グロービスCollaboration SREのVision・Valueを決めた話
この記事は何?
弊社SREチームは2024年度からPlatformユニットとCollaborationユニットの2つのユニットに分かれ、各ユニットのVisionとValueを策定しました。
この記事では、Collaborationユニット(以下、Collaboration SRE)のVisionとValue、そしてその背景にある考えについてまとめています。
あなたは誰?
株式会社グロービスのデジタルプラットフォーム部門(以下、GDP)でSite Reliability Engineerをしており、AWS,K8s(EKS)周りを中心に扱っています。クラウドインフラ分野を主軸と置きつつ、プロダクト開発チームと一緒に運用・監視の改善やインフラリソースへの扱いに対する心理的ハードルを下げる取り組みをしています。
https://speakerdeck.com/globis_gdp/globis-sre-team-is-hiring
前提
SREチーム全体としての方針
SREチームではTeam Manifestを設定しており、それを達成するためのVisionを掲げています。
SREの在り方は組織によって千差万別ですが、グロービスでは各プロダクトチームが自発的にプロダクトの開発生産性を向上させ、信頼性を維持できる環境を目指しています。
Collaboration SREの立ち位置
Collaboration SREの業務は、SREプラクティスとPlatform SREが開発する共通基盤・仕組みを、各プロダクトチームの状況に合わせて適用するためのサポートを行うことです。
プロダクト開発チームが主導的に改善を進められるよう支援し、特定チームの専属になることや一方的な介入を避けることで、SREが組織全体のボトルネックとならないよう心がけています。
Vision・Value
背景
SREの対象領域が広範囲に及ぶため、より焦点を絞って効率的に活動を進められるよう、今年度からユニットを分割することになりました。
SREという共通の文脈で活動しながらも、ユニットごとに異なるフォーカス領域を持つことから、それぞれの特性に合わせたVision・Valueを定めることで、日々の活動の指針になると考え、この取り組みを開始しました。
Vision・Value
この記事におけるVisionとValueの定義については以下の通りとします。
- Vision
- SRE 2025 visionを実現するための状態(What)
- Value
- SRE 2025 visionに実現するための行動指針(How)
そのうえでVisionとValueを以下のように定めました。
Vision・Valueを決めるにあたってはCollaboration SRE内で議論を重ね、その後SREチーム全体での相談を経て最終的な決定に至りました。このような取り組みに絶対的な正解は一つではありませんが、手探りの議論を通じて、チームとして良い成果物を作り上げることができたと考えています。
Visionに対する想い
Collaboration SREがプロダクトにマッチしたSREを体現できる
SREプラクティスを無批判に適用すれば良いわけではありません。むしろ、プロダクトや事業の状況に合わせて適切に適用させていく必要があります。
そのため、単に「書籍に書いてあるから」や「SRE界隈で有名な人が推奨しているから」という理由で導入するのではなく、我々の状況と制約に適したプラクティスをCollaboration SRE自らが主体的に推進できるようになることが重要だと考えています。
開発チームが自発的にSREを体現できる
SREの目指すべき姿は「SREが一方的にすべてを担うこと」ではなく、「プロダクト開発チームが自律的に活動できる環境を整えること」です。そのための土台作りと仕組み作りに注力することが重要だと考えています。
Valueに対する想い
開発チームとの相互理解を進める
アプリケーションのアーキテクチャ設計やコーディングにプラクティスがあるように、SREのプラクティスも無数に存在しています。どの分野でも言えますがプラクティスを闇雲に導入するのではなく、状況に応じて適用させることでより意味のあるものになります。
これを実現するには、プロダクト開発チーム、プロダクト自体、そしてエンドユーザーへの深い理解が不可欠です。相互理解を深めることで、プロダクト開発チームとの関係をあなたと私
ではなく私たち
という意識に変え、より本質的な改善を実現できると考えています。
チームを越境する
どこまでの範囲を誰が責任をもつか
はどの組織でも悩ましい課題です。Collaboration SREではVisionを達成するためなら、積極的に境界を超えて活動します。
前述の通り、あなたと私
という縦割り構造では部分最適化に陥りやすく、その境界で見落とされる課題が新たな問題を生みます。そのため、Visionの達成を第一に考え、チームの壁を越えてコミュニケーションを図り、必要に応じてプロダクトコードにもダイブします。
この姿勢はCollaboration SREだけでなく、プロダクト開発チームにも共有したい価値観です。プロダクトチームとCollaboration SREが、より良いプロダクトの実現という共通の目的に向かって協力することで、組織全体としてより優れた成果を生み出せると考えています。
これからについて
VisionとValueを定めることでチーム内外での共通認識を構築できますが、単に「定めただけ」では意味がありません。
SREという概念は、近年多くの書籍の出版により その役割が広く認知されてきました。しかし、その解釈(対象領域や責務)は人によって異なり、すべての解釈を適用することは現実的ではありません。
さらに、SREの枠を超えて、プロダクトに関わるすべてのユーザーに価値を届けるには、組織全体としてプロダクト運用の水準を向上させる必要があります。この方向性を明確に示すことで、組織全体の共通認識とコミットメントを強化できると考えています。
これらの考えに基づき、私たちはグロービスにおけるプロダクト運用の成熟度を体系化する取り組みを進めています。この成果をもとに、プロダクト開発チームと協力してプロダクト運用の質をさらに高めていきたいと考えています。
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