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「インフラ怖い」を「面白い!」に。SRE主催のAWS/Terraformハンズオン勉強会レポート

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こんにちは!株式会社グロービスのデジタルプラットフォーム部門(以下、GDP)でSREをしているAikawaです。

私たちSREチームは、社内のプロダクト開発チームがより自律的に、そして安心して開発・運用に取り組める世界を目指して、日々様々なサポートを行っています。その一環として、最近プロダクトチーム向けにインフラ勉強会を開催しました。

今回は、その取り組みについて、特に「どうやってインフラへの心理的ハードルを下げたか?」という点にフォーカスしてご紹介したいと思います。SREの方や、組織全体の技術力向上に関心のある方にとって、少しでも参考になれば嬉しいです!

はじめに:SREのちょっとした悩みと挑戦

私たちのSREチームは、特定のプロダクトに紐づくのではなく、組織横断的に複数のプロダクトに関わっています。「プロダクトチーム自身が、自分たちのサービスに必要なインフラを理解し、主体的に開発・運用できる状態」を理想としています。

しかし、現実にはインフラやSRE領域は専門性が高く、プロダクト開発者にとっては少し遠い存在に感じられることも少なくありません。「インフラ、なんだか難しそう…」「どこから手をつければいいの?」そんな声も聞こえてきそうでした。

そこで、このギャップを埋め、プロダクトチームがインフラ技術に気軽に触れられる機会を作るために、勉強会を企画することにしました。

目指したのは「インフラ、怖くない!」と思ってもらうこと

今回の勉強会で、私たちが何よりも重視したのは 「インフラ技術に対する心理的ハードルを下げること」 です。

SREが一方的に教え込むのではなく、まずは「触ってみる」「やってみる」という体験を通して、「あれ、意外と面白いかも?」「自分でもできそう!」と感じてもらうこと。それが、今後の自発的な学びや業務での活用につながる第一歩だと考えました。

AWSとTerraformで実践!わいわいハンズオン勉強会

記念すべき第1回のテーマは「AWSとTerraformを使ったハンズオン」。GDPで開発しているプロダクトのインフラ部分はすべてAWS x Terraformで構成されています。また一部のプロダクトチームは既に部分的にインフラ領域の設定追加・変更を自分たちで実施してもらっています。

インフラ構築・管理についてプロダクトチームが知見をつけることにより、組織全体で大きくレバレッジをかけられると考え、勉強会の題材としました。

勉強会は、各プロダクトチームから参加者を募り、オンライン(Slack Huddle)で開催しました。

教材には、私が以前個人的に作成したAWS初心者向けのハンズオンリポジトリを利用しました。(もしよろしければ、皆さんの勉強会でも活用ください!)
https://github.com/yu-croco/AWS_Beginners_Guide

解説を交えながら、参加者の皆さんには実際に手を動かして、Terraformを使ってAWS上にリソースを作成してもらいました。

「心理的ハードル」を下げるために工夫した3つのこと

「インフラ怖い」を「面白い!」に変えるために、特に以下の3点にこだわりました。

① ハンズオン中心で一緒に手を動かす:
資料を眺めるだけでは、なかなか自分ごとになりません。とにかく「一緒にやってみる」ことを重視しました。参加者同士で「お、できた!」「ここは、どうやるんだろう?」と声を掛け合いながら、和気あいあいとした雰囲気で進められたのが良かったです。

② 壊してもOK!な安心安全な環境:
「本番環境を触るのは怖い…」という不安は、学習の大きな妨げになります。そこで、今回は勉強会専用のAWSアカウントを用意しました。このアカウント内であれば、どんなリソースを作っても、間違って消してしまっても、全く問題ありません。「失敗しても大丈夫」という安心感が、積極的な試行錯誤を後押ししてくれました。

③ エラーは学びのチャンス!ライブトラブルシューティング:
自分が得意としない領域で手を動かす際に最も心理的ハードルがあることはエラー対処だと思います。ハンズオンだからこそ、エラーが出ても皆でワイワイ解決して知見に繋げることができます。
困っている人に画面共有してもらい、その場でみんなで原因を探り、解決策を考えるようなライブトラブルシューティング形式で進めました。
これが意外と好評で、「他の人がどういうところで躓くのか分かった」「エラーメッセージの読み方や解決へのアプローチが参考になった」といった声も。一人のエラーが、参加者全員の学びにつながる貴重な時間になりました。

ハンズオンで作ったもの:「Hello World!」までの道のり

今回のハンズオンでは、ただインフラを作るだけでなく、「動いた!」という達成感を味わってもらうことをゴールにしました。

具体的には、Terraformを使ってネットワーク(VPCなど)とサーバー(EC2インスタンス)をゼロから構築。そして、そのEC2インスタンス上に簡単なWebサーバーをセットアップし、最終的にブラウザからアクセスして「Hello World!」が表示されるところまでを体験してもらいました。

コマンドを打ち込み、それがインフラという形になり、最終的にブラウザで目に見えるものが表示された瞬間は、やはり嬉しいものですよね!

参加者の反応と、見えてきた次への期待

参加者からは、「Terraform、初めて触ったけど面白かった!」「エラーが出ても、みんなで解決できたのが良かった」「インフラ構築の流れがイメージできた」といったポジティブな感想をもらえました。何より、「インフラ、怖くないかも」と感じてもらえた手応えがあったのが、運営側として一番の収穫でした。

今回の勉強会をきっかけに、今後技術検証で検証環境を使いたいという声も頂けて、開催した甲斐がありました。

またこの取り組みを他のチームにも展開してほしいとご要望をいただき、英語での勉強会の開催にも至りました。

今後の展望:ハンズオンから、その先へ

今回の手応えを踏まえ、今後はさらに実践的な内容にステップアップしていきたいと考えています。

  • より商用に近い技術スタックを触ってみる: 次回はECS、その次はプロダクション環境でも利用しているEKSを使ったハンズオンを計画中です。
  • 監視運用も一緒に触ってみる: プロダクト運用に欠かせない監視について、Datadogを使ったハンズオンも企画したいと思っています。
  • 実践的な課題解決へ: ハンズオンで基礎を学んだ後は、実際のプロダクトが抱えるインフラ関連の課題を、プロダクトチームと一緒に考え、解決していくような、より実践的な場を作っていきたいです。

おわりに:SREが組織にできること

私たちSREの役割は、単に技術的な問題解決や信頼性向上に貢献するだけではありません。プロダクトチームが新しい技術を学び、挑戦するための「場」と「きっかけ」を作り、開発組織のケイパビリティを底上げしていくことも、非常に重要なミッションだと考えています。
今回の勉強会は、その第一歩です。これからも、プロダクトチームにとって「頼れる相談相手」であり、「一緒に学び、成長できるパートナー」でありたいと思っています。

この記事が、皆さんの組織での取り組みのヒントになれば幸いです!

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