🔋

データ駆動的な電池の寿命予測手法

2023/05/08に公開

はじめに

電池の充放電試験には数か月~数年/セルの歳月を要します。初期のサイクル特性からそのセルの寿命を予測できると長寿命電池開発を加速できます。この記事ではデータ駆動による電池の寿命予測手法を紹介します。随時アップデート予定です。

Data-driven prediction of battery cycle life before capacity degradation

  • 論文リンク
  • 要約:充電条件を種々変更した充放電試験を行い、充放電サイクルごとの放電容量を記録したデータを124個集め、100サイクルまでのサイクル特性を説明変数、放電容量0.90Ahを下回るまでのサイクル数(≒寿命)を目的変数としてElasticNetでモデル構築。Mean Percent Errorとして9.1%の予測誤差でテストデータを予測することができた。

Uncertainty-aware and explainable machine learning for early prediction of battery degradation

  • 論文リンク
  • 要約:充放電試験を繰り返すことによる放電容量の変化と充電条件を共変量としたLSTMのアーキテクチャを提案、100サイクル目までのデータから、101サイクル以降の放電容量について予測の不確実性とともに軌跡を予測した。アンサンブルを上手く組み合わせることでRMSE(Root Mean Squared Error)としてElasticNetを超える予測性能を発揮した。
  • 著者GitHub

Closed-loop optimization of fast-charging protocols for batteries with machine learning

  • 論文リンク
  • 要約:電池を長持ちさせるための充電プロトコルを最適化するべく、最初の数サイクルのデータを用いて最終的なサイクル寿命を予測することで1回の実験時間を短縮する早期予測モデルと、充電プロトコルのパラメータ空間を効率的に探索するために探索と探索のバランスをとることで実験回数を削減するベイズ最適化アルゴリズムを提供。224の候補の中から高サイクル寿命を実現できる充電プロトコルを16日間で迅速に特定した(早期予測なしの網羅的検索では500日以上)。
  • 著者Github

Bayesian hierarchical modelling for battery lifetime early prediction

  • 論文リンク
  • 要約:充電条件を種々変更した169個のデータ(論文2報で報告済み)を使って、充電条件→初期サイクル(~100サイクル)特性→電池寿命を階層化した階層ベイズモデルを提案。Ridge回帰の予測性能をベースラインとして、RMSE(Root Mean Squared Error)、MPE(Mean Percent Error)ともに改善する結果を得た。
  • データリンク
    • All data is released under CC BY 4となっているので営利目的含めどんな目的にも使って良いデータとのこと。トヨタ太っ腹。
    • CC BY 4 license
  • 著者Github

Discussion