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GENDAがFindy Team+ Awardを受賞。EMが実践した組織文化に基づく生産性向上

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はじめに

こんにちは。GENDAでEngineering Manager(EM)を務めているボブです。

この度、GENDAは「Findy Team+ Award 2025」 にて「Organization Award / Medium Division」を受賞しました。同アワードは、ファインディ株式会社が運営する「Findy Team+」利用企業を対象とし、「開発生産性スコア」が特に優れた企業や多角的な観点で高い開発生産性を発揮した企業を表彰するものです。

https://award.findy-team.io/2025

https://genda.jp/2025/08/29/genda-notice-of-award202508/

私たちは「開発者が安心して働ける組織づくり」を意識しながら、開発生産性の向上に取り組んでいます。その実現には、開発者が抱える課題を数値で裏付けることに加え、プロダクトチームが自律的に改善を進められるよう、共に取り組んでいくことが欠かせません。

ツール導入は、あくまで開発者の業務を支えるものでなければなりません。開発者や組織のスタイルと合わないものでは意味がなく、違和感やストレスを感じることなく継続的に利用できることが重要です。そのため、EMはオーナーシップを持って指標の理解と方向性を示しながら、開発者と共に開発プロセスの改善に取り組みました。こうした積み重ねが、今回の受賞につながったと考えています。

本記事では、定量的な成果と、それを支えた取り組みをご紹介します。

先行導入プロダクトでデプロイ頻度40%向上、リードタイム50%削減を実現

GENDAは複数のプロダクトを開発・運用しています。そのため、Findy Team+の導入はまず一つのプロダクトで導入し、その後、他のプロダクトへ展開していきました。

先行導入した「GiGOアプリ」では半年でデプロイ頻度40%向上し、リードタイムは50%削減の成果を達成しました。

ここでは、開発プロセスの改善に取り組んだ定量的な成果をご紹介します。なお、GiGOアプリでは2024年10月にFindy Team+を導入し、開発プロセスの改善に取り組みました。


GiGOアプリにおけるPull Request作成数とオープンからマージまでの平均時間(2024年7月〜2025年7月)

上図は、GiGOアプリにおけるPull Request作成数と、オープンからマージまでの平均時間の遷移を示しています。
Findy Team+を導入した2024年10月以前はPull Request作成数がほぼ横ばいでしたが、2024年10月以降は増加傾向に転じました。稼働人数の増加などの環境変化もありますが、それを考慮しても増加傾向にあり、最大2倍にまで増えました。 また、「オープンからマージまでの平均時間」は63%短縮し、開発サイクル全体のスピード向上を定量的に確認できます。


GiGOアプリにおけるPull Requestのオープンからレビューまでの平均時間(2024年7月〜2025年7月)

こちらの二つ目の図は、GiGOアプリにおけるPull Requestのオープンからレビューまでの平均時間を示したものです。
Pull Requestのオープンからレビューまでの平均時間も75%短縮し、開発者からも「レビューが滞らない安心感がある」との声が上がっています。スピードが向上しても品質が低下しては意味がありませんが、変更障害率が維持されていることも確認できました。

これらの成果を整理すると、以下の通りです。

指標 Findy Team+導入前後の変化
Pull Requestの作成数 最大2倍増の改善
Pull Requestのオープンからマージまでの平均時間 63%短縮の改善
Pull Requestのオープンからレビューまでの平均時間 75%短縮の改善

上記の改善に加え、直近半年(2025年2月〜2025年7月)では、1日のデプロイ頻度(任意のブランチへのマージ回数)が1.4倍に増加、変更のリードタイム(コミットからマージ/リリースまでの平均時間)も50%短縮と、継続的な改善の成果が次々と積み上がっています。
これらの結果は、リードタイム短縮が開発のサイクルを速め、レビューの迅速化とあわせて開発活動全体を加速させ、アウトプット量が増えたことを示しています。
こうした改善は現在、GiGOアプリにとどまらずに、複数の主要プロダクトへと展開しています。

パフォーマンスと継続性を維持するには、指標への信頼が大前提

前述のような成果を出すには、指標への信頼が欠かせません。
指標としての数値は、開発者の感覚や思考と一致してはじめて意味を持ちます。
開発者の感覚とツールの数値がずれていれば「この数値は意味がない・活用できない」と受け止められ、改善のきっかけには繋がりません。

Findy Team+導入前から「レビューが遅くなっているのでは」「マージに時間がかかっているのでは」といった問題意識があり、改善に取り組む場面もありました。その後、実際にFindy Team+で数値を可視化した結果、感覚とデータの傾向が一致し、「課題の認識は正しかった」と指標への納得感が広がりました。

このように感覚と数値が一致していることこそ、改善活動を継続するための大前提となります。

数値を見るだけでは改善は続かない

納得できる数値を指標として活用することは大前提ですが、数値を見るだけでは改善は続きません。GENDAでは、日々の取り組みのなかで、「数値の見方」を大切にしてきました。

数値は便利な根拠になる一方、受け止め方によっては不安や負担を生むこともあります。納得していても、数値の見方を誤れば、改善の妨げになりかねません。

そこでEMは、数値を開発者と一緒に確認しながら考える姿勢を徹底しました。不安や疑問には対話で応じ、数値が「評価」ではなく「改善のヒント」として受け止められるよう後押ししています。特に、Findy Team+導入時には、オリエンテーションやドキュメントを通じて「数値の取り扱い方」の重要性を伝えました。

このように、数値の見方を定着させる姿勢こそが、改善を文化として根づかせる鍵となります。

GENDAが実施した三つの取り組み

ここからは、GENDAが実際に行ってきた三つの取り組みをご紹介します。

改善活動を継続するには、学びから理解につなげ、理解を行動に移す「型」が必要です。
具体的な施策はプロダクトごとに異なりますが、この型そのものは共通します。

GENDAでは、この考え方に基づき、以下の三つの取り組みを進めました。

  1. 数値を学びの題材に変える(定期レポート)
  2. 数値を共通理解に変える(レビューの場)
  3. 数値を行動につなげる(ガイドラインの整備)

EMと開発者が数値の扱い方を共通認識として持ち続けること。この積み重ねこそが、改善を文化として定着させる基盤になっています。

数値を学びの題材に変える

数値を「気づき」に変えるために、EMは分析結果を定期レポートとして開発者に共有しました。

数値やグラフだけでは「なぜこうなったのか」が分からず、結果の上下で一喜一憂して終わる可能性があります。

そこでGENDAでは、週次や月次でEMが数値を分析し、各プロダクトにおける判断ポイントを提示しました。EMは客観的な数値から傾向を示し、開発者はプロダクトごとの背景や事情を補足して判断します。例えば、数値の上下よりも他の課題や観点を優先するべき時期もあり、そのような状況を踏まえることで数値に振り回されず、具体的な改善施策につなげています。

そして、数値を「学び」に変えるには、気づきを添えて継続的に共有することが重要であり、その積み重ねが改善の実行力を高めます。

数値を共通理解に変える

数値を共有するだけでは改善にはつながりません。その数値が何を意味するかを解釈し、行動に結びつけるための場が必要です。

GENDAでは説明会や中間レビューを設け、EMと開発者が数値を見ながら疑問に向き合いました。例えば、開発者から「コミットからオープンまでの時間は注視すべきか?」という質問があった際、EMは全体の状況を踏まえ「改善の優先順位はまずレビューから」と説明し、意図を補足しました。こうした対話を通じて、単なる数値の上下にとらわれず、その背景を理解することができます。

数値を共通理解に変えるには、レビューの場で疑問や戸惑いを放置せず、対話を積み重ねることが重要です。それが改善の流れを前に進める原動力となります。

数値を行動につなげる

数値は客観的な根拠を与えてくれますが、見方によっては「評価に使われるのでは」という不安を生みやすく、人によっては過度に気にしてしまうこともあります。

そこでGENDAでは、全プロダクト共通のガイドラインを整備しました。そこでは、「数値の上下は『評価』ではなく『気づき』のためのものです。データを手がかりに背景を考えましょう」と明記し、数値に対する考え方を揃えています。

また、プロダクトの数値を見る際には「最初はレビュー時間に注目する」といった優先順位を示し、立ち止まらずに改善へ進めるよう指針を整えました。ただし、この優先度に違和感がある場合は、そのプロダクト固有の事情が潜んでいる可能性があります。こうした違和感を手がかりに状況を深堀りすることも重要です。

こうしたガイドラインを設けることで、数値を前にして迷わず進める共通の指針を示せるようになります。

おわりに

本記事では、まず改善成果を示し、その背景として指標への納得感と数値の見方を整理しました。さらに、GENDAが実際に進めてきた三つの取り組みを紹介しました。これらを積み重ねたことが改善を推進し、今回の受賞につながったと考えています。

冒頭で紹介したGiGOアプリの開発者からも、「単なる業務フロー改善にとどまらず、チーム全体のパフォーマンスを高め合う文化へとつながった」との声が寄せられています。まさに「やり方」だけでなく「あり方」に踏み込んだことが、継続的な成果につながりました。

指標は、それ自体に価値があるのではなく、どう解釈し活用するかが重要です。プロダクトごとに取り組むべき課題や注視すべき指標は異なります。大切なのは、数値にとらわれるのではなく、改善のきっかけとして前向きに活用していくことです。

その前提には、安心して取り組める環境づくりがあります。これは本ツールに限らず、生成AIを含むさまざまな取り組みにおいても同様です。GENDAの文化は、こうした環境を基盤に継続的な改善を支えています。

この学びが、読者の皆さまにとっても開発生産性向上の一助となれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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