週刊Cloudflare - 2025/11/02週
こんにちは、あさひです 🙋♂️ 今週の Cloudflare のアップデートをまとめていきます!
この記事の主旨
この記事では、前週に Cloudflare のサービスにどんな変更があったかをざっくりと理解してもらい、サービスに興味を持ってもらうことを目的としています。そのため、変更点を網羅することを優先します。
2025/10/26 ~ 2025/11/01 の変更
Wrangler
4.45.3
パッチアップデート
- D1 コマンドの動作を改善
- 対象コマンド:
executeexportmigrations applymigrations listdeletetime-travel
- 確認プロンプトを表示する前に、対象がローカルまたはリモートデータベースかを明示表示
- 対象コマンド:
- Windows 環境での環境変数処理を修正
-
process.envが大文字・小文字を区別しないよう統一-
process.env.SystemRootとprocess.env.SYSTEMROOTが同一値を参照
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4.45.1
パッチアップデート
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wrangler r2 object putのフラグ競合を修正-
--eは--envのみのエイリアスとして動作 -
--expiresとは競合しないように変更
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- self-binding(自身の Worker への service binding)を修正
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wrangler dev実行時に[not connected]と誤表示される問題を修正 - Worker は自身に常に接続可能なため、正しく
[connected]と表示されるよう改善
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wrangler dev実行中に設定変更や状態遷移が発生した際、重複警告メッセージが表示される問題を修正
Workers
ビルド詳細にプレビューボタンを追加
Workers のビルド詳細ページから、成功したビルドのプレビュー URL をワンクリックで開けるようになりました。ダッシュボードでビルドをレビューしながら即座に動作確認でき、Pages と近い運用体験になります。
- 変更点
- ビルド詳細ページ右上に「Preview」ボタンを追加
- 成功したビルドの最新プレビュー URL を直接起動
- 運用のヒント
- レビュー担当者がダッシュボードからそのまま検証に移れる
- 既存のプレビュー URL 運用(バージョン別やエイリアス)と併用しやすい
WebSocket メッセージ上限を 32 MiB に拡大
Workers(Durable Objects・Browser Rendering を含む)で処理できる WebSocket メッセージの上限が、従来の 1 MiB から 32 MiB に引き上げられました。大きなペイロードを伴うブラウザ自動化や DevTools Protocol 連携などのユースケースを扱いやすくなっています。
- 主なポイント
- 最大サイズ 1 MiB → 32 MiB に拡大
Workflows
インスタンス生成レートと同時実行上限を拡大
Workers 有料プランの全アカウントで Workflows のアカウントレベル制限が引き上げられ、起動スループットと同時実行数が大幅に拡張されました。スパイクの吸収や大規模バッチ処理がより安定します。
- 変更点
- インスタンス生成レート 100/10 秒 → 100/秒
- 同時実行上限 4,500 → 10,000 インスタンス/アカウント
- 影響
- 最大約 10 倍の起動スループット
- 実行待ちの滞留を抑制し並列度を向上
Access
プライベートホスト名アプリの全ポート・全プロトコル対応
Access のプライベートホスト名アプリに Zero Trust ポリシーを適用する際、これまで必要だった HTTPS 443 と SNI の要件が撤廃され、Cloudflare オフランプ経由で任意のポート・プロトコルを保護できるようになりました。SSO、MFA、デバイスポスチャ、セッション制御を SSH や RDP、内部データベースなど非 HTTPS のサービスにも拡張できます。
AI Search
再ランキングと API でのシステムプロンプト設定に対応
AI Search が再ランキングをサポートし、検索結果を意味的関連度で並べ替えられるようになりました。あわせて、システムプロンプトを API リクエスト内で直接指定でき、クエリごとに振る舞いを細かく制御できます。
- 再ランキングを有効化してノイズの多いコーパスでも精度を改善
- ダッシュボードまたは API から再ランキングの有効化とモデル選択
- API でシステムプロンプトを指定し、回答方針をリクエスト単位で変更
CASB
ロール体系を見直し権限分離を強化
CASB の権限ロールが再編され、設定変更・統合管理・分析・閲覧専用などの職務に合わせて境界が明確になりました。最小権限の適用が容易になり、運用分担と監査性が向上します。
- 設定・ポリシー編集を担当ロールに限定
- 外部アプリ連携やコネクタ管理の権限を分離
- 分析専用や閲覧専用のロールで誤操作リスクを低減
Gateway
アプリケーションカテゴリを追加
Gateway のポリシービルダーでカテゴリを選ぶだけで許可・ブロック・アイソレーションの条件を作成できるようになりました。ドメインやホスト名の手作業リスト管理を減らし、運用を簡素化できます。
- カテゴリ単位で HTTP/DNS ポリシーを作成
- 例外の追加や既存のドメインリストと併用
- 時間帯スケジュールやブラウザアイソレーションなど他機能と組み合わせ
Logs
Microsoft Sentinel コネクタが追加
Cloudflare Logs を Microsoft Sentinel に直接取り込むためのネイティブコネクタが追加され、これまでの Event Hubs 経由などの手順を簡素化できます。
- ダッシュボードまたは API から Sentinel へのログ転送をセットアップ
- 代表的なデータテーブルのスキーマに合わせた取り込みとダッシュボード化
- KQL を用いたアラート、ハンティング、レポートの自動化
Rules
TCP/RTT フィールドを追加
Ruleset エンジンに「TCP で接続されたか」と「クライアント〜Cloudflare の TCP 往復遅延(RTT)」で判定できる 2 つの新規リクエストフィールドが追加されました。QUIC と TCP の使い分け把握や、高遅延トラフィックの分岐など、ネットワーク性能に応じたポリシー設計が可能になります。
- 追加されたフィールド
-
cf.edge.client_tcp- クライアント接続が TCP かどうかを示す真偽値
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cf.timings.client_tcp_rtt_msec- クライアントと Cloudflare 間の TCP RTT(ミリ秒)
-
Radar
TLD Insights を追加
Radar にトップレベルドメイン(TLD)の可視化ビューが加わり、国・期間でのシェア推移や成長率、セキュリティ傾向を横断的に分析できるようになりました。複数 TLD を並べて比較し、人気度や悪用の兆候を迅速に把握できます。
- できること
- TLD 別のランキング、シェア、時系列トレンドを表示
- フィッシング等のリスク指標やブロック傾向を確認
- 国・地域や期間でのフィルタ、複数 TLD の比較
- ユースケース
- ブランドや社内許可ドメインの見直し、ブロックリストの調整
- レジストリ/レジストラの市場分析とポートフォリオ評価
- 研究・報道向けの TLD エコシステム動向の把握
Security Center
Cloudforce One RFI トークン可視化を追加
RFI(Requests for Information)ダッシュボードで、各リクエストに消費されたトークン数と四半期の残トークン数を確認できるようになりました。
ロゴ不正使用をダッシュボードから直接通報可能に
Brand Protection のロゴクエリダッシュボードに「Report to Cloudflare」ボタンが追加され、ロゴの無断使用サイトを直接 Abuse 報告できるようになりました。従来のブランドなりすましドメインの通報に加え、ロゴ不正使用にも対応し、通報フォームは事前入力済みで必要事項の確認だけで送信できます。
Cloudflare Fundamentals
メンバー管理 UI を刷新
ダッシュボードのメンバー管理が再設計され、ユーザー招待の手順が簡素化されるとともに、一覧画面で権限やセキュリティ状態を確認しやすくなるように UI が新しくなりました。
- メンバー一覧の拡充
- 2FA の有効状況を表示
- Super Admin 権限の有無を表示
- メンバーごとの API アクセス設定を表示
- オンボーディング状態を表示(招待承認済みか保留か)
Email 2FA を追加
Cloudflare アカウントでメールを二要素認証の要素として利用できるようになりました。低フリクションで紛失耐性が高く、ユーザー名とパスワードのみのログインより安全性を高めます。ダッシュボードから有効化でき、既存のアプリベースやハードウェアキーの 2FA と併用可能です。
- 登録メールアドレスに送信されるコードで 2FA 認証
- 既存の TOTP/FIDO2 などと併用し段階的に導入
WAF
WAF ルール更新(2025-11-10 適用予定)
- 追加・調整(既定アクション)
- Generic Rules Prototype Pollution URI
- Log(新規検出)
- Generic Rules Prototype Pollution Body
- Log(新規検出)
- Generic Rules Prototype Pollution Header Form
- Log(新規検出)
- HTTP Truncated Beta
- Log(新規検出 ベータ検出 既存検出のアクションを置き換え)
- Generic Rules Prototype Pollution URI
緊急リリース(2025-10-30)
- 追加・適用(既定アクション)
- Oracle E Business Suite SSRF CVE 2025 61884
- Block(新規検出)
- Oracle E Business Suite SSRF CVE 2025 61884
Discussion