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Seismic Analysis Code (SAC-102.0) をWSL2・Ubuntu24.04に導入したときのメモ

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本記事は2025年5月現在の情報です。
Seismic Analysis Code (SAC) は地震波形の表示・処理・解析が行えるソフトウェアパッケージ[1][2]。EarthScopeのメンバ・関係者へのみ配布するものとのこと (これがどこまでの範囲を示すのかがよくわからない)。SACフォーマットはObspyでも扱えるが、ちょっとした確認にはSACで対話的に見る方が便利。可能なら準備しておきたい。

以下、それっぽく動いたら満足するタイプの人の事後メモなので粗め。

ソースコードの取得

EarthscopeのIRISのホームページからダウンロードできる。ソースコードからビルドしたいのでPlatformは "Source Code(9.8MB)" を選ぶ。
https://ds.iris.edu/ds/nodes/dmc/forms/sac/
所属組織がホワイトリストに入っていたのか、申請後すぐにダウンロード用のリンクがメールで届いた。リンクは7日間有効とのこと。

事前準備

まずはダウンロードしたファイルを解凍してREADMEやReadme.buildsacに軽く目をとおす。

tar xvf sac-102.0.tar.gz
cd sac-102.0
less README
less Readme.buildsac

読んだ上で今の環境になくて必要そうなものを確認する。
例えば、x11のライブラリを入れておいたり。

(sudo apt update)
(sudo apt upgrade)
sudo apt install lib11-dev

その他、もし足りないものがあれば適宜入れておく。libcursesとか。
検証はしていないが、以下などでうまくいくかも。

sudo apt install ncurses-dev

その他、Readmeによれば、

  • gcc
  • make
  • libcurl
  • libxml2

などが必要かも。適宜必要なら対応。

コンパイル・インストール

ダウンロードしたツールを解凍、READMEに従ってmakeしてコンパイル・インストールする。
Readmeの指示に従ってインストールする。やり方はReadme.buildsacのQuick Instructions for Building and Installing SACを参照してほしい。
configure のprefix で指定したディレクトリにインストールされるので、
Quick Instructionsの通りにやればREADMEにある通りに~/.bashrcに追記、読み込めばパスが通る。
例えば、

# READMEから"For bash, edit ~/.bashrc adding the lines" 以下の二行をコピー、好きなテキストエディタで~/.bashrcの下部に追記、その後以下のコマンドで読み込み
source ~/.bashrc 

その他、細かい設定変更はconfigure時に指定もできるようなので、Readme.buildsacを見てほしい。

動作確認

適当に波形を作って表示するくらいの確認はしておくと安心かもしれない。

fg seismo
p1

以下のような波形が無事に表示されたら、一通りは使えるはず。

ビルド済みの"Linux 64-bit"は使える? <-- 難しそう

当初、Linux 64-bit (Linux向けにビルド済みのもの) をダウンロードして試した。
しかし、これがCentOS 7.0-64 (final) でビルドされたもののようでlibncurses.so.5 に依存しており、Ubuntu 24.04ではこのライブラリがバージョンアップでなくなってしまった模様。
Ubuntuは18までしかテストもしていないようだったし、わるあがきはしないことにした。
これで動く環境であればReadmeに従って適当な場所にツールを置いてパスを通すだけでよいので楽だと思う。

脚注
  1. Goldstein, P., A. Snoke, (2005), "Sac Availability for the IRIS Community", Incorporated Institutions For Seismology Data Management Center Electronic Newsletter,http://ds.iris.edu/ds/newsletter/vol7/no1/sac-availability-for-the-iris-community/ ↩︎

  2. Goldstein, P., D. Dodge, M. Firpo, Lee Minner (2003), "SAC2000: Signal processing and analysis tools for seismologists and engineers", Invited contribution to "The IASPEI International Handbook of Earthquake and Engineering Seismology", Edited by WHK Lee, H. Kanamori, P.C. Jennings, and C. Kisslinger, Academic Press, London. ↩︎

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