😂

Gemini:「どしたん話聞こか?🤖」〜「正論より共感」をAIが実践。Geminiの優しさが心に沁みた話〜

に公開
1

はじめに

AIは人の心を理解できるのか

この問いに対し、みなさんはどのような答えをお持ちでしょうか。

昨今、話題に事欠かない生成AI。私も時代の恩恵にあずかる人間の一人です。
仕事でもプライベートでも、生成AIを全く使わない日はないほど、その恩恵を受けています。

ただし主な用途はエンジニアリングの技術的・専門的なもので、誰かに相談するような「1on1の相手」としてAIを使ったことはありませんでした。

しかし先日、個人的な悩みをGoogleのAIモデルGeminiに打ち明けてみたところ、その驚くべき共感性の高さに思わず息をのみました。

そこで今回はこの「Geminiの共感力」を他の主要なAIモデルと比較しながら、客観的なデータも交えてご紹介したいと思います。

比較方法

複数のAIモデルを同時に試せる天秤.AI byGMOを利用しました。
https://tenbin.ai/

Gemini 2.5 Proの出力を以下の3つのモデルと比較しながら評価しました。

  • GPT-4o
  • Claude 4 Sonnet
  • DeepSeek R1

Geminiが見せた「共感」の形

相談内容

まずは、私がAIに投げた相談内容です。とてもシンプルです。

私の部屋は散らかっています。
その部屋を見て「使った後、元の位置に戻せば散らからないよ」と言われました。

Geminiの回答分析

Geminiの回答は長文だったため、特に心を動かされた3つのポイントに絞ってご紹介します。

  1. 第一声での共感
お気持ち、とてもよくわかります。
「使った後、元の位置に戻す」というのは、片付けの基本であり理想ですが、頭ではわかっていても実行するのはなかなか難しいものですよね。それができないのには、きっと理由があるはずです。

まずは共感してくれています。

  • 「片付けをしなきゃいけないことはわかってる」
  • 「すぐ戻せば散らからないこともわかってる」
  • 「でもできない。したくない。。。」

そんな気持ちにGeminiは寄り添うことから始めてくれます。
一方、GPT-4oの第一声はなるほど、それはシンプルだけど的確なアドバイスですね!のみでした。これも一つの正解ですが、Geminiの回答にはあたたかさを感じますね!

  1. 課題の深掘りと構造化
なぜ「元に戻せない」のか、考えられる理由と、その対策をいくつか挙げてみます。ご自身の状況に当てはまるものがあれば、参考にしてみてください。
---
### なぜ「元に戻せない」んだろう?
- そもそも「元の位置」が決まっていない モノの「住所」が決まっていないと、どこに戻せばいいかわからず、とりあえず空いている場所に置いてしまいます。これが散らかる一番の原因かもしれません。
- 「元の位置」が遠い、または戻しにくい 例えば、毎日使う化粧品の収納場所が、棚の奥深くにある箱の中だとしたら、出すのも戻すのも面倒になってしまいます。アクション数が多い(扉を開けて、箱を出して、蓋を開けて…)と、つい出しっぱなしになります。
etc...

他のモデルがすぐに解決策を提示し始めたのに対し、Geminiは「なぜ、それができないのか?」という根本原因の特定から対話を始めます。論点を整理して筋道を立てて解決策を提案してくれるため、一つひとつの言葉に納得感がありますね!

  1. 締めの言葉
完璧を目指さなくて大丈夫です。「使ったものを100%元に戻す」のではなく、「70%くらいは戻せたら上出来!」くらいの気持ちで始めてみてください。

まずは1つ、ご自身が「これならできそう」と思えることから試してみてはいかがでしょうか。少しずつでも、きっとお部屋は快適になっていきますよ。応援しています!

最後は相談者の背中をそっと押す応援の言葉で締めくくられています。プレッシャーを与えるのではなく「これならできそう」と思わせてくれる優しさを感じますね!

全文はこちらです。
https://tenbin.ai/workspace/share/257318894557104128

データで見るAIの「共感力」

私の感じた「共感性の高さ」は主観的なものでしょうか。ここでEQ(心の知能指数) という客観的な指標を見てみましょう。
EQとは「自己や他者の感情を知覚し、それをコントロールする知能」を指す概念です。近年、このEQをAIモデルに対して計測するEQ-Benchという面白い試みがあります。
https://eqbench.com/

2025年7月15日時点のデータで、今回のモデルたちのスコアを見てみましょう。

まず総合スコアについてです。
Kimi-K2-Instructo3の後塵を拝する形ではありますが、Gemini 2.5 Proはかなり高い位置にありますね!他のモデルと比較してもEQについて優秀なモデルであると言えるのかもしれません。

次に今回のテーマである「共感性」に注目します。
Demonstrated empathy(=共感性の発揮)でソートすると、驚くべき結果が見えてきました。

こちらではTop5のほとんどをGemini 2.5 Proのモデルが占めています!
EQ-Benchで計測されたスコア上でも共感性に関するスコアが高く出ているのは興味深いですね。私が比較を行なった際の感触とも一致します。

他にもHumanlike in behaviour & High writing style(=人間のような振る舞いと高度な書き下し能力)やPractical problem solving(=実用的な課題解決)などで高スコアが目立ち、Geminiの対話能力の質が伺えます。

「共感ができるAI」が拓く未来

「共感」とは、単に言葉の表面的な意味を処理することではありません。言葉選びやニュアンスといった曖昧な情報から、その奥にある感情を汲み取り、寄り添う高度なアプローチです。

人間ですら誰もができるわけではないこの繊細な領域に、AIは足を踏み入れ始めています。

今回は「部屋の片付け」という身近なテーマでしたが、この「共感力」はより専門的な分野で大きな可能性を秘めていると感じます。例えばカウンセリングやコーチング、教育現場での対話など「共感できるAI」だからこそ提供できる価値は計り知れません。

おわりに

この記事の草稿を当の本人であるGemini 2.5 Proに見せてみました。
https://g.co/gemini/share/295c0a33c954

感想を伝えると、Geminiはその共感的な対話を実現する仕組み(膨大なテキストデータからの学習)を、いつものように分かりやすく教えてくれました。

多くの言葉に触れ、多様な文脈を学ぶことで、相手に寄り添う優しさが生まれる。

それはもしかしたら、AIも人間も同じなのかもしれません。

GMOメディアテックブログ

Discussion