週刊Cloudflare - 2025/06/01週
こんにちは、あさひです 🙋♂️ 今週の Cloudflare のアップデートをまとめていきます!
この記事の主旨
この記事では、前週に Cloudflare のサービスにどんな変更があったかをざっくりと理解してもらい、サービスに興味を持ってもらうことを目的としています。そのため、変更点を網羅することを優先します。
2025/05/25 ~ 2025/05/31 の変更
Wrangler
4.18.0
マイナーアップデート
- Node.js 20 未満の環境ではエラーで停止するように変更。Node.js 18.x は 2025 年 4 月 30 日でサポート終了となったため、Wrangler でもサポート終了
パッチアップデート
- Mixed Mode API 利用者向けに以下のユーティリティおよび型をエクスポート
-
Experimental_MixedModeSession
: Mixed Mode セッション型 -
Experimental_ConfigBindingsOptions
: config-bindings のオプション型 -
experimental_pickRemoteBindings
: バインディング一覧からリモートのみ抽出するユーティリティ -
unstable_convertConfigBindingsToStartWorkerBindings
: config-bindings を start-worker 形式へ変換するユーティリティ
-
- ターミナルの幅が狭い環境でもバインディング表示が適切に行われるよう改善
- 依存関係を更新
miniflare@4.20250525.0
4.17.0
マイナーアップデート
- FedRAMP High 準拠リージョンのサポートを追加
- 有効化方法
- Wrangler 設定ファイルに
"compliance_region": "fedramp_high"
を指定 - または環境変数
CLOUDFLARE_COMPLIANCE_REGION=fedramp_high
を設定 - 両方を指定して値が一致しない場合はエラー終了
- Wrangler 設定ファイルに
- 認証方式
- OAuth 認証は利用不可
- Cloudflare FedRAMP High ダッシュボードから取得した API トークンによる認証が必要
- サポート状況
- 多くのバインディングとコマンドは対応済み
- 未対応のコマンドは 422 エラーなどになる可能性あり
- 一部のバインディングはローカル開発で利用できても、デプロイ時に失敗する可能性あり
- 有効化方法
- Miniflare の新しい
defaultPersistRoot
設定を使うよう内部構成を更新 -
wrangler workflows instances describe
コマンドで最新インスタンスをデフォルト表示に変更
パッチアップデート
-
wrangler dev
の出力をより分かりやすくデザイン変更 -
startMixedModeSession()
API 内のログを非表示に - Miniflare ローカルモード時に、image バインディングがローカルにフォールバックするようにリファクタリング
- 依存関係を更新
miniflare@4.20250523.0
Rules
Configuration Rules で WebP 形式の Polish 設定が可能に
Configuration Rules において、Polish 機能で WebP 形式を直接指定できるようになりました。これにより、ゾーン全体に変更を適用することなく、特定のルートやユーザーエージェント、A/B テストなどに対して画像配信の最適化が可能となります。
Workers
Vite プラグインで Chrome DevTools によるデバッグが可能に
Workers のローカル開発環境において、Vite プラグインを使用することで、Chrome DevTools を利用したデバッグ、プロファイリング、ログの確認、メモリ使用量の分析が可能になりました。従来は Wrangler CLI を使用する必要がありましたが、Vite を使用するプロジェクトでも同様の機能が利用できるようになりました。
- ローカル開発時に
vite
を実行すると、コンソールに以下のようなデバッグ用 URL が表示されますhttp://localhost:5173/__debug
- この URL を Chrome で開くと、ローカルで実行中の Worker に接続された Chrome DevTools のインスタンスが開きます
- DevTools を使用して、以下のような操作が可能になりました。
- ブレークポイントを設定してコードをデバッグ
- CPU 使用率のプロファイリング
- メモリ使用量の観察とメモリリークのデバッグ
D1
REST API の認証処理がエッジで実行され、最大 500ms の高速化を実現
Cloudflare の D1 データベースに対する REST API リクエストの認証処理が、リクエストを受信した最寄りの Cloudflare ネットワークデータセンターで実行されるようになりました。これにより、従来のように中央のデータセンターを経由する必要がなくなり、エンドツーエンドのレイテンシーが 50〜500 ミリ秒短縮されました。
- 認証処理のエッジ実行
- これまで中央のデータセンターで行われていた認証処理が、リクエストを受信した最寄りのデータセンターで実行
- 特に米国外のリクエストおよびデータベースに対して、レイテンシーを改善
-
/query
および/raw
エンドポイントの高速化- これらのクエリエンドポイントは、中央のデータセンターを経由せずに処理されるようになり、最も大きな改善が見られます
- コントロールプレーンエンドポイントの改善
- データベースの作成や削除などのコントロールプレーンエンドポイントも一部改善されていますが、メタデータ処理のために引き続き中央のデータセンターへのアクセスが必要です
Secrets Store
無料および従量課金プランの上限引き上げ
Secrets Store の無料および従量課金プランにおいて、アカウントごとのシークレット数の上限が引き上げられ、より柔軟なスケーリングが可能になりました。
- アカウントごとのシークレット数の上限が 100 に増加
- 従来の制限を超えて、より多くのシークレットを安全に管理・デプロイ可能
- Cloudflare Workers との統合により、セキュアで集中管理されたプラットフォームからのシークレットの管理が容易に
Cloudflare for SaaS
無料および従量課金プランの上限引き上げと機能拡張
Cloudflare for SaaS の無料および従量課金プランにおいて、以下のような上限引き上げと機能拡張が行われました。
- カスタムホスト名の上限引き上げ
- 従量課金プランでのカスタムホスト名の上限が 5,000 から 50,000 に増加
- より多くの顧客ドメインを Cloudflare の保護下に置くことが可能に
- カスタムオリジンサーバーの利用範囲拡大
- これまで Enterprise プラン限定だったカスタムオリジンサーバー機能が、無料、Pro、Business プランでも利用可能に
- 各カスタムホスト名ごとに、デフォルトのプロキシフォールバック以外のオリジンサーバーへのトラフィックルーティングが可能
- API または UI を通じて設定可能
Browser Rendering
Playwright MCP サーバーが Browser Rendering に対応
Browser Rendering で、Playwright MCP サーバーを利用できるようになりました。これにより、AI モデルを活用してブラウザ操作を自動化するタスク(スクリーンショットの取得、フォームの入力、データのスクレイピングなど)を実行できます。
# npm
npm i -D @cloudflare/playwright-mcp
# yarn
yarn add -D @cloudflare/playwright-mcp
# pnpm
pnpm add -D @cloudflare/playwright-mcp
import { env } from "cloudflare:workers";
import { createMcpAgent } from "@cloudflare/playwright-mcp";
export const PlaywrightMCP = createMcpAgent(env.BROWSER);
export default PlaywrightMCP.mount("/sse");
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