちで育てていくことを大切にしています。

Slackという日常のコミュニケーションの中に、少しの温もりと称賛の仕組みを組み込むことで、
メンバー同士が気持ちよく働き、越境し、よりよいプロダクトを生み出していく。

「すみればあちゃん」は、そんな文化をそっと支える裏方です。

採用情報の詳細は、下記リンクよりご覧いただけます👇

https://herp.careers/v1/gogen/vkCF0UKhKF-u

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