SRE NEXT 2025 スポンサー協賛&登壇&参加レポート
先日、2025年7月11日〜12日に開催されたSRE NEXT 2025に、GENDAはランチスポンサーとして協賛しました。
SRE NEXTには昨年も協賛しており、2年連続でのスポンサー協賛でした。昨年はシルバースポンサーでしたが、今年はランチスポンサーとして、より参加者の皆さまと距離が近づけるプランを実施しました。
開催2日目のランチでは、Track Cでお弁当の提供とスポンサーセッションとしての登壇を実施しました。美味しいお弁当とともにGENDAにおけるSREの魅力や取り組んでいることをお伝えできたと思います。
本記事ではスポンサーセッションに登壇した木村の登壇レポート、現地参加したメンバーの参加レポートをお送りします。
登壇レポート
こんにちは。SRE/インフラエンジニアの木村です。
昨年に続き2年連続、GENDAのエンジニアとして現地参加しました。去年は企業ブースを回ってみてもGENDAを知っている人は少なく、GiGOの名前を出してようやく伝わるという状態だったのですが、今年は「あっ、GENDAさん!」と反応してもらえることが多く、この1年間で会社の知名度が上がっているのを感じました。
私はこれまでオンラインイベントでの登壇の経験はありますが、オフラインイベントでの登壇は今回が初めてで、1週間前から緊張していました。しかし、会場がほとんど埋まるぐらい多くの方にご来場いただき、これだけの人が興味を持ってくれているのだと感じられたことで、当日は自信を持って堂々と話すことができました。
登壇中の聴衆の反応やXのポスト、Ask the speakerや懇親会でいただいたご質問・ご意見を踏まえると、特に以下の2点に対する反響が大きかったと思います。
- GENDAのM&Aの多さ
- グループ規模の大きさに対してSREが3名
ここでは、後者の「グループ規模の大きさに対しSREが3名」でどうして対応できているのか、当日はお伝えしきれなかったその背景をお伝えします。
グループ企業数も、グループの従業員数も非常に多く、それが拡大しているのも事実です。しかし、全部のグループ企業がSREを必要とするようなプロダクトを保有しているとは限りません。オフライン領域を担っている企業ももちろんありますし、「ノーコードツールで十分」というような場合もあり得ます。一方、これまではエンジニアが在籍していなかったので外部に委託していたが、GENDAにグループインしたのでGENDAが開発・運用を担うように内製化する、というパターンもあります。
そのため、「いつプロダクトが増えるか分からない」状態でありつつも「まだ3人で回せる状況である」と言えます。登壇でもお伝えした通り、3人で回せる状況を維持するために多くの効率化を進めており、今後のプロダクト数増加に耐えられるよう、盤石な体制を整えようと日々奮闘しています。
なお、今回ご紹介した「現場に任せる」やり方が通用するのは、弊社がインフラの知見を持っているバックエンドエンジニアが多くいる環境だからこそと考えております。すべての会社でこのやり方が使えるとは限らないため、必要に応じて部分的に参考にしていただければと思います。
SREの人数が限られており、プロダクトで施策をする際にはプロダクト担当のエンジニアの協力が不可欠です。しかし、プロダクト運営においてはSRE観点の施策を無尽蔵にやるわけにはいかなく、それぞれの事業のミッションをこなす必要性がもちろんあります。そのため、その時々でベストのバランスでSRE施策を実施するにはどうしたらよいかを日々頭を悩ませながら奮闘しています。私が拝聴したセッションの中で、「事業へどう貢献するか考えられていない作業は評価されない(ソフトバンク 原さん 発表概要 | スライド)」といったお話や、「SLO違反を無視し続けて大きなトラブルになってしまった(SmartHR 佐藤さん 発表概要 | スライド)」というお話があり、改めて認識すべき観点だと感じました。“事業にとって貢献できる提案をすること、その重要性を相手に合わせた形で説くこと”を大切に、今後も可用性と開発者体験の向上に取り組み続けていきたいと思います。
参加レポート
当日参加したメンバーの感想と印象に残ったセッションをピックアップしてお届けします。
大澤
こんにちは!SRE/インフラエンジニアの大澤です。GENDAにジョイン後、初のSRE NEXT参加でした。拝聴したセッションの中から、特に印象に残ったものや学びとなったセッションをご紹介します。
感想
SRE NEXT 2025は、SREに関わる技術的なプラクティスだけでなく、組織設計・チーム運営・キャリア形成・経営との接続といった多様なトピックを網羅しており、SREという職種が持つ奥行きと広がりを強く実感できるイベントでした。
特に「事業・組織とSREの関係性」に焦点を当てたセッションが多く見受けられ、日々の活動の延長線上にあるビジネスインパクトをどう捉えるか、またそのためにどのように振る舞うべきかを考えるきっかけとなりました。
また、現場での信頼性改善や運用自動化といった施策も重要である一方で、その活動が組織にどう価値をもたらしているか、なぜそれを今やる必要があるのかを関係者に共有する重要性も理解することができました。
印象に残ったセッション1: 「〜『世界中の家族のこころのインフラ』を目指して”次の10年”へ〜 SREが導いたグローバルサービスの信頼性向上戦略とその舞台裏」
MIXI社が提供する「家族アルバム みてね」におけるSREチームの取り組みを紹介したセッションで、サービスのグローバル展開に伴うスケーラビリティ課題とその克服プロセスが非常に実践的に語られていました。
特に、レイテンシの課題は多くのシステムで直面し得る普遍的なテーマであり、キャッシュの活用・段階的アプローチ・責任分担の設計など、現場で再現しやすい内容が多く非常に参考になりました。
また、「未知領域にどう向き合うか」という観点で、細分化と柔軟なタスク運用の重要性を再認識しました。
印象に残ったセッション2: 「インフラ寄りSREの生存戦略」
インフラ視点から信頼性を捉えることをテーマにしたLTで、信頼性課題が多層的(機能仕様/アプリケーション/インフラ)に存在するという構造的な理解が印象に残りました。
- 信頼性は「インフラだけの問題」ではない
- 仕様レベルやアプリ実装に起因する場合も多く、単独での最適化は逆効果になる可能性がある
- インフラだけにフォーカスするのではなく、機能側・プロダクト側からの課題理解も不可欠
SRE・インフラ担当として、どうしても“自分の領域の中で最適化”してしまう意識が強くなりがちでしたが、「信頼性の本質はユーザー体験全体で捉えるべき」という視点に立ち返る必要があると感じました。
今後は、関係者とのコミュニケーションや観点のすり合わせを通じて、局所解ではない本質的な信頼性改善を推進していきたいと考えています。
布田
SRE/インフラエンジニアの布田です。SRE NEXTへの参加は初めてだったのですが、とても有意義な時間を過ごせたので参加レポートとして整理したいと思います。以下では感想と印象に残ったセッションをまとめました。
感想
今回のSRE NEXT 2025では、多くの企業や組織の事例を共有していただき、それぞれの活動内容とその効果、そして直面した課題を知ることができました。また、その中で“SREとは何を目的とする組織か”という点を改めて考えさせられる貴重な機会になったと感じています。以下に感想を2点記載します。
1. 組織的な取り組みの重要性について
SRE NEXT 2025では「技術で解決する」という話だけではなく、組織とのコミュニケーションや人的要素に関する話が多く取り上げられていたと思います。懇親会で聞いた話でも事業を持つチームとのコミュニケーションは多くの人が難しい点であると認識されているようでした。このことから、SREは純粋に技術的な領域にだけ強みを置く役割ではないことを改めて実感しました。技術を学ぶことは必要なことですが、総合的な取り組みが必要であると改めて認識できました。
2. SREが出すビジネス成果について
「なにを目的とするのか」という点を見つめ直す良い機会になったと感じています。日々業務を行っていると忘れてしまうこともあり、発表を聞く中で「うっ」と思うシーンがいくつかありました。SREと聞くとSLI/SLOやObservabilityといった言葉をまず想像しますし、それらは確かに重要な要素です。しかし、これらに加えて自身の活動が最終的にどのようにビジネス価値につながるのかを意識することが不可欠だと考えます。当たり前だと思いますが、当たり前をしっかりできるようにしたいと思いました。
印象に残ったセッション1: 「Four Keysから始める信頼性の改善」
SLI/SLOを設定したとしても、その「指標を活用する」ということは目的ではなく、あくまでも「指標の先にある目指す世界」の達成であるという点が印象深かったです。指標というのは“今どんな状態か”を知れるのですが改善するにしても“なんのために、なぜするのか”という点を忘れてはいけません。それは当たり前の話ではあるのですが、自身がタスクを推進している間は抜け落ちることもあります。そういったときにお互い気づきを与えあえるチームでありたいと思いました。
発表にある具体的な活動として、まずは共通認識の土台を揃えることの重要性は今までの経験からもわかりやすいものでした。定例会議の実施やコミュニケーションをしっかりと取ることで、組織全体での理解と合意形成に時間をかけることが、結果的に成功への近道になるということを改めて認識しました。
印象に残ったセッション2: 「SREの次のキャリアの道しるべ 〜SREがマネジメントレイヤーに挑戦して、気づいたこととTips〜」
SREとしてのキャリア形成について非常に参考になる内容でした。スペシャリストとして技術を深めるか、マネジメントに挑戦するべきかという悩みは、SRE以外でも多くのエンジニアが抱える共通の課題ですが、今回の発表でその不安を軽減できた人も多くいるのではないでしょうか
実際にSREからマネジメントレイヤーに移った方の体験談として、SLI/SLOの考え方を組織やプロジェクトの目標設定に活用することや、ポストモーテムの文化を失敗・ヒヤリハットからの学習とフィードバックの仕組みに転用することなどが挙げられていました。これらの具体例により、マネジメントレイヤーでの活動を自分の延長線上にあるキャリアとしてより現実的に捉えることができました。
ここからは自身の考えですが、SREのプラクティスがマネジメントに適用できるという点もあると思いますが、SREのプラクティスを転用することで自身の目的や成果目標を言語化して明確にできたことが重要なポイントだったのではないでしょうか。SREのプラクティスをもとに「会社の信頼性をマネジメントする」という明確な“言葉”を導き出せることが、キャリア転換における成功の鍵だったのではないかと感じました。
おわりに
SRE NEXT 2025は、セッションはもちろんのこと、ブースエリアも大盛況でした。運営チームのご尽力に加え、参加者の熱意も非常に高く、同じ“SRE”というキーワードを持った仲間の存在、そしてこのコミュニティの強さを実感しました。
GENDAのSREもさまざまなことに挑戦し、そこで得た知見をコミュニティに還元していけたらと思います。是非、コミュニティでお会いした際には、お気軽にお声がけください!
GENDAはランチスポンサーとして3種類のお弁当とステッカーを提供しました
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